カードゲームは好きですか? その2
かなり遅れました、すみません。
「あいたたたた……」
私が目を覚ました時、彼女が見た景色は先程いた世界と似た全く違う世界だった。ビルのあちこちが倒壊しかかっており、あちらこちらにツタが這っている。
「……ここは、どこ?」
今のところ、私以外に人影は見えない。すこしパニックになったけど、ここがどんな場所なのか知っている人を探すため、私はおっかなびっくりと行動を始めた。
「私、何でこんな所に居るんだろう。さっきは私は遊ぼうって言う声を聞いて――」
「……わたしがよんだよ?」
「――そう、こんな可愛い女の子の声が……。ってきゃあああああ!?」
後ろから先程聞いた女の子の声がして、私は驚いて振り返った。
「あそぼっ!」
そこに居たのは小学生くらいの女の子だった。実際にランドセルを背負ってるし、小学生で間違いないのだろう。問題は……。
「何でこんな所に女の子が……?」
「んー? なんかね、でられなくなっちゃったの。でね、ユウはあそんでくれるひとをさがしているの」
「え!? 出られなく!? 私も出られないの!?」
「だいじょーぶだよー。みんな、あそんでくれたらかえれたからー! だからあそぼっ!」
目をキラキラさせてユウと名乗った女の子が詰め寄ってくる。この世界がどんな所で、この子は一体何者なのかは分からないけど、この子と遊んで帰れるなら……。
「いいよ、何して遊ぶの?」
「えーっとね……」
とユウちゃんはランドセルの中を探って、小さな箱の様なものを取り出した。それは私にとって馴染みのあるものだった。
「エレメント・セイヴァー!」
出てきたのは『遊』と書かれたエレメント・セイヴァーのデッキケースだった。女の子は楽しそうにデッキを上下に振っている。
「ちょうど私も持ってるけど……、持ってない人が来たらどうするの?」
二つデッキがあるけど、持ってない人は遊べないよね?
「? あそべるひとしかよんでないよ?」
「え? ……それってどういう――」
「はやく、はやく! しょうぶするの!」
「え!? うん、分かった! ちょっと待って!」
冗談じゃない事を言ってた気がするけど、ユウちゃんに急かされて、それはうやむやにされてしまった。
私が持っているのは黄色のデッキと黒のデッキ。でも、黒のデッキはまだ回した事がないから……強いデッキだけど黄色のデッキにしよう!
「じゃあ、どこでやるの? ここら辺にカードゲームができそうな場所がないけど……」
廃墟の様なこの世界には、ちょうどいい机と椅子が見当たらない。
「だいじょーぶだよ。こうやるの!」
とユウちゃんはデッキケースを私に向ける。言われたとおりに私もデッキケースをユウに向けた。
「バトルスタート!」
とユウちゃんが言ったのと同時に、ユウちゃんと私のデッキが光を放ち宙に浮き始めた。
「え、ええええええ!! なんで、アニメみたいな展開になってるの!? え? ここでやるの?」
「うん、そうだよ! 先攻はえっと……」
ユウちゃんは心底楽しそうに頷いた後、私を指さしてうんうん唸っている。
「もしかして、私の名前?」
勘で言ってみると、ユウちゃんの表情がパッと明るくなる。
「うん! おねーちゃんのなまえはなぁに?」
「私は、佐々木 月美。ツキミってよんで」
「ツキミおねーちゃん! 先攻どーぞ!」
どうやら、ユウちゃんは先攻を譲りたかったらしい。色々気になることはあるけど、さっさと勝ってすぐにここを出てしまおう。
先攻を貰った瞬間、デッキケースから5枚のカードが飛び出て私の周りをくるくると回り始めた。
「えっと、ドロー?」
ドローというとさらにデッキから2枚のカードが飛び出してきた。……なんかアニメみたい。
って感動している場合じゃ無かった。もしかしなくても他のカードも宙に浮いてくれるはずだから……。
「手札のカードをリミットに置いて、メイン!」
リミットゾーンと思われる場所に選んだカードが飛んでいく。もう驚かない。このカードゲームはリミットゾーンに置かれたカードのコスト以下のカードを使用できる。今回置いたカードのコストは4だから、4コストまでセイヴァーというモンスターを召喚できて、4コスト以下のスキルとフェイバリットスキルを使用できる。
「まずは《真珠の乙女 スピカ》を召喚! 私はこれでターン終了」
《真珠の乙女スピカ》セイヴァー コスト4 タイプ:エンジェ/ステラ
効果:無し アドバンテージ+1
「わたしのターン、2まいひいて、いちまいおいて、メイン! わたしは《ポルターガイスト バッグヒッポ》をしょーかん!」
《ポルターガイスト バッグヒッポ》 セイヴァー コスト4 タイプ:ドール/アニマル
効果:《トリガー:このセイヴァーの破壊時》デッキから1枚ドローする。
「アタックするよ! ヒッポでおねーちゃんにこーげき!」
「じゃあ、スピカでブロックするー。ユウちゃん行くよ!」
「「バトル!」」
お互いに手札を一枚裏向きで置く。エレメント・セイヴァーの最大の特徴は、戦うモンスターであるセイヴァーに攻撃力が書かれていない事。それでどうやって戦うかというと……。
「オープン! コスト4だよ!」
ユウちゃんが裏向きに置いたカードを表にする。そこにはコスト4のカードが。……甘いよ? ユウちゃん。
「残念、私が置いたカードはコスト5! このバトル、私の勝ちだね」
このカードゲームは手札のカードのコストが重要なの。セイヴァーが相手のセイヴァーをアタックした時か、相手のセイヴァーのアタックを自分のセイヴァーでブロックした時、バトルが発生する。バトルは《対決判定:セイヴァー》を行うというもの。これはお互いが、自分の場にいるセイヴァーのコスト+アドバンテージ以下のコストを持つカードをお互いに伏せて同時にオープンする。そしてコストが大きい方がバトルに勝つの。
今回はユウちゃんがヒッポで出せるコストの限界である4を見せて、私はアドバンテージで5コストまで見せられたから5を見せたので私の勝利。防御側が勝った場合、お互いのセイヴァーは破壊されず、見せたカードは捨て札置き場に置いて、お互いに1枚引くことになる。
「わたしのターンはこれでおわりなの」
さあ、お互いの場にセイヴァーがそろったここからが本番……!
このルールならやりたいことができるので頑張っていきたいと思います。