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4.スキルの発動



 翌日、桃が学校へいこうと家を出るといつも通り雪がいた。


 「やっほー」


 「おはよう雪、家に帰ってから何回か時間が止まったの気が付いた? 短い時間だけどあんなに頻繁に止まるの初めてだからビックリしちゃった。もしかしてカシオペア達が戦ってたのかな?」


 「ふっふっふ、聞いて驚くなよ? その時間止めたのは私だ!」


 「な、なんだってー! ……ホントに?」


 「うん、多分桃も出来るよ。何か起こると怖いから昨日は短時間しかしなかったけど、もしかしたら長時間でも止められるかも。それならあんなことやこんなことを……グフフ」


 桃は調子に乗る雪の耳を思いっきり引っ張った。


 「悪用はダメ、絶対」


 「いたたたた! ごめん冗談だって許して〜」


 反省した様子は無いが取り敢えず桃は手を離した。


 「雪は力を使えてるみたいだね、私はあの後部屋で変身しようとしたらできなかったんだけどなんでだろう?」


 「ちょっと試してみたら時間が止まってると変身できたよ。条件があるみたい」


 「普段は使えないってことかな。時間はどうやったら止められたの?」


 「スマホ持って『止まれ〜』って念じたらできたよ、やっぱり何事も気合いが大事ってことだね」


 「テストは気合いじゃどうにもならないみたいだけど?」


 「うっさい!」


 テストを引き合いに出した途端に騒ぎ出した雪を桃が適当にあしらっているといつの間にか学校へ着いていた。


 「放課後に私も時間止めてみようかな」


 「いいね! 桃の家で色々試してみようよ。修行してパワーアップだ!」

 桃は勢いよく頷いた。



====================================



 放課後

 二人は予定通り桃の部屋に来ていた。あまり派手な飾り付けはされていないが、ベッドがピンク色なのが目を引いた。あとあるのは勉強机と本棚などだ。

 本棚には漫画は少なく、児童向けの文庫や参考書がずらっと並んでいる。勉強机にも問題集がいくつも並んでおり桃の真面目さが垣間見える。


 「よし、早速止めてみよっか。桃先生お願いします」

 

 「いきなり? 緊張するなぁ」


 桃は左手の腕時計に触れると目をつぶって時間が止まるよう念じてみた。するとふわっという不思議な感覚がした。時間が止まったり動いたりした際に桃が感じていたのと同じものだ。


 「できた?」


 そう言いながらベットに乗って窓から外を見ると散歩中の女性と犬がピタリと止まっていた。


 「やった!」

 桃はベットの上で跳ねながら喜んだ。


 「桃おめでとう! よし、私もやっちゃおうかな」


 そう言うと雪はすくっと立ち上がり両手を回してポーズをとる。


 「へーんしん!」

右手に持ったスマホが輝き変身した。


 「なにそのポーズ?」


 「カッコいいでしょ、腰にスマホつけるホルダーも欲しいところだね。桃もポーズ考えようよ」


 ポーズをとるのが恥ずかしかった桃は無視して無言で念じてみると、無事に変身することができた。

 

 「よし、できた!」


 「ちょっと桃ノリ悪い〜」

 雪が不機嫌そうにじっとりとした目で桃を見つめる。


 「恥ずかしいからいやだよ」


 「せっかく変身するんだからポーズ決めないと、これは義務だよ。 あっ、もしかしてあれカッシー?」


窓を見ると外でカシオペアが手を振っていた。隣には仏頂面のアインもいる。二人は昨日とは違い髪も目も黒色をしていた。桃はすぐに窓を開けた。


 「来てくれてありがとう! 髪の色が昨日と違うけど、もしかして今の色がホントの色?」


 「そうだよ、私の家族は母さん以外みんな黒目黒髪だったから。変身後も母さん以外は赤なの。よかったらお邪魔してもいい?」


 「もちろん! さあさあ遠慮なく入りたまえ」


 「私の部屋なのになんで雪が許可出すの! あ、もちろん大歓迎だよ」


 「ありがとう、靴は脱いだほうがいいかな?」


 カシオペアとアインは靴を脱ぐと窓から桃の部屋に入りベットに腰掛けた。


 「お前らいきなり時間を止めたりするな、紛らわしいんだよ。」


 「なにその言い方、喧嘩売ってんの? 買うよ? 買っちゃうよ?」


 会って早々喧嘩腰のアインと雪にため息を吐きつつ桃は雪の耳を引っ張る。


 「私の部屋で暴れないで」


 「いたたたた、ホント痛い! 変身してるからマジでヤバイ! ごめんなさい許して〜」


 今回も反省している様子は無いが、取り敢えず手を離す。


 「勝手に力を使ってごめんなさい、一応使い方を身に付けておきたかったの。迷惑だった?」


 アイルと向かい合って座っている桃が上目遣いで言うと、アイルは少し顔を赤くして目を逸らした。


 「と、突然時間が止まって少し驚いただけだ。訓練がしたいならあらかじめ言え」


「そうだね、敵が来たのか分からないから事前に知らせてくれると嬉しいな。訓練にも協力できるし」


「やった! カッシーが修行みてくれたらもっと強くなれそう!」

強さに貪欲な雪はとても嬉しそうにしているが、桃は少し気になることがあったのでカシオペアに聞いてみることにした。


「カシオペアがくれたこの力なんだけど、時間を止めたりする代償とかって無いの? タダでこんな凄いことができるとは思えないのだけれど……」


「えっ、もしかして寿命が縮まるとか?」

急に怖くなって顔を青くする雪を見て笑いながらカシオペアが答える。


 「心配しなくてもそんな怖い代償は無いよ。連続して時間を止めることや、止まった時間の中で能力を使う限度の制限はあるけどね」


それを聞いて雪は安心した様子だったが、桃としては逆に疑問が増えていた。


「それじゃあ時間を止めたり能力を使うエネルギーはどこから来るの?」


「説明すると時間がかかるし、お前らじゃ理解できないから無駄だ」


「何だとコノヤロー、やんのかコノ……いたたた、桃さんごめんなさい止めて〜」


再びケンカを売ろうと腰をあげる雪の耳を引っ張りつつ桃はアインに説明を頼むことにした。


「自分の使う力がどんな物か少しでも知っておきたいの、簡単な所だけでもいいからお願いできないかな?」

狙っていたわけでは無いが、桃が自然と上目遣いにお願いするとまたアインは顔を赤くした。


「し、仕方ないな。少しだけだぞ」


隣でクスクスと笑うカシオペアを一度睨んだ後、アインは説明を始めた。




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