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ME&MYBOY  作者: 真矢裕美
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愛しい人

最近、私は拓哉と部屋で過ごすことが多くなった。

拓哉が苦手としている英語を教えることもあるが、

なによりも二人で手作りのケーキやクッキーを

つくったのを食べて過ごすのが多くなった。

だけど、拓哉は校則違反を考えて外泊しない。

この頃の私は拓哉と一緒に過ごしたいと願っている。

拓哉を愛している。

一緒に暮らせなくても朝まで一緒にいたいなんて

私、いけないことを考えてしまう。

「ひろみも彼氏ができたらわかるわよ」

はるみ先輩の言った言葉が今になってわかってきた。

私、拓哉のそばにいたい。

いけないことでしょうか?

こんな時にはるみ先輩がいたら…。

はるみ先輩、私どうしたらいいですか?

「ひろみ、ごめんな」

「えっ?何が?」

「オレが外泊できないから淋しい思いしてないかなって」

「どうして?」

「できるなら朝まで一緒にいたい。だけど今はできない。

おまえを大事に守っていきたいから。わかってくれるか?」

拓哉、私のこと大切に思っていてくれていたんだ。

ありがとう、拓哉の気持ちわかったよ。

拓哉のこと信じていくからね。

「なぁ、ひろみ。今年の夏に長崎に行かないか?」

「長崎に?どうして?」

「和彦の妹がドリームランドを受験するんだ。

その前におまえに会いたいって。

夏休みに行こうと思うんだがどうだ?」

「うん、いいよ」

二人で旅行なんて嬉しい。

今年はどんな夏になるだろう?

二人の楽しみが増えて嬉しいです。

プルルルル

「もしもし」

電話は無言ですぐに切れた。

「どうした?」

「うん、最近無言電話がかかってくるの。

稽古場で待ち伏せされている時もあるの」

拓哉に初めて悩んでいることを話した。

無言電話そして稽古場での待ち伏せのことを…。

「危ないなぁ、ラジオの時はオレがいるから

危害は加えてこないだろうけど、心配だなぁ。気をつけろよ」

「うん」

「ストーカーかもしれないな。なるべく一人で行動とるな。

友達に送ってもらうとかしろよ」

「わかった、そうする」

よかった、拓哉に話して。

拓哉が頼りがいのある人でよかった。

そんな安心感からか私は拓哉の腕に抱きしめられていた。

拓哉、このまま離さないでね。

そして翌日、稽古場での帰り圭織と一緒に出た。

「なんや、最近ガラの悪い連中が待っていて気持ち悪いな。

ひろみ、あんたのマンションは確かうちの家の近くやったな」

「うん、そうだけど」

「それやったら家まで送ったるわ。車持ってくるから待っとき。

まったく、誰を待っているんか知らんけど迷惑やな」

「ありがとう、圭織」

「しばらくうちと一緒に帰ろう。

誰のストーカーか知らんけど、怖い思いするよりマシやろ」

「うん、そうだね」

「なぁに?この怖い連中は?」

「涼子先輩お疲れ様です」

「最近、稽古場も気持ち悪くなったわね。

楽屋待ちをしている他のファンの子たちと

トラブルにならなきゃいいけど怖いわ。

二人とも気をつけて帰ってね。

とくにひろみは今人気が出だしてきて

ファンが増えているから心配なのよね。

ファンのなかにはストーカーもいるから注意してね」

「ありがとうございます、涼子先輩」

「ひろみ、お疲れさん。また明日な」

「ありがとう、圭織。お疲れ様」

しばらく圭織と一緒に帰ろう。

ストーカーから自分の身を守るために…。

だけど、一人になると怖い。

「ひろみ、おかえり」

「拓哉、待っていてくれたの?」

「何かあったらと思ったら心配になってな」

「ありがとう、拓哉」

「見てみろよ、あいつらか?稽古場で待っていたのは?」

「えっ?どうしてここまで来たの?」

「おそらくタクシーを使って後をつけてきたんだな。

ひろみ、部屋の予備の鍵持っているか?」

「うん、どうするの?」

「しばらくオレがここにいるよ。

部屋に着いたからって無事にすまないかもしれないから。

それにオレの大事な女を危ない目に遭わせられないからな」

オレの大事な女。

拓哉、私をそこまで思っていてくれていたんだ。

「ここじゃなんだから部屋に入ろうぜ。

明日からオレが毎日おまえの部屋にいる。

部屋が明るければだれも手出しはしてこない。

ひろみ、おまえはオレにとって大事な女だ。

必ず守ってやるからな」

拓哉の言葉が頼もしく感じた。

拓哉がいれば怖くない。

一人だと怖いけど、二人だと怖くない。

拓哉、心配してくれてありがとう。

「ひろみ、稽古場から帰る時に電話をかけろ。

オレはその時間を見計らって部屋に行くから」

「うん、わかった。帰りは圭織と一緒に帰るから

その時に電話を入れるわ」

「おまえに危害を加えるヤツは許さない。

必ず守ってやるからな」

「拓哉、ありがとう」

それから拓哉は毎日私の部屋の前で待っていてくれた。

ストーカーに対しての怖さは次第に薄れていった。

これも拓哉のおかげ、本当にありがとう。

今は拓哉と毎日過ごせて楽しい。

拓哉、ずっとこのままでいさせてね。

「ひろみ、まだまだ油断できないからな。

実際の相手がわかるまで一人で行動するなよ」

「うん、わかった」

「相手は高校生だな。

それも寮生活しているか

金には余裕があるのかもしれない。

気をつけたほうがいいな」

「私は拓哉が来てくれるだけで嬉しいよ。

本当にありがとう。拓哉のおかげで今は心細くない。

私のために体を張ってくれて守ってくれるのがとても頼もしく感じるの」

「今頃わかったのかよ、オレだってやる時はやるぜ。

オレの大事な女に指一本触れさせない。オレが守ってやる」

「拓哉にとって私が大事な女だというように

私も拓哉が大切な男の人だよ。

私たち自然と絆が深まっていくのが感じられた。

恋人として付き合うようになってから一年が過ぎて

私たちの仲はいっそう深いものになろうとしている。

拓哉、いつまでもそばにいさせてね。

あなたを愛しているから。

「ひろみ、愛している」

そう言って拓哉は私を抱きしめてキスをしていた。

激しいキスに酔いしれる私は拓哉に愛されている幸せを感じていた。

何度もキスを着てお互いの愛を確かめただろうか?

大学での同級生のなかにはキスより深い仲になったと言っていた子がいた。

もしも、私も拓哉からキスより深い仲を求められたら

どうしたらいいのだろう?

「節操は守りなさいよ。女の操は愛する殿方に捧げなさい」

そう言ったおばあちゃんの言葉が聞こえてくる。

こんな時、おばあちゃんがいたらどう答えていただろうか?

「自分で決めたことなら決して後悔してはいけませんよ。

これからはしっかり自分の足で歩いていくのですよ」

おばあちゃんは厳しい反面私の理解者でもある。

拓哉との交際のことを手紙で書いたら返事の手紙に

「勇次師匠の息子さんとお付き合いするのだね。

仲良くやるんだよ、おばあちゃんは遠くから

ひろみを見守っているからね」と書いてあった。

おばあちゃんは拓哉のことも理解してくれている。

私が一人暮らししていても手紙でいろんなことを書いてくれる。

おばあちゃん、ありがとう。

私、拓哉とずっと仲良くやっていくからね。


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