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9.秘密の隠れ家

森にも行くようになり、森の魔女のデロとも会い色々学んだ頃の出来事です。

いろいろできるようになれば隠し事もしたくなりますよね。

「見つけた!」


ザクスは1人で外に出かけるだけでなく、村の中を隅から隅まで散策していた。


少年特有の憧れの心理が働き、親や大人から秘密を持つための場所を持つ事だけを目的とした行動がザクスにも起こる。


ザクス自身親に隠れて村を出たり、森に入ったりしているのだが、それとは別であるとも感じていた。


そのため、村の大人には見つからないが、安全な村の中にその場所を探していた。


いろんなものを隠せて、簡単には見つからない場所、大人には見つからなくて、同年代の子供にも見つからない場所。


そんな場所をやっとのことでザクスは発見する。


秘密基地を探すこの時には既にザクスは独りものである。


顔を合わせればいじめの対象になってしまう事もあって、単独行動が常になっている。


「ここをどうしようかなぁ。誰にも見つからないようにカモフラージュすることもしないといけないし、何日かの非常食も置いておくかな。えっと、あとは寝る場所や色々ため込むか」


ザクスは見つけた場所をどうしようかと想像を膨らませる。


秘密の場所を自分の思うようにするのは想像の中でも、準備中でも、完成してからも楽しいのである。


一旦帰って自分の物を入れる箱から、カモフラージュ用の魔物の皮を取り出す。


周りの風景になじみ擬態することで見つかりにくい魔物の皮で、今は箱の底と同じ柄になっている。


その皮の下にザクスが村の外で集めた変わった物や道具がしまわれている。


上手く使えば、秘密の場所を隠せる道具となる。


「これは必要かな。入口を隠すために使う。それとここに隠してあるものは全部移動させよう」


隠し持つ必要がある物なので、よしんば見つかっていたとしても何かと聞かれなかったら言う必要がないが、聞かれたとしても答えることに窮してしまう物は目につかないようにしなければいけない。


その隠し場所に隠れ家は最適だと考えたザクスは袋一杯に詰め込んで、家を出る。


「ザッ君。どこに行くの?」


最近はめっきり顔を合わせることも会話することも無くなっていた隣に住む女の子のアニタとばったり顔を合わせると、ザクスは話もせずにその場を去ろうとしたが、何を思ったのか、アニタの方から声を掛けられた。


「秘密。遊び場を見つけたから今から行くんだ。ついて来るなよ」


ザクスは多少ぶっきらぼうにアニタの問いかけに答える。


「うぅ。危ないことはだめなんだからね!」


突き放すような言い方に少し機嫌を損ねたアニタはザクスに言い返す。


「今から行くところは危なくないよ~だ」


ザクスは荷物を背負いなおすとからかうように返事を返した後駆けていく。


アニタはザクスの背中を見送るのである。


ザクスが見えなくなってからアニタは自分が家の外に居た理由となった作業をやり直す。


☆★☆★☆★☆★☆★☆


「こんなものかなぁ。結構色々準備できたぞ!非常食よし!寝床よし!灯りよし!遊び道具に工作道具も置いたし、寒いときに着るものも着替えるものも置いた。水も汲んだし。完璧じゃん!」


ザクスは思いつく限り準備して隠れ家を快適に、且、自分の使いやすいように手を加える。


その過程で色々と場所が大きく広くなった。


初めの見つけた頃には子供2,3人くらいしか入れないくらいの洞穴だったのだが、今では大人も入れる洞窟位の違いがある。


それに、入口はカモフラージュが効いており簡単に見つからない場所なのにさらに見つかりにくくなっている。


知らなければ、もう、見つけられないだろう。


その中には藁のベッドや毛皮の毛布の寝床に、色々な加工作業が出来そうなワンルームの一室がある。


1人で何日も隠れられるだけの備えを準備していた。


もちろん、村で集めた物も村の外で集めた物も色々飾られ、保管されている。


思った以上の出来栄えに、誰かに見てもらいたくなるのは当然の願望である。


しかし、ここは秘密の場所である。


親や大人には知られたくないし、自分をいじめる奴ら、すなわち敵にも知られたくない。


簡単にしゃべりそうな者にも言うことはできない。


そうなるとほとんど誰も居ない。


「妹も弟も簡単に父さん、母さんに言っちゃいそうだしな。う~ん。誰も居ないかなぁ~」


結局悩んでも解決しないまま、ザクスは家に帰る。


家に着くと依然と同じようにまた少女と顔を合わせた。


「ザッ君。どうしたの? どこか痛いの?」


ザクスはアニタに声を掛けられて自分の家に着いたことに気が付くと同時にひらめきを覚える。


「あ、ああっ! 秘密が完成したんだ! すっごいんだよ! 安全な場所にあるから見に来るか?」


ザクスが久しぶりに自分に向かって遊びに誘ってくれたことでアニタは嬉しくなって笑顔で頷き返した。


「うん! 見せて!」


ザクスはアニタに秘密を教え、楽しそうに自慢するのだった。


この拠点は1章の話の中で2度ほど活躍します。

実際にはもっと頻繁に使われてますけどね。

隠れ家は便利ですよね。

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ザコの僕には無理だと思うのですが
ザコの僕には無理だと思うのですが2章~サイドストーリ~
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