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人間より上位な者1
「颯太、颯太ってば!」
力の抜ける様な可愛い声が、その声音に反して滅茶苦茶大音量で怒鳴ってくる。
プリプリ可愛く怒って居るのは、訳あって俺の家に居候している儚。小柄で、ウェーブのかかった髪の毛は機嫌によってピョコピョコ動いてる気がする。
「起きてる、起きてるってば」
「なら、寝転がってないでしょ!?」
ゴニョニョと布団の中で適当に返事をしたらますます儚が怒って、毛布を剥ぎ取られてしまった。
「着替えは置いてあるから、早く起きてよね!いい!?」
まだ開かない目で、声をする方に顔を向けてコクコクと頷いて分かったことをアピールする。
ベットの上にポンっと制服が置かれたので、のそのそとパジャマを脱いで着替え始める。
「ばっ、いきなり脱ぐなー!」
多分、儚は赤面をしてドアを乱暴に閉めて階段をドタドタと降りていったと思う。
見てなくても音だけでここまで分かるものかと感心した朝だった。