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1.出会い

初めて投稿させていただきます。

お見苦しい点も多々あるかと思いますが、ちゃんと完結はさせる所存です!

最後までお付き合いいただければ幸いです。




 高くそびえるビル群の中の一つ、その屋上に二つの人影がある。二人とも若く12歳程度だろうか。

 一人は赤い短髪の少女、右頬に切られたような跡があるがあどけなさの残る美しい顔立ちをしている。しかしその目は鋭く表情は決意に満ちている。


 「絶対にこの『時』を守ろう」


すがるように右頬の傷に触れながら少女はもう一人の少年に語りかける。


 「ああ、必ず……」


 同じく赤い短髪の少年は答えるがどこか不安げだ。ビルの下の様子をうかがう少女のことを心配そうに見つめている。


 ビルの下は異様な光景が広がっていた。ごった返す群衆は誰一人動かず、代わりにうごめいているのは2メートル近くある灰色の化け物たちだ。

 みな右腕にひしゃげた時計の刺青がされている。群衆を襲う様子はなくひたすら黒い奇妙な杭を打ち込んでいるのが見える。


 「いくよ!」


 赤くきらめく剣を手に少女はビルの上から飛び出す。黒い短剣をたずさえた少年もそのあとに続く。

 二人はこの世界でもまた、時を巡る戦いに身を投じていくのであった。


      =============================================



 またか、と向郷桃こうごうももは心の中でため息をついた。


 小学6年生の桃は、親に内緒で友人のゆきと近くの大きな街に母の日のプレゼントを買いに来ていた。駅近くの百貨店で一通り物色した後、外にでた矢先に再びこんな事態になってしまった、


 

 時間が止まるのだ。



 意識はあるが体が全く動かず周りの人も動物も動かない、代わりに物語に出てくる灰色のオークのような怪物が街を闊歩かっぽしている。

 初めて動けなくなったときは泣きそうになったが、何度も同じような経験をした今では慣れたもので冷静に止まった時の中を立ち尽くしている。

 

 不思議と化け物たちは襲ってこないし体感で30分もすれば元に戻るのだ、動けないのは苦痛だが30分なら耐えられないほどではない。

桃はそれとなくいろいろな人に聞いてみたが同じような体験をしている人は隣にいる雪だけだった、どうやら桃と雪だけ特別らしい。



 時間が動き出したら雪とまたこの不思議な体験につい話そう、桃がそう思っていると眼前でいつもと違うことが起こり始めた。二人の少女と少年が突然上から現れて化け物たちを倒し始めたのだ。


「はっ!」


 鋭い掛け声とともに赤い服を身にまとった少女が化け物たちを両断していく。

 魔法少女のように可愛らしいスカートだが、それほど派手な装飾はされておらず動きやすそうな服装に見えた。腰の辺りには淡い光を放つピンク色の懐中時計を身に付けている。


 近くにいる化け物たちが少女と黒い服の少年へ一斉にとびかかるが相手にならない、気が付くと一掃されていた。


 「早く終わらせよう、すぐにまた時間が動き出す」

 少女はそう言うと少年とともに打ち付けられている黒い杭のようなものを壊し始めた。その行為にどのような意味があるのかはわからないが二人はとても必死そうに見える。


 顔も動かせないので目の前にいる少女を見つめているとふと目が合った。少女は桃の顔を見ると驚いたような様子をみせ、すぐに桃が左手につけていた青い腕時計に目をやりそして……



 そして涙を流していた。



 眼前で美しい短髪の少女が涙を流しているのを見て桃は困惑していた。明らかに彼女は桃のことを見て泣いているのだ。自分の後ろにいる誰かを見ているのかもしれないが確認するすべもない。すると少年が少女の異変に気が付き駆け寄ってきた。


 「何があった! カシオペア、大丈夫か?」

 心配そうに少年が尋ねる。


 「うん、大丈夫。なんでもないから心配ないよ、兄さん」

 少女が涙を拭いながら答える。


(兄妹なんだ、確かに二人とも美形でよく似てるなぁ。カシオペアって星座の名前だっけ?きれいな名前で羨ましい……)

 などと困惑しながらも間の抜けたことを考えていると少女が微笑みながら桃の肩に手を当てた。


 「えっ?」


 その瞬間、突然体が動いた。時間が流れ始めたのかと思ったがどうやらそうではないようだ、相変わらず周りの群衆は動いていない。

 訳も分からずにきょろきょろとしているとカシオペアと呼ばれていた少女が肩から手を放し、一転して真剣なまなざしでこういった。


「私はカシオペア、こっちは兄のアイン。二人で色々な世界の『時』を守るために戦っているの。お願い、一緒にこの世界の『時』を守るために協力して!」


 突然協力を頼まれて桃が言葉に詰まっていると、アインが叫んだ。


 「どういうつもりだ!関係無い素人を巻き込んで……。俺たちのしている戦いは素人が手を出せるようなものじゃないだろ!」


 「この人が手伝ってくれれば大丈夫だよ。きっと今回でけりをつけられる」


 カシオペアから妙に期待されているようだが、桃には何かと戦う力も度胸もない。だが二人の必死さを感じた桃はこんな異常な状況下でもきっぱりと断ることができなかった。


 「最近変なことがよく起きるし、化け物は出るし、そいつらが悪い奴なら一緒に戦いたいけど。私には戦えるような力は無いから……」

 桃がそういって目を伏せると、カシオペアが桃の左手をとって青い腕時計に手をかざした。その瞬間、カシオペアの持つ懐中時計と桃の腕時計がまばゆく光った。


 「ふぇ?」


 次の瞬間桃の姿は一変していた。青い長髪に青い目、そしてまるで魔法少女のような服装になり右手には水色の透き通った剣が握られている。


 「これであなたも時の力を使って一緒に戦える」

 カシオペアは微笑みながらそう言った。

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