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6.知識と技術

「デロさん、何やってるの?」


「ん?これかい?これはねぇ。植物や動物、土や石を使って薬を作っているんだよ」


森の魔女の研究室でザクスは目を輝かせながらデロの作業に見入っている。


森の魔女の通り名の通り森にある素材を使用しいろいろな研究をしていた。


その研究の副産物が、魔力を必要としない効果のある薬の調合である。


基本的に魔女は魔力を使用し、色々な効果を出す薬を開発する。


それは森の魔女のデロも例外ではない。


しかし、魔力を使用しなくても効果のある動植物や鉱物は存在する。


その研究も気分転換にちらほらと行っていた。


ザクスは魔力を自分の意思では使用できないため、デロは昔研究した資料から魔力を必要としない薬の生成方法の手記を引っ張り出し、久しぶりにそれらの薬を作ってみたのである。


ザクスが暇そうにしていることもあったが、ザクスの知識に対する意欲はかなりのもので、事あるごとに質問し、答えてあげると、昔の質問や答えに紐付けて理解を深めたりすることもあり、何か身になることでも教えてあげようという気になったのである。


「ザクスや、これなんかは魔力も必要ないし、一緒に作ってみないか?」


「これ、何に使うもの?」


デロが、ザクスに一つの薬の作り方を教えようと作った薬を見せてやると、ザクスは作る前に利用用途をデロに尋ねた。


デロはあまり利用用途、どういう時に使うのがいいのかはあまり気にしていなかったので言い淀むが、思い至ったのか、口を開いてザクスに答える。


「これは、魔物に囲まれたときに、一定距離以上近寄られなくする薬だよ。ザクスが魔物と会わずにここにきていることはよく知っているけど、ザクス以外の人と一緒だったり、油断してしまった時だったりに魔物に囲まれないとも限らない。この薬を持っておけば、魔物に囲まれても一定距離以上は近寄ってこないから、助かる可能性が上がるだろ?」


「魔物は怖いもんね。襲われたら、死んじゃう。その薬があったら、逃げ込める場所まで移動出来たら、確実に助かるね」


「そうだろ?作ってみたくないか?そんな薬」


「うん!作る!どうすればいいの?」


今日は材料がここにあるから、火であぶって、乾燥させて、それから、粉にするところまでを教えてあげようかね」


「わかった。教えてください。よろしくお願いします」


デロが作ることをザクスに促すと是非やると喰い付いてきたので、少し楽しい気持ちになりながら、ザクスに微笑みかけながら、説明する。


ザクスは教えてもらうにあたり、お礼を言う。


こうして、森の魔女と魔女の弟子になれないザクスとの師弟関係が成立する。


デロはザクスの背後に回り込み道具をザクスと一緒に持ちながら、薬の作り方として、素材の乾燥と粉砕についてレクチャーする。


2人とって、楽しい時間を過ごすのだった。


楽しい時間はあっという間に過ぎる物でザクスが帰るべき時間が近づく。


「そろそろ帰る時間じゃないかね?」


「もうそんな時間?それなら僕はもう帰るよ」


「ザクス、ちょっとお待ち」


ザクスは時間になったと言われたのですぐさま、帰ろうとするが、デロはザクスを呼び止めた。


「なに?デロさん」


「できればでいいんだがね、今日たくさん材料を使ったら、今日からはここから帰るときと次、来るときにこの材料、この草を見つけたらもぎ取っておいで。材料を自分で取ってくるのも勉強だからね」


「うん、分かった」


デロに材料採取を言い渡されつつ、サンプルの植物の葉を受け取る。


「これと同じ葉っぱを取ってきたらいいんだね?」


「見つけた時だけでいいからね。探すのに夢中で魔物に襲われたりしないようにね」


デロの念押しにザクスは頷きを返す。


「今日は帰るね。またね」


ザクスはデロに手を振ってから部屋を出て小屋の中を走って玄関に向かう。


ザクスはこうして、薬について、森の生態系についての知識の扉を開くのだった。


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ザコの僕には無理だと思うのですが
ザコの僕には無理だと思うのですが2章~サイドストーリ~
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