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メルルの冒険記  作者: 遊楽
第一章
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ホルンの森


 わたしは起きるとすぐにホルンの森に向かった。


 ホルンの森はわたしの村のすぐ近くにあって、獣もよく出る場所なの、だから子供だけでは行ってはいけないと言われている、けどここには錬金術で使える物がたくさんあるから、いつもこっそりと来ている。


 森の中には草草が生い茂っており、きのこも数多く見られる。いろんな虫がちょっとした演奏を奏でるように鳴いており、そこをたまに鳥の鳴き声が響きわたることで良いアクセントとなっている。


 わたしは草を掻き分け目的の草を次々と見つけていった。他にも欲しかったきのこ、シビレダケを見つけることができた。見た目は普通のきのことほとんど変わらない毒きのこで、嗅いでみると神経がピリッとするような感覚がするんだよね。これはわたし自作のシビレ玉の素材に必要なもので、これもとっても使えるアイテムなんだ。


 突然うしろの草むらから音がした。わたしは素早くうしろを振り返り腰の横につけているポーチに手を入れた。


 草むらからトライホーンブルが出てきた。茶色の毛で包まれた四足歩行の獣で、口の横に牙が二本生えている、それともう一つ角が鋭く伸びているのが特徴だ。まだ体も大きくなく子供みたいだが、大人の人ではないと危険な生き物であることは確かだ。


 わたしは目が合った瞬間素早くポーチからリキュールボムを取り出しトライホーンブルに向けて投げつけた。そばに落ちると同時にビンが割れ、一瞬炎が燃え上がる、それと同時にすごい爆音が発生した。その音に驚き平常心を失ったトライホーンブルは、ものすごい勢いでその場を去っていく。

 効果的面だね、これがある限り安心して採取を続けることができる。わたしは何度もリキュールボムを使いながら必要なだけ素材をリュックに集めていった。


 帰り道、わたしは再びヤツと遭遇してしまった。普通なら何も問題ない、しかし、もうリキュールボムが残ってない。

 わたしは全力で走って逃げるしかなかった、はじめは五十メートル程あった距離が運動音痴であるがためにもうほとんどない。


「やばいよー」


 わたしは息を切らしながら必死で逃げた。疲れて足がだんだんいうことを利かなくなってくる、それでも走り続けたがついに足がもつれてこけてしまった。


「おねがい、こないで」


 わたしは泣きながら丸まっていた。鋭い牙と角が向かっている事実を受け止めたくなく、振り返ることすらできなかった。

 十秒は経過しただろうか、何も起きない。不思議に思い振り返って見ると、そこには横たわっているトライホーンブルと一人の少年が立っていた。


 少年は黒の短髪で、黒いマントと皮のブーツを身につけていた。右手には刃が欠けるぐらい使い古した刀がある、それでヤツを倒したのだろうか。でも、どこかで見たことがあるような後姿。


「大丈夫かメル?」


 やっぱり、ヤンだ。急に緊張の糸がほどけたのか全身の力が抜け、ホッとした。安心するとまた自然と涙が溢れ出してきた。


「いつまで泣いてるんだ」


 涙でぼやけた視界の中でヤンの呆れた顔が見える。


「だって恐かったんだもん、すごく恐かったんだもん」

「わかったけどさ、お前、撃退道具持ってるんじゃないのか?」

「全部使っちゃったよ」


 わたしはポーチを手で何度もたたき、中に何もないことをアピールした。


「ヤン、ありがとう」


「そっそんなこと、正義の味方なら当たり前のことだ」


 そう言うと、ヤンは恥ずかしそうに頬を掻いた。


「泣き止んだみたいだし、そろそろ行こうぜ」


 助かった。ヤンが居れば無事に家に帰ることができる、だからもう恐い思いをしなくてすむ。早く家で横になりたい。しかし、ヤンは何故か森の奥に向かっていく。


 何で!、家と方向が違うよ。


「こっちは、帰り道じゃないよ」

「まだ帰らないよ、今日はここにいるボスを倒しに来たんだから」


 刀を肩に叩きながらたんたんと歩いて行く。


「やめようよ、そんなの危ないし、もう帰りたいよぉ」

「大丈夫だって、何かあればさっきみたいにオレが助けてやるよ。嫌なら一人で帰ってもいんだぞ」


 わたしは渋々ついて行くことにした。


 ヤンに会ってからすでにだいぶ歩いた。しかし、普通のトライホーンブルにはたくさん会ったが、そのボスにはまったく会えないでいる。できることならこのまま無事に帰りたい。


「静かに」


 ヤンは小さい声でしゃべりながらこちらを向いた。


「見えるか、向こうに見える大きい奴がここら一帯のボスだ」


 指された方向を見てみると、そこにはちょっとした広場があった。そこに大きな石があり、その上でここら一帯のボスはくつろいでいた。周りには一匹もおらず、どうやらここはあのボスのなわばりらしい。今までの奴とは比べものにならないぐらい大きく、だいたい他の三倍くらいの大きさだろうか。わたしと同じぐらいの高さはある。角、牙ともに分厚く頑丈そうだ。体にはいくつかの傷が見られ、まさに、歴戦の王だね。


 気がつけばわたしは後退りをしていた。


「絶対だめだよ、あれはヤバイって。帰ろ」

「何言ってんだよ、強い奴と戦えることこそが楽しんだろ」

「無理だよ勝てないって、とりあえず今日は帰ろ、っね」


 わたしは何度も必死で止めたが、テンションが上がっていくばかりで、全然聞く耳をもってくれない。


「ここで待ってろ、あいつらは群れを作らないからオレにも勝ち目はある」


 そう言うとヤンはわたしをおいて、全力で奴に向かっていった。

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