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よく絞ったミカンの皮は、目にとても効く

作者: 井上達也
掲載日:2015/07/02

ある日、友達は言った。

「なぁ、レモンの皮って美味いよな」

僕は、「いやいや、レモンの皮なんて食わないよ」と返した。

すると、その友達はこう返してきた。

「おまえは、みんながレモンの皮を食べていないというありきたりな平均で物事を決めるのか。現実に、俺は目の前にレモンの皮を毎日カルパッチョにして食べてるんだぞ。」

僕は、特に反応をしないことにした。

何が、レモンだ。何がカルパッチョだ。カルパッチョってなんだよ。カルパッチョは、何語だよ。イタリア語かよ。カルパ食べたくない?とか彼女が言い出したら、自分なら間違いなくカルパスを差し出してしまうわ。

お前は、人には死ねと言われたら死ぬのか、と言われているような気がした。彼は彼で、人に刺さる言葉を使うのだなと思った。

僕は、胸を張ってこう言うだろう。

「僕は死にましぇんッ!」


僕は、テーブルの上に、食べ残しのミカンがあることに気づいた。冬の寒い時期、コタツに入ってミカンを食べるのが子供の頃大好きだったという理由で、母が仕送りで送ってきてくれる奴だ。

大学の時から仕送りが始まって今になるが、かれこれ10年になる。長いこと親の世話になっている。親は泣いているかもしれないな。


感傷に浸る僕を尻目に、隣の輩は、カルパッチョ〜カルパッチョ〜と謎の歌を歌い始めた。少々、調子にのる彼を見て僕はこう言った。


「なぁ、知ってるか。よく絞ったミカンの皮は、目にとても効くんだぜ」





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