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熱いアスファルトの上に立つ彼の姿を僕は正視する事が出来ない
俺たちって親友だよな、という言葉に、
とっさに言葉を返せないのは、
きっと今まで、
そんなことを考えた事が無かったからだろう。
知り合いから電話がかかってきた時、
何の用事の電話だろうかと考える。
何の電話だろう、と思えば、
僕は彼を知人だと思っているんだろう。
仕事かな、と思えば、
僕は彼を同期だと思っているんだろう。
飲みの誘いかな、と思えば、
僕は彼を友達だと思っているんだろう。
次からは、ちゃんと答えられるだろう。
ただ、本当にまいった時、
心が疲れて、気持ちが疲れて、身体が疲れて、
ひどく、自分という存在が、ゆれている時、
不思議なタイミングで、
自然と電話を掛けてくれるような時には、
僕は彼を親友だと思うのだろう。
けれど、大抵強がってしまう僕を
彼は親友だとは思わないだろう。
友情は曖昧で、
かげろうみたいに、
本当の姿を歪める。