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メルルの冒険記  作者: 遊楽
第一章
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リベンジ

 目が覚めたわたしはヤンの部屋のベッドで横になっていた。


 さっきまでホルンの森に居たはずだったが、どうやらわたしは気絶したらしくヤンがずっと抱えて連れて来てくれたみたい。あの後も大変だったとか何とやらも聞かされながら、森に行ったことがばれない為にも、とりあえずここにしたみたい。

 それとどうやらあのボスにはまったく攻撃が通じていなっかたみたいで、原因は普通のトライホーンブルと違って毛が硬かったらしく、欠けた刀ではどうにもならなかったみたい。斬れたなら楽勝で勝てたみたいで、今回のは負けではなく戦略的撤退らしい。

 そんなこんなしているうちに、わたしは帽子がないことに気がついた。

 どうやら抱えて逃げるときにはもうなかったらしく、たぶん吹き飛ばされたときにとれてしまったのだろう。

 あれはルミちゃんから誕生日プレゼントでもらった大切な物なのに。


「メル、明日リベンジにいくぞ」


 どうやら負けたことが悔しいらしく腕立て伏せをしている。


「嫌だよ、勝てっこないよ」


 森で起きたことを思い出し体が震えてしまう。


「刀でも斬れないんでしょ」

「この刀ならな、だから明日は親父の物を持っていく。お前もあの帽子大切な物なんだろ、取りに行かなくていいのか?」

「行きたいけどあそこはボスのなわばりだから危な過ぎるよ、無理無理」


 わたしはすごい速さで首を振った。


「今回は諦めよ、もっと強くなったときにしよ」


 ヤンは絶対に行くと言い続け、明日の昼に集合して行くことになった。

 そしてわたしは家に帰りいつものように魔法の練習をしたりして過ごした。

 次の日になり約束の時間がきた。でもわたしは行くつもりはない、また昨日みたいに危ない目にあってしまうかもしれない、もう死にかけたくない。

 三十分はたったかな、ヤンのことが気になって他のことにまったく手がつけられない。


「隙を見て帽子だけ取ったら帰ろう……」


 そうつぶやくとわたしは急いで準備を終え集合場所に向かった。

 ヤンの姿は見当たらなかった。家の方にも行ってみたが留守でどうやら本当に行ってしまったみたい。わたしは急いでホルンの森へ向かった。


 昨日の場所に着くとすでにボスと戦っているヤンの姿が見える。探し物の帽子は離れたところに落ちていたのでよってこないうちに素早く回収し、遠くから見守ることにした。


 つもりだったんだけどな……

 何でこっちに来るの! 弱いものいじめ反対だよ。

 目が合ったとたん標的をどうやらわたしに変えたようで猛スピードで向かってくる。


「メル、そのまま逃げてろよ」


 頑張って逃げたがもちろんすぐに距離がなくなった。わたしは神頼みでポーチからリキュールボムを取り出し投げつけた。炎と爆音に驚いたのかひるんでくれた。追いかけていたヤンはその隙を見逃さずボスに刀を突き刺した。

 効いているのかボスは雄たけびをあげ牙をヤンに振る、上手くバックステップでよけるともう一度突き刺した。

 わたしはもう一度投げとお互いに繰り返しダメージを与えていく。しかし、四回目のときボスはひるまなかった。わたしが投げたのを確認し接近したんだけど、返り討ちにあって飛ばされてしまった。

 もう一度投げてみたがもうひるまなくなってしまった。

 ヤンは突進をうまくかわすことには成功したがすぐさま吹き飛ばされてしまう。ヤンは地面でうずくまりながら足を押さえている。

 もしかして足を痛めてしまったのかな? だとしたらかなりまずいことになってる。わたしが何とかしないとヤンが危ない。


「ヤン、息をしないでね」


 ポーチに入っていたもう一つのアイテム、シビレ玉をボスに投げる。破裂した玉から煙が立ち上がり周囲を包み込む、風で流れたあとそこにはプルプル震えながら動けないでいるボスがいる。

 よし痺れて動けない今がチャンスだ。わたしだってやるときはやってやる。


「今のうちに逃げて」


 気合を込めながら両手で炎を形成し投げた。


「フレアボム!」


 巨大化した炎は大気をも燃やしそうな熱を放ちながら一直線に飛んで行き直撃した。あたると同時に爆発が起こり自分にも届く程の爆風が吹いた、ボスはすごい勢いで飛んで行き体全体を炎が覆い尽くしている。しばらくはうなり声が聞こえていたが、今は動かなくなり鳴き声も聞こえない。


「すっげー」

「できた……」


 わたしは成功したことにビックリしすぎて放心状態になっている。

 そこにヤンは足を引きずりながら近づいてきた。


「やったな、すげーかっこよかった」


 わたしは頷くことしかできなかったが、だんだんと嬉しさがこみ上げてくる。

 できた。やっとできた。これでわたしも魔法使いらしくなってきた。


 そしてわたしたちは気分よく家に帰って行った。

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