第12話〜琳・回想〜
私は、結香の行動を父に相談した。父は、私の身体のアザを見て困惑を隠しきれなかった様だが、結局娘の心配よりも結香を心配する気持ちが勝ってしまった。「結香も不慣れだから」「いきなり子供ができたから接し方が分からないんだよ」などと、私に言ってなだめた。
結局父は何もしてくれない。
そんな中で出会ったのが、優だった。動物に囲まれて、自由に生きる彼女が羨ましかった。いつしか、彼女の元へ行くことが日課になっていた。
でも、そんな事さえ、結香は許してくれなかった。帰りが遅いとか、心配だとか。
私は、彼女という、枷を、外したいと強く願った。自由になりたかった。彼女に作られる思考も捨てたかった。
そんな私の目に映ったのは、一本の包丁だった。
だめだ。震えが止まらない。
父に包丁を振りかざし、次は彼女に刃を突き立てた私。
彼女が、結香が力なく倒れる部屋の中で、猫の鳴き声が響く。
これで、これで、枷が外れた。
でも、震えが止まらない。
だって、彼女はあんなに私を苦しめたのに、何で、何で、この部屋には私が行きたい動物園のパンフレットや、私の大好きなオムライスのお店のパンフレットや、料理の本や、私の苦手な数学に関する本とかが沢山あるの?
机の上には、シャープペンとノートが置いてあって、色んな計画が書かれているのがはっきり見えた。それは、全て私中心の計画。
明日は動物園に行くことを計画してたみたい。動物園の裏情報なるものも書いてた。
理解出来ないよ。私を拒絶してたんじゃなかったの?違うの??
私は初めて、彼女の本当の想いを知った気がした。でも、もう遅いよ。
私は、家を飛び出し、夜の街へと走った。何も考えず、ただただ走った。
遠くに猫の悲しい鳴き声が聞こえた。




