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あら、お目覚めね?

※下書きの段階での公開です

※初投稿&推敲できておらず申し訳ございません



―――――――――――――――――3月31日――――――――――――――


ロバートは致命傷を免れなかった。

もはや躍動する鼓動のリズムと腹部から大量に流れだす赤い液体が確かな生と死の両方を彼に実感させた。


(参った...しくじった あんな<存在>が..依頼なんて無視して逃げときゃよかったんだ...ああタバコの一本でも最後に吸いたいな..)


ジワジワと意識が薄れていく


(はは....静か....だ....)


彼を死に至らしめる<存在>は既にその場から立ち去っている


自身以外の気配を気にする必要はもはやない

死の瞬間がにじり寄ってくる間、ロバートが感じたのはひと時の静寂であった


その静寂で彼の幕がおりるかという時


――「...して」


突然の呼びかけによって、一つまみほどの途切れかけた意識が再び戻る


――「..インして」


声は女性のものだったが、ロバートはふよふよと浮いた丸い機械を片目で確認する。


――「サインして。死にたくないならここにサインを。それともあなたもう死にたいの?」


淡々と語る口調からは事務的な雰囲気とともに冷徹さも感じることができたロバートが考えることはなかった


言われるがまま渡されたペンを握り、意識は再び閉じていく


<4月01日 朝>


悪夢にうなされていたかのように目覚めが悪かった


いや、夢をみたわけではない。

覚えているのは自身の肉が引き裂かれるあの感触、それを自分に与えたあの<存在>だった。

致命傷の左わき腹を反射的に押さえる


―「治るような傷じゃ...」


ざっくりと開いたはずの脇腹が塞がっており、傷跡一つもない。その他に受けた傷跡も消え、痛みも感じなかった


――「あら、お目覚めね?」


聞いた覚えのある声だった。

目を向けると銀髪の女が机に座っている。


途切れかける意識の狭間で聞こえたあの声だ。事態を理解できないロバートはなんとか平静さを装う


―「一体何が起きているんだ?」


ロバートが睨みつける。


女性の姿は銀髪の


武装もしておらず、その無表情な顔には特に敵意を感じられない

そして、美人であった。その美しさに刹那の間、ロバートの警戒が緩む


――「命の恩人にその態度?」


―「頼んだ覚えはない」


確かにロバートはあの時既に死ぬはずだった

ロバートはこの女性が命を助けてくれた可能性を否定するつもりもない

しかしながら、相手のペースに呑まれないよう精一杯の強がりをみせる


――「そうね。でも、これは<契約>だから。命の恩人というより、私はあなたの雇用主..いえ、依頼主ね。だから、感謝なんていらないわ。その分きっちり働いてくれれば」


―(〈契約〉?確かに、あの時何かにサインした。だとすると何かの縛りか?)」


ー「何が目的だ?俺に何を求めてる」


――「私はね。もっと沢山世界のことを知りたいの。私の発明のために」


―「発明?」


ーー「そう。私にしかできない発明品。あなたにはそのためのフィールドワークをしてもらいたいの」


ー「嫌だと言ったら?」


ーー「さぁ?あなたの存在は、いま私のためにあるようなものだから、、消えてなくなっちゃったりして。その観測も興味深いわ。せっかく見つけたあなたを失うのは酷く悲しい結果かもしれないけれど、また代わりを探せばいいだけだから、試してみる?」


女性は初めて笑みを浮かべた。恐怖すら感じるほどに、





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