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侯爵令嬢の穏やかな生涯  作者: 柏鶏子
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『親愛なるエラ


 寄宿学校であったことをここに書こうと思うよ。慰めになれるよう、つぶさに書いていこうね。

 寄宿学校は小等部、中等部、高等部の棟ごとに分かれているけれど、寮はみんな一緒なんだ。男子寮と女子寮、男女共同スペースがある。男女共同スペースは食堂や娯楽室、自習室があるよ。

 エラが入学したら、一緒にお勉強しようね。植物園なんかもあるからエラは楽しいと思う。

 階や区分によって部屋は分けられているけれど、寮の監督生は高等部の先輩方なんだよ。

 監督生の下には指名された中等部、小等部の最高学級に属する先輩方が付く。未来の監督生として振る舞いを学ぶためなんだって。中等部、小等部はその先輩方が仕切っているしね。でも、中等部、小等部に指名されたことなくても監督生になれることもあるというから、面白いね。

 来年度の監督生には第一皇子のマレク殿下がおなりになるって専らの噂だよ。成績も一番だしスポーツも剣の腕も素晴らしいから、納得だ。他にも中等部の最高学級に在籍してらっしゃる第二皇子のユゼフ殿下や、エラと同い年の第三皇子レシェク殿下がいらっしゃる。

 殿下方には良くしてもらっている。ルーツが同じだからかな、レシェク殿下が入学成された際恐れ多いことに僕の後ろ姿をユゼフ殿下とお間違えになったんだって。再従兄弟なのだから実際似ているのかもしれないね。

 レシェク殿下はエラの事を気にされていたよ。大伯母で、僕たちの祖母のアレタス様の記録も残っているからね。16歳ごろには丈夫になるから、その時にはご学友としてぜひ交流したいと仰って。

 寄宿学校に入学してからは「銀の色合い」がとても有名なことを知った。同室の子の親戚筋、と言っても百年も前だけど銀の色合いの方がいらっしゃったそうだし、手洗いの指導に関しても引き合いに出されることは多い。看護部の先輩方はエラの事をご存じで、医療部、薬学部の先輩方もより銀の色合いの方々が楽になるようにと研鑽されて、留学される方がほとんどだよ。

 エラは、何を勉強したい?

 手紙をくれた頃は、あれやこれやと書いていたね。高等部には文学部という文学を学ぶ学術もあるし、乗馬や南諸島の動植物に興味を持ってもいたから生物部もいいね。生物部の面白い先生方がいてね、ご自身であちこち探検して研究されているんだって。

 課題に出された花の植生について聞きに行ったのに、いつの間にか冒険話になっているんだ。まるで物語みたいでワクワクするよ。それにね、女性の先輩方もそこには大勢在籍してらっしゃって、冬山に行ったり、砂漠の国まで行ったりしているよ。好奇心があるエラも、行っちゃうのかな。

 沢山の学部があるし、他の寄宿学校にしかない学部も、それにルールもあるみたいだ。それについて分かったら、また教えるね。 

 安らかな夢を祈って。

アディ』


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