第9話
それから、貴女はピクリとも動かなくなってしまった。いくら揺さぶっても、いくらないても、貴女は答えてくれない。
誰か、誰か、貴女を、助けて。
僕は外へ飛び出した。外の人に助けを求めるため。でも、外の人もやっぱり、ないてもないても、知らんぷり。僕の声は届かないんだ。どうしたら貴女を助けられるだろう。貴女が大好きだと言ってくれた、この体もこの声も、全然役に立たないじゃないか。貴女と同じ声が欲しい。言葉を発する事が出来る体が欲しい。
僕は声が枯れるまでないた。助けを求めて。雨が降りしきる中、僕は何度も何度も、鳴いた。
そうだ。僕は貴女を助けたかった。
そして気が付いたら、貴女と同じく言葉を発する事が出来る体になってた。
でも、貴女を忘れてたんじゃ、意味がないじゃないか。
僕は結局、貴女を救えなかった。
「雨?泣いてるの?」
目を開けた時、僕は泣いていた。それを心配そうに見る琳。
「思い出したんだ、全部・・・」
僕の言葉に琳の顔が一瞬曇った。
「君は、どうして、貴女を、僕の主人を、殺したの?」
琳は泣きそうな顔で僕を見ている。
僕だって辛い。貴女を助けるためのこの声で、貴女が大好きだったあの子を傷つけるかもしれないのに。
「どうして、僕を殺さなかったの?」
貴女がいない世界なんて、いらないのに、どうして僕は生きてるの?




