第4話
少女が勢い良く立ち上がったせいで膝から落ちてしまった仔猫が、唖然とした表情でこちらを見ている。そんな猫を見ている僕も唖然としている。
初対面の少女にいきなり抱きつかれた僕はどうして良いか分からないまま、立ち尽くすしかなかった。
「な、何だ?知り合いか?」
桜井が驚いた顔で、僕と少女の顔を交互に見た。
「ぼ、僕は知らないです」
その言葉を発した瞬間、少女が顔を上げた。僕より頭一つ分低い少女が、僕を見上げる。その瞳は、僕を睨んでるようにも見えた。
「ごめんなさい。勘違いだった」
少女は消え入りそうな声でそう言って僕から離れた。
「あ、いや、気にしないで」
僕は笑顔を作ったが、それ以上少女が話すことはなかったし、俯いたままだった。
き、気まずいな。
僕は小さく溜息を吐いた。
「この子は琳。近所に住んでて、良くここに遊びに来てた子なんだけど、訳あって今はここに住んでる」
桜井が、琳の頭を撫でながら言った。
「初めまして。僕は・・・、雨。宜しくね、琳」
僕が言うと、琳俯いたまま小さく「宜しくお願いします」と言った。
「さぁ、雨も来たことだし、ご馳走食べようっ!琳、頼んだ!」
桜井が目をらんらんとさせて、琳を見た。
「自分で作らないと、女子力上がらないよ?」
琳はうんざりしたように桜井を見た。
「琳の料理が食べたいんだよ〜」
「優の料理も食べたい」
琳は桜井を優と呼ぶらしい。
少し頬を膨らませた琳に桜井は笑った。
「じゃ、明日琳の好物のオムライス作るから、今日は琳が作って」
「ほんと!?約束だよ!」
あ。ちゃんと笑えるんだ。
嬉しそうに笑った琳の笑顔は懐かしさを帯びていた。
なんか、ゴチャゴチャしてきたぞー。泣
読みにくくてごめんなさい。