表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不器用な想い  作者: 鹿糸
3/16

第2話

「どうした?」

僕が考え込んでいると、桜井が心配そうに顔を覗き込んだ。

「いえ、何でもないです」

僕は何を考えてるんだろう。自分が誰だかも分からないのに。でも、懐かしい何かがあの人にはある。ぼんやりと頭に浮かぶあの人に触れたい。でも、手を伸ばしたら泡のように消えてしまう。

ダメだ。思い出せない。

「まぁ、無理すんなよ。ゆっくり思い出せば良いから」

桜井はまた優しく笑った。

「じゃ、明日には退院して、私の家に来れるように段取りするから」

そう言って、桜井は立ち上がった。

「そうだ。君に名前をつけないとな」

桜井はしばらく俯いて考え込んでいたが、不意に顔を上げて満面の笑みを浮かべた。

「雨の日に倒れてたから、雨で良いな」

得意げな割りにはかなり単純なネーミングだが、僕も良い名前は思いつかないし、無いよりマシだろう。

「じゃ、宜しくな。雨」

桜井が僕に右手を差し出した。

「・・・宜しくお願いします」

僕は彼女の手を握った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ