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喫茶くろあし  作者: 松平 ちこ


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7/7

「お母さんがしんどいの、減るといいねー」


夕焼けの中をベビーカーを押して歩く女性、その背中は来た時よりも真っ直ぐと伸びていた。

入店した時の顔色は、とても思い詰めていて悪かった。


その背を見送って、女性が男性に話しかけた。


「まぁ、俺たちに出来ることは、話聞くくらいだからなぁ……」


「ちょっとは役に立てたかなぁ」


「さあな。でもそう思ったらまた来てくれるんじゃないのか?」


一歳半検診であまりお金を持ってなかったから、とお母さんは雑貨を買って帰った。

気を遣わなくていいのにと断ったら、記念に欲しいのだとお母さんは笑っていた。


「そうだねぇ」


このカフェは、心がちょっと疲れた人がフラッとやって来ることが多い。もちろん普通の人も常連さんも居てるけれど。


そうした疲れた人には、劇の黒子のように、様々な事のアシスタントのように、時には倒れそうな背中を支えたり、時にはその背中をそっと押したりする。

それが、このカフェの心情だった。


カフェにくるお客様は、名乗ったりしない。その人が話すことが、その人の名刺であり全て。

対する私たちも、ただのカフェの店員さん。


フラッと出会って、時々交わって、そうして離れていく。


一期一会のちょっとした出来事。


その背が見えなくなって、店に戻ると、神棚の前に行く。


「素敵なご縁をありがとうございます。関わる人の全てに幸多からんことを」


二礼四拍手一礼。いつもの感謝といつもの願い。


今日も変わらず、カフェ《くろあし》の日々は続いていくーー。

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