表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
メルルの冒険記  作者: 遊楽
第一章
7/27

光の正体

 わたしは遠くで光っている何かに近づいてみる。それは全体が赤色に染まっており立派なトサカと首まわりに肩まで隠すほど長い襟がついた特徴の生き物で、トカゲに似た生物だった。極めつけの特徴は手のひらに乗せられるほど小さいこと。可愛い。


「めずらしいな人間が来るとは」


 どこからか部屋中に声が響いた。わたしは慌てて部屋中を見回したが誰も居ない。再び声が聞こえ発生源を調べる、するとそれは小さな生き物からだった。


「しゃっ喋った……」


 わたしが驚き、口を開けていることにも気にせず喋り続けている。


「ちょうどいい、暇つぶしに付き合ってもらおう」


 何故か話はどんどん進んでいる。


「わたし急いでいるんですけど」


 トカゲは二本足で立ち上がると口を開き火を噴き出した、しかし、距離は短くわたしまで全然届いていない。届かないと諦めたのか火を噴くのを止め、手を前に差し出した。すると炎の玉が現れわたしに向かって飛んでくる。わたしはしゃがみこんで何とかかわすことができた。後ろから爆発音と爆風が届き体が前に飛ばされそうになる、これは間違いなくフレアボムだ。何で魔法を。


「よくかわしたな小娘、だが次はどうだ?」


 今度はわたしに向かって来るのと両サイド合わして三つを同時に飛ばしてくる、どうやら逃げ道をなくされたみたい。わたしは右に逃げながらこちら側に飛んでくるフレアボムに対して自分のフレアボムを投げつける。フレアボムどうしは相殺し合い消えていき安全に逃げ切ることができた。

 見た感じ炎を扱うみたいなので炎で攻撃しても無駄だと思ったわたしは、こないだ習得したばかりの魔法を使うことにした。


「トルネード」


 風の渦巻きを起こすイメージをしながら手で空を切る。

 トカゲの周りに渦巻きが発生しトカゲを包み込む。ここまではよかった。目の前に地面を伝う炎が現れ、わたしの周りを炎が囲いだした。これは危ないと思ったわたしは走り出し、思いっきり足を踏み込み前方へ飛び込んだ。

 後ろを見ると炎が円を囲った瞬間、天井まで届く炎の柱が現れる。


「さすがにこれは危なすぎるよ」


 わたしはあまりのすごさに度胆を抜かれた。


「キュン」


 隣にトカゲが降って来た、その後動くことなく横たわっている。なんとも可愛い鳴き声。

 わたしはあの炎のすごさにトカゲの存在をすっかり忘れていた。戦闘中に致命的だったね。トルネードで倒せていてよかった。

 トカゲを近くで見るとマスコットみたいでとても可愛く、ついつい手に取っていじっていた。


 ちっちゃくて可愛いな。めずらしく言葉も話せるし、魔法も使ってた。持って帰ってみようかな。


 わたしはトカゲをポーチに入れルミちゃん探しを続行した。


 何してるんだろうわたしは、ルミちゃん寄り道してごめん、すぐ探しだして見せるから。わたしは心の中で自分を責めながら謝った。


 それから五分ほど歩きわたしは再び呼びなおした。


「ルミちゃーん」


 わたしの声が聞こえたのか返事が返ってきた。その声はすごく近くで聞こえ、近づいていることがわかり駆け足で進む。

 さらに進むと明かりの向こうに人らしきものが見えた、わたしは急いでその場所へ向かい見えたのはルミちゃんだった。わたしは嬉しくなり今すぐにも抱きつきそうだった。


「ルミちゃん大丈夫? 怪我はない?」


「大丈夫だよお姉ちゃん」


 ルミちゃんは明かりを頼りに体を調べている。


「そんなに痛いところはないし、見たところ大きな怪我もから大丈夫」


 わたしも確かめてみたがかすり傷が所々あるだけで大きな怪我はなかった。

 安心したわたしは気がつかないうちに魔法を消し、ルミちゃんを抱きしめていた。


「痛いよお姉ちゃん、強すぎ」


 ルミちゃんは笑いながらわたしに手を回してきた。


「ごめんね、本当にごめんね」

「わたしが悪いだけだから。お姉ちゃんが来てくれてもう大丈夫だから」


 わたしの涙が伝わったのか、暗闇の中ルミちゃんは頬と頬をくっつけてまた助けてくれてありがとうと言ってくれた。


「そろそろ帰ろ、ヤンも探してくれてるんでしょ?」

「うん、でもこの状況でも泣いてなかったなんてルミちゃんは強いね」

「別にそんなことないよ」


 わたしは再び魔法で明かりを灯した。


 でも、あの高さから落ちてこれだけだなんて本当にあるのだろうか? ルミちゃんが落ちてきたところの上を見てみるとがけは、ほとんどなめらかで凹凸がまったくなかった。 傾斜を転がり落ちてきただけらしくすごく運がよかったみたい。それに今わたしたちが居る場所は柔らかい粘土みたな地面で強く押すと、ぐにゃっと沈み込む、きっとこれが上から落ちてきた衝撃を和らいでくれたみたい。本当に運がよすぎたんだね。


「それじゃ、行こうか」


 わたし達二人は出口に向かって歩き出した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ