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5.時のエネルギー



 桃に説明を頼まれたアインは少し顔を赤くしながら説明を始めた。


 「カシオペアがお前たちに与えた力は俺たちが元々いた世界の王とその妃が発明したものだ。それは時間をエネルギーに変えるスキルみたいなものだ」


 「エネルギーって電気とかそういうの? 耳痛い……」


 桃に引っ張られた耳を押さえつつ雪が質問した。


 「近いがもっと根本的なものだ。俺たちの世界ではあらゆる物質や出来事を引き起こす根本には全て同じエネルギーがあって、それがどんどん下位の物に変換されて世界をつくっていると考えられていた。変換を受ける前のエネルギーの方がロスが少なくて優秀だと考えた王がなんとかたどり着いたのが時間のエネルギーだったらしい」


 質問をした雪はすでに目を丸くして頭の上にはてなマークを浮かべている。


「電気とかよりも優秀なエネルギーが時間を止めることで得られるってこと?」


「そういうことだ。王は限られた優秀な十二人にそのスキルを分け与えて、さらに一定数の人物にスキルを与える能力を下賜したんだ」


 「『かし』ってなに?」


 「偉い人が下の者に何かを渡すことだ。お前はなにも知らないのか、その頭は空っぽ……いてててて!」

 また雪を馬鹿にするアインの耳をカシオペアが引っ張った。


 「兄さん、意味もなく喧嘩売らないで。雪も桃も困るでしょ」


 「わかった! わかったから離してくれ!」


 「ざまぁw」


 涙目のアインを見つつ雪は指をさして笑っている。離してもらったアインは雪を睨みながら話に戻った。


 「お前覚えてろよ……。選ばれた十二人、『o’clockオクロック』の一人のカシオペアは王から頂いたスキルをお前たちに渡したんだ。数に限りがあるんだからありがたく思えよ」


 「私達はカシオペアから時間をエネルギーに変えるスキルをもらっていて、止まった時間の中ではそのエネルギーを使って色々なことができる……であってる?」


 「そうだ、時間をエネルギーに変換するとその世界の時間はスキルを持つ存在以外止まる。エネルギーは空間に満ちてそれを利用して色々なことができる。周囲のどれ位の量のエネルギーを使えるかはその人の才能次第だ」


 「時間を止めるスキルを使う時にエネルギーはいらないの?」


 「必要だがその分は時間を止めるたびに時計に備蓄される仕組みだ」

 アインの話を聞いて取り敢えず害の無い能力だと理解し桃と雪はほっと胸を撫で下ろした。


 「よく分からんけど使って大丈夫なのはわかった! それで私たちが吹っ飛ばした化け物は何だったの?」


 「あいつらは杭を打ち込むことで時間だけでなく空間もエネルギーに変換しようとしている。要するにこの世界そのものをエネルギーにして消すつもりだ、許されることじゃ無い!」


 アインは声を荒げて説明する。とても怒っているようだ。


 「アイン達の世界の王様がスキルを作ったってことは、敵のボスも王様ってこと?」


 「ううん、今あの怪物を操っているのは別の人物よ。そもそも私達の世界はもうエネルギーに変えられてもう無いの。王様も安否も分からない」


 「そんな……」

 すでに二人の帰る世界が無いことを聞き桃は絶句した。


 「もう帰る場所は無いけど、世界を消すなんて事は絶対に止めなくちゃいけない。同じ世界出身の私達にも責任があるんだから」


 「同じ世界って事は、やっぱりカッシーとアインは敵の親玉を知ってるの?」


 「ああ、よく知っているさ。なんたって首謀者は俺たちのクソ親父だからな」

 アインの答えに桃は目を丸くして驚いた。雪に至っては驚きすぎて立ち上がり手を大げさに動かして叫んでいる。


 「えっ! 二人のお父さんが相手だったの? じゃあなんで世界を消してるかも知ってるの?」


 「利己的でくだらない理由さ。だから絶対に止める」


 アインの言葉にカシオペアが強く頷く。例え実の家族が相手でも最後まで戦いきるという2人の強い意志が感じられた。


 「……全力で協力するよ、みんなで力を合わせてこんな事止めさせよう!」


 そう言って桃が雪を見ると、雪も同じ気持ちだったのか笑顔でウインクした。


 「もちろん私も協力するよ。そうと決まれば早速修行だね! 弱くて足を引っ張るわけにはいかないし。カッシー何卒指導をお願いします」


 「しょうがないな、そこまで言うなら教えてやろう。まずは師匠と呼んで敬うがいい」


 「お前には頼んで無いから、雑魚のパイン君は引っ込んでてもらえる?」


 「アインだ! 人の名前も覚えられないのかこの脳筋が!」


 「そんな名前だっけ? 興味無いから忘れてたわ〜。ねえカッシー、修行始める前にこの礼儀知らずと模擬戦してもいい? どっちの立場が上か思い知らせてやる」


 「礼儀知らずはこっちのセリフだ! 良いだろう受けて立ってやる。少し才能があるからと調子に乗ったこと後悔させてやる」


 「それじゃあ二人の試合が終わったら訓練を始めようか。近くに公園があったしそこに行こう」


 笑いながら言ったカシオペアの提案に従い四人は公園へと向かって行った。



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