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ツンデレ女神

女神様はプンプンです

作者: 六花 水生

「嫁を求めて三周年」の終わり部分のセリフの詳細を、書いていこうと思います。


「女神様は人の姿をおとりなることができますか?」

「朝飯前じゃ。」

女神様は求婚を受け入れてくださった。



私は世の習いに従い、許嫁となられた女神様の神殿に、絹や装身具などを結納として納めた。


すると、その晩、自室にて休む支度をしていると、突然、部屋の中に人型の光が現れた。何やら揺れて、怒気を発している。



「女神様におわしますか?」


『いかにも、わらわじゃ』


「こんな時間にいかがされました?」


『わらわは怒っておるのじゃ。』


「なんぞ、不調法なことでもいたしましたでしょうか?」


『ああ。そなたはわらわを、よ、嫁にしたいのは、かたちだけなのか?』


「なにゆえ、そのようなことを!心よりお慕いし、愛しておりまする。」


『ならば、なぜ、あのようなものをよこすのじゃ!』


「あのようなものとは、先程お納めした、結納の品のことでしょうか?」


『うむ。そなたではない者が納めに参るのはよいとして、みな、新しい美々しい物ばかりではないか!』


「それが、何か?お気に触るものでもありましたか?」


『いいや、無いのが問題じゃ。』


「無いもの?それは一体…?」


『ええい、妻問には欠かせぬものじゃ!』



そう言うと、光から徐々に神殿で顕現した姿になると、私の頭を凝視される。


そこで、はたと気がついた。

何たる不覚!大失態!

気を取り直し、お願いする。



「女神様は人の姿をおとりになることはできますか?」


『そのくらい、朝飯前じゃ。』


女神様は顕現した姿のまま、実体となった。


「申し訳ございません。結婚してくださるとのお返事に舞い上がり、大切な事を忘れておりました。」


そう言って私は、自分の髪を結っていた髪紐を解き、


「女神様、御髪にこちらを結んでもよろしいでしょうか?」


「う、うむ。くるしゅうないぞ。」


そう言うと自分の髪飾りを外し、私に背を向けた。

私は女神様に初めて触れることに緊張しつつ、大きな歓びをもって、女神様のぬばたまの髪を一房とり、私の外したばかりの髪紐で結んだ。


「女神様、こちらの鏡をご覧下さい。」


室内の鏡の前に導くと、そこには頬を染め、半分怒り、半分笑っている女神様の愛らしい姿がうっていた。


「いかがでしょうか?」


「そなたには、髪結いの仕事はむかないようじゃのぉ。でも、今は我慢してしんぜよう。」


「恐縮でございます。それでは改めて申し上げます。


私の妻になって下さい。」


「うむ、よかろう。」


「ありがとうございます。」


「ちと、遅いが許してやろう。」


「面目しだいもございません。妻問には自分の髪紐で髪を結って差し上げる習わしを忘れるとは…。」


「うむ、そなたが寄こした結納の中に新しい髪紐があったのを見て、じっとしておられなんだのじゃ。わらわが姉上とそなたの祖とを結んだのは、わらわが傷に伏せる義兄上の髪紐を姉上に届けた事によって成り立ったゆえ、これだけはどうしても譲れなかった。」


「本当に、申し訳ありません。結婚してからは私が毎日、女神様の髪を結いたいと思います。」


「それは、う、嬉しいが…。」


「もちろん、髪結いの技術はございませんので、寝所の中でだけ、私にお任せください。」


「ぐっ…、寝所とな。」


「はい、寝所ならば女神様と私しかおりませんゆえ、いささかおかしな結い方になっても問題ないかと。それに、私も女神様の美しい御髪に触りとうございます。」


「うっ…ええい、勝手に致せ!わらわは帰るぞ。ではな!」


「あぁ、女神様!?もうお戻りで…」


はあ。なんとかご機嫌を直していただけた。

それにしても、妻問の髪紐をねだられるとは、なんとかわいらしい。

それに寝所の話をしただけでも、赤くなって慌てて帰ってしまわれるとは。


初心な女神様、どうか(俗な)私のところまで、降りてきてください。その過程も楽しみなのです。


次は在宅ワークについて、書こうと思います。

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