あなたに帰りたい
拓哉と付き合ってから1年になった。
今日はバレンタインデー。
手作りチョコを初めてつくってみました。
お菓子づくりは大好きでクッキーをつくった時は
友達とティータイムに食べています。
今回のチョコづくりは本を見て材料をそろえて力が入りました。
バレンタインデーが待ち遠しいなんて本当に初めてです。
これで拓哉が喜んでくれると嬉しいのですが…。
今日は土曜日で二人のデートには好都合の日。
だから今からワクワクしています。
拓哉は学校が午前中なので学校が終わってから
メールを入れると昨日連絡が来ました。
手作りチョコを箱に詰めて可愛い包装紙で
ラッピングしてプレゼントギフトの完成。
早く拓哉が来ないか待ち遠しいです。
しばらくして私の携帯の着信音が鳴った。
それは拓哉からのメールだった。
「ひろみ、今授業終わった。これから帰るから出かける用意して待っていて」
やった、拓哉に会える。
私は出かける用意をして待つことにした。
しばらくしてメールがきた。
「ひろみ、今着いた。下にいるから降りてこいよ」
私は急いで部屋の鍵をかけて部屋を出た。
エレベーターから降りたら1階のエントランスルームで拓哉が待っていた。
「お待たせ」
「今日は何処に行こうか?久しぶりに神戸に行かないか?」
「うん、いいよ」
今日のデートは神戸に行くことになった。
JR神戸線に乗り、六甲の夜景を見ることになった。
六甲山は季節を通して楽しめて私は好きです。
六甲山に着くと二人で夜景の見える丘に行きました。
今はちょうど2月、雪景色が綺麗です。
「拓哉、山が綺麗だね。見物客がいっぱいいるよ」
「そうだな、雪見物も洒落ていて楽しいな。オレたちも雪山見物しょうぜ。
だけど、夜食買ってないな。どうする、ひろみ?」
「それなら大丈夫。お弁当つくってきたから二人で食べましょ」
「よかった、これで晩飯の心配は回避だな。
ひろみ、今日は思いっきり楽しもうぜ」
よかった、お弁当用意しておいて。
なんか今日は楽しくなりそう。
何かするにも前向きな拓哉に私は惹かれている。
一緒にいるたびに幸せになっている私がいた。
考えてみれば付き合う前は雲の人だと思っていたから
告白なんて無理だと思っていた。
だけど、あの時拓哉から好きだって言われてから
自然と付き合うようになった。
今では恋人同士になって本当に幸せ。
このままずっと幸せでありますように…。
「ひろみ、オレたち付き合って1年になるんだな」
「そうだね、私幸せよ。拓哉と一緒にいられて」
「オレもだよ。ひろみに思いを伝えたくても
勇気でなかったのが信じられないよ。
高校に行かないと決めていたのに、
今ではちゃっかり高校生やっているから信じられないぜ」
「拓哉が高校に行こうって頑張ったからじゃない。
受験の時、スタジオで受験勉強していたじゃない」
「そうだよな、半分は寛さんに言われたのがあったけど、
やっぱり本心は尚志と同じ学校に行きたかった。
だから頑張れたんだよな」
「今では尚志くんだけじゃなく他にもお友達ができてよかったじゃない」
「和彦や彰のように親元は慣れて寮生活して頑張っているヤツは
たくさんいるからな。
考えたらオレはオヤジがいて当たり前に思っていたんだからな。
だからオレも勉強頑張るよ。
担任の小川は数学だけど教え方上手くてさ、
それまで数学が苦手で公式を覚えるのも嫌いだったけど、
苦手意識を克服することができたんだ」
「よかったじゃない。小川先生教えるの上手いからね」
「ひろみは小川を知っているの?」
「うん、2年生の時の担任の先生だったんだ」
「小川に初めて会った時は怖い先生だなって思ったが、
だんだんクラスで慣れてきたら優しい先生だなって思うようになったよ。
そういえば、英語の吉村は生活指導もやっているからうざいんだよな。
授業は退屈でわからないし、英語の宿題が来たら教えてくれよな」
「わかった、いいわよ。吉村先生の英語はコツを掴めば大丈夫よ」
「ありがとう、助かったぜ。
持つべきものは英文科に通う彼女の家庭教師だな。
ひろみ、恩に切るぜ。
それにさ、吉村の生活指導は厳しいんだぜ。
変形ズボンを穿いていたらチェックが入るからな。
オレのクラスのなかでも変形ズボン穿いて通学してくるヤツいるからな。
だけど、小川は暗黙の了解で黙って見逃してくれている。
学校で問題を起こさない限り黙って見守ってくれるよ」
「私がいた時はスカートをミニスカートにして登校する女の子がいたわよ。
だけど、小川先生は黙って見逃してくれたよ。
髪の毛を縛るゴムの色も小川先生の時は自由にしてくれたよ」
拓哉と話していると懐かしい高校時代に帰っている。
宅茶は高校生活も今の仕事も充実しているようで本当によかった。
拓哉、高校の授業頑張ってね。
「拓哉、プレゼントがあるの」
「えっ?なんだ?」
「はいっ、今日はバレンタインデーでしょ?
手作りチョコをつくったの。形は不恰好だけど笑わないでね」
私は拓哉に手作りチョコの入った箱を渡した。
拓哉はすぐに箱を開けてみた。
「ひろみ、ありがとう。不恰好なんてことないじゃん。
嬉しいよ、ファンの子からのチョコよりも
本命の恋人からもらうのが男には一番嬉しんだぜ」
「よかった、喜んでくれて」
「ひろみ、これからも仲良くやろうな」
「うん」
拓哉が喜んでくれてよかった。
手作りチョコをつくって本当によかったと私は思った。
「ひろみ、ありがとう。オレには最高の贈り物だぜ」
しばらくしてから拓哉は私を抱き寄せてきた。
そして自然にくちびるを重ねてキスをしていた。
拓哉に何度キスを交わしただろうか?
恋人になってから1年、拓哉に愛されて幸せを感じている。
いつも変わらない優しさで包んでくれる拓哉に私は惹かれている。
キスで愛されている幸せを何度実感してきただろう。
拓哉、このまま私を離さないでいて。
ずっと、あなたに愛されたいから。
私は拓哉の腕に抱かれて幸せに包まれていた。
「ひろみ、愛しているよ」
「私もよ、拓哉」
「オレはおまえを離さない。ずっと一緒だからな」
「拓哉、私を離さないで。愛しているから」
愛している。
キスをするたびに愛されているのが実感できる。
拓哉、今日の雪山のように清らかな思いを忘れないでいようね。
「そろそろ帰ろうぜ。ロープウェーの最終に今からなら間に合うぜ。
行こう、ひろみ」
「うん」
拓哉、今日のデートは思い出深いものになったよ。
ありがとう、拓哉。
これからもよろしくね。
今年のバレンタインデーは私にとって嬉しい贈り物になった。
拓哉と一緒の雪山デートは私たち二人に
新しいスターとが切れるきっかけになったのだから。
拓哉に出会えてよかった。
今まで雲の上の存在だった彼が今恋人として目の前にいる。
まだ、寛先生に公認をもらえてないけれど、
いつかは寛先生に話してみようと思っている。
「拓哉、寛先生に私たちのこと話す?」
「それはオレの口から寛さんに話す。だから待っていて」
「わかった、拓哉がそう言うなら私からは言わない」
拓哉、考えていたんだ。
私と同じことを…。
拓哉、ありがとう。
私、時期が来るまで待っているから。