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私の趣味と妄想が詰まった自己満足の塊です。
そんなものでも良ければ、どうぞおつき合い下さい。
もうずっとあなただけを見つめているのに、
真夜中――しんしんと降り注ぐ淡い月光以外に、一切の灯りのない薄暗い一室。その男は、窓枠に浅く腰掛けるようにして、仄かに照らされた手元を見つめていた。うっすらと笑みを浮かべる男の髪は、青白い光を受けて雪のように白い。
「ああ、本当に待ち遠しかった」
手にした懐中時計の文字盤をうっとりと見つめながら、男は今にも夜の静寂に溶けてしまいそうな、幽かな声で呟いた。まるで、愛しい相手に愛を囁くように、どこまでも甘く優しい声色で。
「もうすぐ……もうすぐ、ここに――」
――何百年もの間、時の止まったこの世界にまた、新たな来訪者がやってくる。
白髪の男――白ウサギの手によって導かれた【Alice Game】の参加者が。
(私はきっと、見つけ出してみせる)
ただひとつの望みが叶うその瞬間を思い描き、白ウサギはいっそう笑みを深くした。
「貴女は、私を追いかけてはくれないから。
――アリス」