本当の雨男
室内にいると、ハッキリと晴れになる。
そして、外に出ると、その地域はしっかりと雨になる。
そんな男が、僕である。
扉の中にいるか、外にいるかで、雨かどうかが決まってしまう。
少々、おかしな事実である。
雨乞い団体から、依頼があった。
海外の民族衣装を着た人にも、雨乞いを依頼された。
運動会の時期には、住んでいる地域の学校関係者から、軟禁されるハメになった。
ドラマ関係者からも、声を掛けられた。
ドラマに登場する、雨男の監修の依頼ではなく、雨のシーンの依頼だった。
いくつかは引き受けたが、正直、複雑だった。
雨に関する仕事であれば、いいのだが。
晴れの仕事となると、ただ家に閉じ籠るしかないからだ。
引きこもれば引きこもるほど、世界は明るくなってゆく。
オカシイ世界だ。
窓越しの雨を、まだ一度も見たことがない。