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百円玉の使い道は

作者: 絡繰ピエロ

 

 少年は学校が終わり、寒い冬空の下を歩く。

 最近は冷えているため、マフラーなどは必須。それでも寒く、手を出していれば凍傷してしまうのではと思うほどだ。

 ポケットに両手を突っ込むと、ふと違和感があった。

 それを摘まんで取り出すと、百円玉が入っていた。

 財布から零れたのかな、と財布に入れようとしたが、やめた。再びポケットに入れ、歩き出す。

 少年が向かった先は、ゲームセンターだった。機械に百円玉を入れるとゲームがやれるといったものだ。

 少年は最近熱中しているゲーム機の前に立ち、百円玉を投入した。

 ゲームが稼働する。それに合わせて少年は動く。

 十数分でゲームは終わった。それでもすごく楽しかった。

 ゲームセンターから出、大きく背伸びする。

 よし、また頑張っていこう。

 少年は歩き出した。

 

 

 

 公園の砂場に、三人の子どもが遊んでいました。彼らは素手で土砂を触り、かわいらしい山やお城を作っています。

 ショベルを使って砂を掘っていると、子どもたちは白く光るものを見つけました。

 一人がそれを手にし、指で砂をはらいます。

 それはなんと、百円玉でした。

 子どもたちは、やったーと喜びの声を上げます。

 次いで、これをどう使おうかという話になりました。

 おまわりさんに届けたほうがいいのかなー、という案もありましたが、結局は自分たちが使うことにしました。

 子どもたちは駄菓子屋に行き、好きなお菓子を買います。配分は見つけた子が四十円で、他が三十円です。

 ありがとうね、と駄菓子屋のおばあさんに言われながらお菓子を受け取り、近くのベンチに座って頬張ります。

 三人がおいしいおいしいと食べ、すぐになくなりました。

 百円玉を見つけた子どもが他の子に向けて、今日はいいことがあったね、と笑顔を振りまきました。

 それに対して他の子も、そうだね、と笑顔で応えました。

 

 

 

 主婦は全ての家事を終えると、居間で休憩をしていた。

 後は晩御飯の準備をして、仕事帰りの夫を待つだけだ。夫は私のことを思ってくれているので、多少の負担はどうってことはない。もし辛いのなら、彼に話して一緒に悩もうとも思う。

 気が付けば、そろそろ晩御飯の材料を買いに行く時間だ。本棚の上に置いてあるエコバックを取ろうとして、本棚の上にあった百円玉が目に入る。

 どうしてこんなところにあるんだろう。腕を組んで百円玉を凝視するが、まったくわからない。

 まあいいか。百円玉を摘み、同じく本棚の上に置いてある招き猫型の貯金箱に入れた。

 最近は何が起こるかわからないし、小さなお金でも貯めておいたほうがいい。

 パンパンと手を叩き、願う。

 こんな日常がずっと続きますように。

 祈り終え、今度こそエコバックを手にし、出かける。

 愛しき夫を支えるために。

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