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夢の欠片Ⅰ
崩れゆく世界で きみを見つけた
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『──見つけた』
誰かの声を聞いた気がしてうっすらと目を開いた。
まだぼんやりとした少年の視界に映ったのは、科学者の顔だった。
彼らは手元の端末とこちらを交互に見比べて、同じような顔をして同じ服を着た連中と話し合っていた。彼は目だけを動かしあたりを見回す。
部屋いっぱいに緑の培養液で満たされた試験カプセルが規則正しく並んでおり、そこには子供が入っていた。子どもたちはそれぞれ培養液の中で長くを過ごした。
睡眠記憶学習プログラムを適用して脳に直接、言語や常識など、生きる上で最低限必要な情報を叩きこまれた。瞬間的に膨大な情報を送り込まれるため、そこで精神が破壊されるものもおり、
そういった子供は欠陥素体として処分された。それらをクリアし正品として生体番号を割り振られたものがエデンに送り出されていった。
それらはドールと呼ばれていて、少年もその中の一体だった。