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メルルの冒険記  作者: 遊楽
第一章
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わたしの可愛いペット

 わたしたちは途中でこちらに向かっていたヤンと合流することができた、その後何事もなくみんなで洞窟を脱出した。そしてわたしたちは村に帰りヤンの部屋で休むことにした。


「それでもよく無事だったよな、普通なら死んでもおかしくないぜ」

「だよね、わたしすごく運がよかったみたい」

「ちょっと怪我しただけで終るとか、もう一生分の運使い切ったな」

「それは困るな人生まだまだ長いし」


 ルミちゃんとヤンは笑いながらもう昔の話みたいに、くつろぎながら話している。わたしにはそんなに早く気持ちを切り替えれないよ。


 あれ? 傷ってあれぐらいだっけ? 暗い所だったからよく見えてなかったのかな。


 わたしたちは暗くなるまで話をしてお家に帰ることにした。


「その怪我どう説明する?」


 わたしたちは家まで言い訳を考えながらゆっくり歩いた。

 家に帰るともちろん怪我のことを聞かれ言い訳を言ったんだけど、どうやらわたしたちが村の外に行くのを誰かに見られていたらしくて、もう何も言えずに怒られたよ。おかげさまで一週間外出禁止をくらっちゃってトホホだよ。


 ゆうつな気分で自分の部屋に戻り椅子に座る。わたしはトカゲの存在を忘れていたことを思い出しポーチを開けた。トカゲを取り出し生きているかどうかを突いたりしながら確認した。赤ちゃんの肌みたいにぷにぷにしてて気持ちいい。

 さすがに生きてないよね、魔法が直撃したみたいだし。話せる、魔法が使えるめずらしい生き物だったから興味あったのにな。

 わたしは残念だと思いながらトサカや襟、尻尾をいじったり、両腕を引っ張ったりした。


「痛えよ、さっきからオレの体で遊んでんじゃねえよ」


 トカゲは目を開けこちらを睨み付けた。


「せっかく気持ちよく寝ていたのに最悪だよ」


 生きてたぁぁ!


 とても危ない生き物だけどすごく興味があるから嬉しかった。


「ごっごめなさい」


 素早くトカゲを机の上においてあげる。


「ただ謝っただけで許すと思ってんのか、小娘が!」

 わたしは焦って机の上にあったビスケットを渡した。


「すっすいません、せめてこれをどうぞ」


 トカゲは何も言わず両手いっぱいのビスケットを受け取り、ムシャムシャと食べている。

 怒られていたわけだけど、食べている姿は可愛いくて癒されるな。さっきまでの嫌な気分がどっかに行っちゃうよ。


「うむ、仕方ないから許してやろう」


 どうやらビスケットを気に入ってくれたようだ。


「それよりここはどこだ? なぜオレはここにいる」

「ごめんなさい、ここはわたしのお家でわたしが連れて来ちゃったの」

「そうか、まぁよい。ちょうどあそこにもあきてどこかに行こうと思ってたところだ」


 トカゲは立ち上がり体についたビスケットのかすを落としている。


「ではそろそろ行かしてもらう」

「まって、せっかくだからもっと話そうよ」


 わたしは話を続け引き止める。


「どうして話せるの?」

「それはオレだから当たり前のことだ」

 ……

「なんで魔法が使えるの?」

「オレだからな」

 ……

「お名前は?」

「名乗る程のものではない」

 ……


「はい、これどうぞ」


 わたしはもう一枚ビスケットを渡した。


「オレはお前達で言うならサラマンダーと呼ばれていたな」

「サラマンダー?」


 どこかで聞いたことがあるような気がする。


「オレは精霊様だ、そこら辺の生き物とは違うのだ。あがみたまえ小娘」


 そう言うとサラマンダーは手を腰に当て偉そうに立っている。

 わたしは思い出した、サラマンダーとは火を司る精霊だ。空想上の生き物でまさか本当に存在するとは思わなかった。それならば話せるのかどうかはわからないが魔法が使えることを少しは理解することができる。


「本当ですか、どうしてあんな場所に居たんですか?」

「あそこの地下には溶岩がながれている、だからあそこで生まれ長い間住んでいた」


 そこで暇な時は生き物を倒していたみたい、そのせいで少し前から何もいなくなりそろそろ出かけようと思っていたらしい。だからあそこには何もいなかったんだね。


「それだったらわたしと一緒に居ようよ」

「小娘と居ても何も用はない、オレは行かしてもらうぞ」

「わたしと居たら毎日ビスケットが食べられるよ。ちなみにわたしは小娘じゃなくてメルルって言うの、メルって呼んで」


 サラマンダーは腕を組み考え込む。


「仕方がない小娘、少しの間なら一緒に居てやろう」


 小娘じゃなくて名前で呼んで欲しいな……


「よろしくねサラちゃん」

「なっなんだその呼び方は」


 それからわたしたちは一緒に居ることになった。驚くことにサラちゃんは宙に浮いたり消えたりすることができるの、精霊だから当たり前か。ルミちゃんとヤンも最初は精霊とは信じてくれなかったけど話したり、魔法を見たりしたら信じてくれた。出かける時も基本的にいつもわたしの左肩に座っていて、可愛いペットができたみたいで嬉しいよ。

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