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3話

白玉支部会議室では各班の班長達による話し合いが行われていた。議題はもちろん襲撃者の少女、フィアについてだ。


「だから、あの襲撃者は殺すべきだって! あいつは信用出来ない! いつ攻撃されるか分かったもんじゃないしな!」


「彼女に攻撃する意思がないんだから殺す必要はないだろ! それに、彼女が俺たちに力を貸してくれるのならこれからの戦いが有利になるはずだ!」


彼らの意見は2つに別れていた。フィアに協力するか、しないかだ。


協力派は八城の3班と兼本の4班、反対派は1班と2班だ。それ以外の人はまだ意見を決めかねている。


1班隊長の浜松大志は皆に向かって強く主張する。


「いくら見た目が小学生ぐらいだとしても襲撃者だということに違いはない! 襲撃者は殺す、それが守護者の役目だろ!」


その主張に対し八城が反論する。


「いや違う、守護者の役目は人々を守ることだ! 襲撃者を殺すのはあくまで奴らが人々の安全を脅かすからに過ぎない。敵意のないあの少女を殺す必要はない!」


八城の言葉に立ち上がったのは2班隊長の成瀬亜美だ。


「あの襲撃者がどうして安全だって信じるの? 私達を騙すためにわざと敵意がないように振る舞っているだけかも知れないじゃない!」


今度は兼本が立ち上がる。


「少女が俺たちを殺すつもりなら食堂ですぐに殺していたはずだろ! なんせ俺たちはほとんど武器を持っていなかったんだ。あそこで攻撃すれば俺たちを簡単に全滅させることが出来た。だけどそれをしなかったってことは本当に協力を求めにきたに違いない!」


話は平行線のまま、時間だけがどんどん進んでいく。

会議開始から2時間後、このままではなにも決まらないと思ったのか水野が前に出て言う。


「じゃあこうしようか。本当に敵意がないのか調べるために暫くは監視をつけて様子を見る。分かるまでは協力はしないけど殺すこともしない。殺せるかどうかも分からないしね。 これでどうだい?」


水野の言葉に反対の声を挙げるものはいなかった。浜松や成瀬も多少不満そうだが賛成した。

皆の様子を見て水野が告げた。


「決まりだね。じゃあ監視役は3班にお願いしよう」


水野の言葉に八城は驚く。


「え? 俺の班だけですか? 大丈夫だとは思いますがせめてもう一班はいたほうがいいのでは?」


「そうなんだけど、最近襲撃者の攻撃が活発化してるせいで戦力に余裕がないんだよ。すまないけど頑張ってくれるかい?」


「まあ、それなら仕方ないですね。俺の班で何とかします」


「うん、よろしく頼むよ」


この日の会議はこのようなかたちで幕を閉じた。


会議が終わり、八城達は食堂へと戻る。食堂にはフィアと、会議に参加していなかった戦闘課のメンバーが残っていた。メンバーは全員銃を持ち、防護服をきた戦闘装備をしてフィアを囲むようにして待っていた。

会議組が戻ってきたのをみて彼らは警戒しながらもそれぞれの隊長の場所へ集合した。

八城のところにも御華、天野、黒瀬が集まってきた。

サブマシンガンを持った彼女らが尋ねる。


「結局、あの子はどうすることになったんだい?」


「しばらくの間は様子をみることになった。それで俺たちが彼女を監視しろってさ」


「あら? わたくし達だけですの?」


「ああ、監視に多くの人を回せるほど戦力に余裕がないらしいからな。俺たちだけでなんとかしてくれだと」


「仕方ないわね。最近襲撃者多いし。とりあえず殺さないなら彼女と話をしてみるのはどう? 仲良くなって悪いことはないわよ」


御華の言葉に他の3人も頷く。そして4人は警戒しながらも近づく。

フィアも八城達に気づき座っていた椅子から立ち彼らに話しかける。


「あなた達が私を監視するの?」


「! 聞こえてたのか?」


フィアの言葉に4人だけでなく食堂にいる全員が驚愕の表情を浮かべた。


「この食堂内の音なら全部聞こえるわ」


彼女の言葉を聞いて八城はすぐに3班以外のメンバーに合図を送る。合図をみた者は次々に食堂から出ていった。

しばらくすると、食堂食堂にいるのはフィアと4人だけになった。


「いい判断。もし私がスパイなら情報漏洩待ったなしだった」


「そりゃどうも。お前の言葉のお陰だけどな」


「ふふっ、それもそうね」


フィアはくすりと笑う。表情に乏しそうな顔だがちゃんと感情はあるようだ。

八城は頭をかきながら少女に言った。


「あー、さっきも言った? が俺たちがしばらくのお前を監視する。お前が信用できるか見極めるためだ。基本的に危害は加えない、加えられないから安心してくれ。信用するためにまずは聞かせてくれるか?何故お前がここに来て俺たちに協力を求めたのかを」


それをきいたフィアは少しの沈黙の後、ゆっくりと話を始めた。

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