28 東の大陸
ざっくりですがこの世界の説明です。
港湾都市オストレイ。
小梅が乗ったドラゴンの籠が目指しているところだ。
オストレイは東の大陸の西の端にある都市だ。国に属しているわけではなく、かといって国になりたいわけではない自治貿易都市、というのが適切か。ここは人間だけでなく一度は西の大陸に渡りやがて戻ってきたエルフやドワーフやドラゴンも住んでいる。もちろん人間の国にもエルフやドワーフが住んでいたりエルフの国があったりもするのだが、ここは一番人種が入り乱れかつ差別や区別を感じない自由な空気が流れている。
東の大陸は日本の四国のような形をしている。
オストレイがあるのは四国でいえばちょうど宇和島のあたりである。海岸線は四国と比べると東の大陸のほうがのっぺりしているだろうか。
黒将軍の出身国は大陸の中央部にある大陸で一番の規模を誇るジャイロだ。
そしてジャイロの王城が対魔物の前線基地になっていた。対魔物の世界会議の本部はオストレイにある。以前はジャイロにあったのだが半年ほど前に移動したのだ。
オストレイとジャイロの間に小国がいくつかひしめきあっている状態で、過去には戦争などもあったがここ百年ほどは特に大きな争いはない。ちなみに勇者サダツグがこの世界に召喚されたのは約千年前。魔王が倒されてから二百年ほどして国家やそれに準じたものの間で紛争などが起きはじめ、それから三百年ほどいわゆる戦国時代が続く。魔王が倒されてからほぼ五百年後にジャイロが最大かつ最強国としてそれまでの戦国時代を終了させ今日にいたるまで何回かの戦争を経て現在に至る。
エルフやドワーフやドラゴンが東の大陸にもどりはじめたのは大体五百年ほど前、ジャイロが戦国時代を終了させた頃だ。
なぜエルフやドワーフたちが西の大陸から東の大陸へと戻り始めたかというと、東の大陸の瘴気が薄まったことと、西の大陸が東の大陸と比べて狭く、また貧弱な土地であったことがあげられる。
西の大陸には東の大陸にあるような深い森もなく、またドワーフが好きな鉱物が埋蔵される鉱脈もほとんど発見されなかった。ドワーフはそのためかつては堀り出すことが仕事であり趣味であったが、西の大陸ではそれがほとんどできなかったためやがて一部のものが加工をはじめた。それは鉱物堀りと同様あるいはそれ以上にドワーフに向いていたようで、鉱物の加工は瞬く間にドワーフの間にひろがった。
ドワーフの加工技術は実はそれほど歴史がないのである。
東の大陸は香川県に当たる部分が山岳地帯になる。
東の大陸の地図はほぼ四国の形をしているが実は未完成な部分がある。確実なのはいわゆる宇和島から高松までの海岸線と宇和島から徳島までの海岸線でその間から先はどうなっているのか、小豆島から播磨灘、淡路島にあたる部分がどうなっているのかわからないのだ。
山が高く険しいためそれより奥になかなか入れず、天候も常に悪いためドラゴンが調査に行くのも難しい。また海路で探るにも海流や天候の関係もあるうえに、海岸線は切り立った崖がひたすら続くという状況で最後に港に寄ってから何カ月も上陸や補給が不可能では海側からの調査も進まない。そう、形は四国だが東の大陸は四国よりもずっとずっと大きいのである。
ただ山岳地帯は無人なのかといえばそうではない。それほど規模は大きくないが山岳部族とよばれるひとたちが作ったノースロンという国がある。この国の主な産業は鉱石の輸出である。
そして徳島県から高知県の一部くらいに当たる部分には砂漠と岩場とオアシスとがまばらに広がっている。オアシスは恒久的なオアシスと移動性のオアシスがあり、恒久的なものはずっとそこにあり続けるが移動性のものは一年あるいは数年でなくなりまたほかの場所にオアシスが出来る。別に本当に移動しているわけではないので年によってオアシスの数は変動する。
ここにも人間は住んでいるが遊牧民のような暮らしをしており各家族、あるいは親族ごとに自己責任で生活しているためにどこの国にも属していない。
ノースロンとジャイロの間の森にやがてエルフの国が出来た。エルフの国といっても人間なども少数ではあるが住んでいる。戦国時代が終わってからひょっこりもどってきたエルフがなぜ狭くはない土地に国をおこすことが出来たのかといえばずばり魔法の力である。
この森の土地おくれ、くれたら魔法で便利なこといろいろしてあげる、もちろん領土を広げる野望は無いよ。というような感じでくるくるっと平和的に周囲をまるめこんだのだ。
実際エルフの国から各人間の国へ多数の魔法使いが就職をしている。
ちなみに山のふもとから大体徒歩一日分の森はノースロンの所有となっている。ただノースロンとエルフは良好な関係にあるためはっきりした境界線はない。エルフと人間とのハーフの場合、人間の親はほとんどがノースロン人である
ドラゴンは集団になるとえさ場や水場の問題が起こることからもともと少ない単位で生活していた。人型を取れるようになって千年ほど経つがもともとの習性なのかあまり群れることはなく、せいぜい家族単位である。
ドラゴンの姿でいるほうが好きなものは山の中やあまり人が住んでいないところに、人型の方が好きなものは人間やエルフの国で暮らしている。
ドワーフはドワーフ独自の国をつくろう、などと考えることはなくドラゴンと同じようにそれぞれが好きな場所で勝手に掘ったり加工したりして暮らしていた。
山岳地帯、あるいはふもとに工房を構える方が鉱石など材料の入手がより容易ではないかとも考えられるが、その代わりに売ることが難しかった。ノースロンの国民とエルフの国民を足してもたいした数にならないのである。そしてどちらも清貧、という言葉が似合う堅実な生活をしているので物は大切に長く使う傾向が強かった。
つまり物がよく売れるのはジャイロ以西である。
おっちゃん三人組、スールとナールとハールはオストレイに工房を構えていた。オストレイに決めた理由は特にない。ドワーフなんてそんなものである。




