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ME&MYBOY  作者: 真矢裕美
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記者会見

拓哉は水平塾のミュージカルが千秋楽を迎えた翌日、

私たちは結婚の記者会見をすることになった。

私は身重の体がわからないように和服を着た。

拓哉はポールスミスのスーツを着ている。

普段の拓哉からは想像つかないのでドキドキしていた。

「なんか緊張するな」

「別に謝罪会見じゃやないんだから」

「おいおい、やめてくれよ。冗談きついぜ」

「わかっているって。

今日が正式に夫婦になるんだってことを知らせるのよね。今まで長かったわ」

「そうだな、いろんなことがあったよな。

これでオレたちは世間に憚ることなく堂々と夫婦で繋がっていくんだ。

ひろみ、二人で幸せにやっていこうな」

「はいっ」

私は幸せだった。

憧れていた男性と結婚に夢見心地だった。

そして記者会見の時が来た。

「本日は僕たちのためにお集まりくださりありがとうございます。

このたび、今城島拓哉は隣います朝霧裕美さんと結婚します。

この世界では未熟者でありますがよろしくお願いします」

「城島さん、お二人の出会いはなんですか?」

「4年前にタイムトラベルというラジオ番組で知り合いました」

「城島さんが見た朝霧さんの印象はいかがでしたか?」

「彼女を初めて見た時はドキドキしました。

とてもチャーミングで可愛い人だなって思いました」

「ドキドキしたということは朝霧さんが初恋の女性ということでしょうか?」

「はいっ」

拓哉は記者の質問に淡々と答えていた。

初恋の女性でもあり生涯生きていく女性と

私に言った拓哉の言葉を思い出していた。

「朝霧さんに伺います。城島さんは朝霧さんを初恋の女性とおっしゃって

いましたが、朝霧さんにとって城島さんはどんな魅力を感じていますか?」

「男らしくてどんなことでも守ってくれる彼に魅力を感じております」

「これからは城島さんを支えていくことになりますが、

朝霧さんから要望はありますか?」

「私からはございません。

彼が芸の世界で活躍できるように支えていくことが私の役目と思っております」

「城島さんには早い話ですが、お子様は何人ほしいですか?」

「それはまだ先の話です。僕たちは学生なんで

学校を卒業してからと考えています」

「本日の会見はこれで終了させていただきます。

ありがとうございました」

二時間という時間がとても長く感じた。

赤ちゃんのことは寛先生と拓哉の事務所の計らいで

記者会見では伏せておこうということになった。

18才といえば遊びたい盛りなのに父親になることを決めた。

今日の会見で拓哉の意志の固さを見せつけられた。

拓哉、ありがとう。

私を選んでくれて嬉しいです。

赤ちゃんと一緒によろしくお願いします。

「疲れただろう?楽屋で少し休もうか」

「うん、そうする」

つわりが激しかった時と変わって今は穏やかになっている。

それだけ赤ちゃんが育っているのがわかる。

「拓哉、ひろみさん」

「みんな、来てくれたのか」

「結婚式はクラス全員で行くからな」

「ありがとう」

拓哉の友達は本当に優しい。

私が拓哉の高校に教育実習に行った時に友情が強いと思った。

尚志くん、和彦くん、彰くんは同じ18才でも個性が違う。

とくに彰くんとはクラス委員をやる仲で勉強でもライバルになっていた。

それは拓哉が1年生の時に彰くんからクラス委員を引き受けてくれと

言われてから、拓哉は彰くんに近づきたいと勉強に頑張ってきた。

成績も学年で10番以内に入り、頑張ってきた。

担任の先生が3年間小川先生だということが

拓哉には安心できる存在だったと思う。

小川先生は拓哉を退学になるのを庇ってくれた。

本当に感謝している。

小川先生、私たちの結婚式見ていてくださいね。

「拓哉、今さスペシャルゲストが来ているんだよ」

「えっ?誰だよ?」

和彦くんの言葉に驚きを隠しきれなかった拓哉は、

和彦くんにもう一度尋ねていた。

「今ホテルのロビーにいるから行ってみなよ。

拓哉の結婚のkと一番に喜んでいたんだから」

「そうか、行ってみるよ」

そう言って拓哉はホテルのロビーに行った。

するとロビーにいたのは佐野静さんだった。

突然の再会に拓哉は驚きを隠しきれなかった。

「静、来てくれたのか」

「拓哉、婚約おめでとう」

「ありがとう、オレの婚約者に会ってくれるか?」

「もちろんだよ、そのために東京から来たんだから」

拓哉は水平塾のミュージカルで佐野静さんと良きライバルになったようだ。

拓哉のために東京から来てくれたことが拓哉には嬉しかったようだ。

そして拓哉は静さんに私を紹介した。

「オレの婚約者のひろみだよ」と・・・。

そして静さんは私にこう言った。

「ひろみさん、拓哉は舞台稽古の時あなたの写真をいつも見ていました。

あなたの笑顔を見ると安心すると言って舞台が始まった時も

あなたの写真を肌身離さず持っていました」

「そうだったんですか」

「拓哉、幸せにしてやれよ。またいつか舞台やろうな」

「ありがとう、静。舞台で共演できるのを楽しみにしているよ」

拓哉、よかったね。

佐野静さんに認められて・・・。

今日1日が早く感じた。

これから拓哉と歩いていくんだ。

拓哉の妻として一生懸命尽くしていこう。

これから芸の道で極めようとする彼を支えていこう。

今の拓哉なら必ず極めようとする。

家族を守る父親になっているのだから。

私は生まれてくる子供に精一杯の愛情を注いでやりたい。

それは拓哉も同じ気持ちだろう。

「拓哉、もうすぐだね。赤ちゃんが産まれるのは」

「これはマスコミに伏せておけって事務所から言われているんだ。

頼むから結婚式まではクラスの連中には内緒にしてくれよ」

「わかったよ、ここだけの話にするよ」

「まったく、ハラハラするぜ。子供のことがばれたら

ひろみの名誉が傷つくことになるからな。

朝霧裕美のイメージはマスコミに浸透しているからな。

気をつけて行動してくれよな」

「わかったよ、気をつけるよ」

拓哉は子供を守ろうと必死になっている。

子供を守るなら鬼にでもなれるって

おばあちゃんが言っていた。

「子供を心底愛しているから結婚を決めたんだね」と言ってくれた。

今の拓哉が私には頼もしく見える。

私も母親として子供を育てていきたい。

私も拓哉も一人っ子で育ったから兄弟は多いほうがいいかな?

まだまだ先の話だけど、今は子供が元気に産まれてほしい。

そう願わずにいられない私だった。



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