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ME&MYBOY  作者: 真矢裕美
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遠い星を数えて

はるみ先輩がフランスに旅立ってから1か月が過ぎた。

この間私はクラスの進級で2年生になり、

後輩の1年生を教えていく立場になっていた。

「早いもんやな、うちらが初舞台踏んでから1年になるんやな。

後輩に恥ずかしくないように頑張っていこうな」

「そうだね、いろいろあったけど心機一転で頑張るわ」

「これから委員の仕事が忙しくなるで。

しっかりせんな同期のみんなに示しがつかんからな。

気合いを入れていこうな」

圭織と話した話したように2年生になると

1年生教えていかないといけないのです。

だから手綱を締めて私も頑張ります。

「おはよう」

「おはようございます、涼子先輩」

「二人とも進級したから緊張したでしょ?」

「はい」

「初舞台の時は誰でも緊張するのよね。

私は次の公演はトップ娘役での初舞台だもの。

はるみは舞台を大きく見せる女優だったから、

私にはプレッシャーがあるのよね」

「涼子先輩なら大丈夫ですよ。はるみ先輩も素敵な娘役さんでしたけど、

涼子先輩は失礼なことを言いますが可愛らしくて魅力があります。

だから自信を持ってください」

「ありがとう、ひろみ。可愛らしいなんて言われるの初めてよ。

見ていてね、美奈子先輩を虜にできる相手役になれるように頑張るわ」

暁深雪さん、本名は都村美奈子さん。

現在のドリームランドの男役のトップスターだ。

美奈子先輩は大ベテランの男役スターだ。

身長は178cmと大柄な男役でダンスと歌が得意な人だ。

私、いつも思っていた。

声楽でいつも綺麗な声で歌えたらって。

「喉だけで歌っちゃダメ。お腹に力を入れて歌いなさい」

声楽の先生から言われている言葉だ。

私、ソロで歌っている娘役さんみたいになれるかな?

やっぱりソロで歌いたい。

そんな夢を今持つようになっていた。

タイムトラベルも2年目になり、ラジオの仕事も板についてきた。

いろんなことを体験したドリームランドでの1年目は、

駆け足のように過ぎていった。

その間に拓哉と恋人になれたことは私にとって嬉しい出来事だった。

そんな時だった。

拓哉からメールが来たのは…。

「英語の授業、最悪。メガネかけたうざいババァ。

授業もわからないし、退屈」

ちょっと、これって私の3年の時の担任じゃないの!

吉村先生、男子部に異動になったの?

「拓哉、その先生は私の三年生の時の担任で

生活指導に厳しいから気をつけて」

私は学校の講義の合間に拓哉にメールを返した。

しばらくして拓哉から返事がきた。

「わかった、要注意人物だったんだ。用心するよ」

拓哉の担任は小川先生だった。

初めは怖かったけど、打ち解けてくると優しい先生だって言っていた。

小川先生、懐かしいな。

拓哉のメールを見て高校時代を懐かしく感じていた私だった。

そういえば、美由紀や律子はどうしているかな?

一度メールして会える機会を持とうかな?

そう思った私は学校が終わってから美由紀と律子にメールを入れた。

久しぶりに会いたいと…。

すると、二人からメールの返事がきた。

「ひろみ、久しぶり。私は毎日大好きなピアノと音楽の勉強に頑張っているよ。

今度の日曜日に4人で会おうね」

「メール、ありがとう。私は元気よ。今度の日曜日楽しみにしているからね」

よかった、二人とも元気そうで。

久美子はどうしているかな?

仕事頑張っているかな?

東京と大阪だと距離があるから会えないかな?

そう思っていたら、私の携帯が鳴った。

相手は久美子からだった。

「ひろみ、今度の日曜日に大阪に来ることになったの。

新しい新曲のイベントで大阪城ホールに来るの」

「そうなの?それじゃ美由紀たちと一緒に応援に行くね」

「美由紀たち元気なの?」

「二人とも元気だよ。ちょうど今度の日曜日に会う約束をしたばかりだったの」

「雅はどうしているの?」

「雅は元気だよ。今度劇団で運動会やるの。

それで雅がダンスを披露するんだよ、すごいでしょ?」

「雅、頑張っているんだ。ひろみも負けられないね」

「そうなの、私も頑張らなくちゃいけないなって」

「結城奈緒子さん、退団したんだよね。寂しくなったね」

「はるみ先輩は最後まで私を励ましてくれたわ。

本当に優しい先輩に出会えてよかったよ」

「今度の舞台は青山夕菜さんがトップ娘役になるんだね。

夕菜さんは可愛らしいスターさんになれるよ」

「久美子もそう思う?私も同じこと考えていた」

「ひろみも後輩に負けないようにね。

今頑張ったら、頑張った分だけご褒美がもらえるからね」

「そうだね、頑張るよ。久美子も頑張ってね」

久美子と久しぶりのおしゃべりに嬉しくなる私だった。

久美子が元気そうでよかった。

私は久美子が来ることを美由紀と律子そして雅にメールで知らせた。

「久美子がくるの?ラッキーだね、あたしたち4人で応援に行こうね」

私たちが卒業して初めての再会が久美子のイベントだった。

今日は久美子との再会の日、

私たちは久美子から招待状をもらっていたので、

特別に楽屋に入れてくれた。

「久美子、久しぶり」

「みんな、来てくれてありがとう。

なにしろ初めてのアルバムだから緊張しているの」

「久美子の話は転校してからも話題に出ていたのよ。

CDデビューが決まった時は大騒ぎだったのよ」

「ほんと、ドリームジェンヌのひろみと雅も話題になって

高校3年の時二人とも休み時間に後輩からサインくださいって

言われて大変だったんだよね」

「そうだよね、ほんとに懐かしいね」

そして、いよいよ久美子のコンサートが始まった。

新曲のバス・ストップをはじめに歌ってから

新しいアルバムの曲目を歌い上げた。

久美子は東京で歌手として頑張っているんだ。

私も負けられないと思った。

久美子とはいい意味でライバルになりたい。

ドリームランドの舞台でソロ歌手になりたい。

そんな夢を持つようになっていた。

「ひろみ、久美子頑張っているね。私たちも頑張ろうね」

「そうだね、雅。お互いに頑張ろうね」

雅も久美子に刺激されたのか舞台を頑張ろうと思ったようだ。

美由紀も律子も自分たちの目標に向かって頑張る指針ができたようだ。

久美子、久しぶりに会えてよかったよ。

今日は再会の日をつくってくれてありがとう。

私、ドリームランドでソロ歌手になれるように頑張るよ。

声楽の勉強一生懸命頑張って

寛先生や瑠璃子先生に認められるソロ歌手になってみせる。

私は新しい目標ができた。

ソロ歌手になってドリームランドの舞台に立ちたい。

ドリームランドに入団してから2年目、私の課題になった。

厳しい道のりだけど、必ず乗り越えてみせる。

日舞と違った新しい扉を必ず開けてみせる。

タイムトラベルというラジオ番組をやって2年目、

私は大きな夢に向かって走ろうとしていた。

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