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10.カシオペアの罪



 カシオペア達との出会いから二ヶ月後のある日、いつも通り四人は時集めの怪物を倒していた。

 メキメキと力をつけた桃と雪はカシオペアと肩を並べて戦えるようになっていた。


 「ねぇカッシー、まだ親玉出てこないの? こいつら弱くて飽きちゃった」


 カシオペアが言うには妨害を続ければ操っている人物が出てくるはずのようだが、これまでそのような気配はなかった。


 「間違いなく来るよ」


 断言するカシオペアに雪は笑いながら答える。

 「わかったー、楽しみにしとく。うちでの生活はどう? 慣れた?」


 「うん、すごく快適。自分の世界が無くなってからでは一番過ごしやすいよ。雪ありがとう!」


 「初めてカシオペアがお前の家の門下生を指導した時は、どいつもこいつも舐めた態度をとっていてムカついたがな。まぁその後全員吹っ飛ばされていたのは見ていて楽しかったよ」


 「レイン君も吹っ飛ばされる側でしょ」


 「うるさい!」


 「ちょっと真面目にやってよ!」


 手が止まる二人を注意しつつ桃は敵を倒していく。

 しばらく戦っていると、急に怪物たちの動きが止まりその影から一人の男が現れた。


 「おっ、ついに来たか!」

 雪のテンションが上がる。


 細身のその男は他の怪物のように全体的にくすんだ灰色をしていた。年齢は二十歳後半くらいに見える。

 腰にはカシオペアたちと同じような懐中時計を身に付けていて、その時計と髪や目だけわずかに緑色をしていた。



 「やっぱり君たちか、『イレヴン』とアイン君。久しぶりだね」


 「そんな……『エイト』、あなたは死んだはずじゃ」

 カシオペアが驚愕の表情を浮かべる。


 「そうだともそうだとも、まさしく君に殺された『Ⅷ』だよ。化けて出ちゃった! 恨めしや〜」

 おどけたようにお化けのポーズをとりながら『Ⅷ』は言った。


 「カシオペアに?」

 桃は『Ⅷ』の言葉に驚く。


 「そーさ! まだ彼女が父親に協力していた頃、必死に自分の世界を守ろうとしていた時集めたちを彼女は無残にも殺していったのさ! その後あいつは僕の時計を回収してね、その時計を元に作った人形がここにいる僕ってわけ」


 大げさな身振り手振りでまるで劇でもやっているかのように語る『Ⅷ』。

 頬の傷に触れて、震えながらそれを見るカシオペアの目にははっきりと後悔が浮かんでいた。


 「あんなに懐いてくれていた君に刃を向けられるとは思わなかったから、死んじゃうくらいショックだったよ〜。あっ、実際死んでたわ」


 ケタケタと笑う『Ⅷ』を睨みながらアインがカシオペアの頭に手を乗せる。


 「気にするなカシオペア、あれはただの人形だ」


 「わかってる」

 そういうとカシオペアは振り返って桃たちを見る。


 「でもあの人形が言っているのは本当の事。私は初め父さんたちに協力してたくさんの人を殺した。いくつもの世界を消した」


 「カッシー……」


 雪が心配そうな目でカシオペアを見つめる。


 「私の罪は絶対に償い切れるものじゃない。子供だったからなんて言い訳は通用しない。でも出来ることはある、それは……」


 カシオペアは自分の決意を再確認するように、頬の傷に触れながら続けた。


 「それは父さんたちを止めること。これ以上犠牲を増やさないこと。あの日私はそう決めたの。だから二人ともお願い、こんな血に汚れた私だけど……」


 「協力するよ! 昔の色々なことがあって、そこで悪い事をしちゃったかもしれない。でも今ここにいるカシオペアはこの世界を守ろうと頑張ってくれてる! そんなあなたを見捨てたりしないよ!」


 「協力するに決まってるでしょ! 私たちの知ってるカッシーは強くて優しい最高の仲間なんだから!」


 「みんな……ありがとう」


 涙をこらえながらカシオペアは決意を新たにする。そんな姿を『Ⅷ』は優しそうな目で見つめていた。


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