表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不器用な想い  作者: 鹿糸
15/16

第14話

僕はしばらく琳が走り去った方向を見つめていた。

追いかけなくて良いのだろうか。

そもそも何で追いかけなきゃいけないんだ?

琳は僕の最愛の人を殺したんだ。

何で、そんな子を追いかけなきゃいけない?放っておけば良い。気にしなくて良い。勝手にさせとけば良いんだ。

でも・・・。

僕は結香に、あの子の傍に居てって言われた。僕が居たらあの子は寂しくないからって。

ああ。琳が僕を殺さなかった理由は、そういう事か。

枷を外して自由になりたくても、1人にはなりたく無かった。 誰かに傍に居て欲しかったんだ。

本当に、君達は不器用だね。

言えないんだ。母親になれないとも、傍に居て欲しいとも。

僕は、貴女の為に、君の為に、存在してるのかもね。

僕は立ち上がり、琳の元へ走った。


彼女の居場所は、ここしかない。

桜井の家の今の襖を開けると、案の定琳は居た。泣きながら、震えながら部屋の隅で膝を抱えてうずくまって居た。琳の傍には包丁が落ちていた。

「何で、何で、人を殺すのは容易かったのに、自分を殺すのはこんなに怖いの?」

僕の存在に気付いているのか、琳は口を開いた。

「琳・・・」

「結局私はあの人と言う枷を外せなかった。今でも苦しいもの。自由になれてない。それに1人だし。もう、疲れた」

琳は声をあげて泣いた。

泣かないで、泣かないでよ。僕は結香を殺した君が許せないけど、でも、君の傍に居る事が君の救いになるなら、結香の救いになるなら、それで良い。

「僕が、傍に居る」

君が寂しく無い様に。

君が自由になれる様に。

僕の頭に貴女の声が聞こえる。

『ナイトって言う名前は、琳が考えたのよ。ナイト、かっこいい名前ね。あの子を笑顔に出来る素敵なナイト(Knight)になってね』

大丈夫だよ。結香。

今度は僕が、貴女が大好きだったあの子の、琳の笑顔を守るから。君が出来なかった分、僕が琳を寂しくはさせないから。

僕は膝を抱えてうずくまる琳をそっと抱きしめた。

「1人じゃ無いから」

僕が、結香と琳の想いを繋ぐ存在になろう。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ