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憧れの交換、芽生える友情

つきものが落ちた、とはこのことだろう。週末を侯爵邸で過ごし、学校に戻ってきたウェンディは、以前とは別人のようだった。張りつめていた緊張感が消え、彼女本来の愛らしさを取り戻していたのだ。


登校して最初に出会ったアマンダに、ウェンディはにこやかに言った。

「アマンダ様、ごきげんよう」

その言葉に、アマンダは目を丸くして驚いた。今までは、目が合うたびに威嚇するように睨んできたウェンディが、どうして急に、と。アマンダは戸惑いながらも、いつもの調子で応じた。

「ウェンディ様も、今朝はとてもかわいらしいですわね」


アマンダが、「週末に何かございましたの?」と尋ねると、ウェンディは嬉しそうに微笑んだ。

「ええ、家の方で、とても嬉しいことがありましたの」

そこまで話すと、ちょうど教師が教室に入ってきて、歴史の授業が始まった。話の続きは、また今度。アマンダはそう思いながら、そっとウェンディに微笑みかけた。


歴史の授業は、アマンダにとってあまり得意な科目ではなかった。というのも、彼女はひたすら暗記することが苦手だったのだ。一方でウェンディは、暗記さえすれば済むものなら簡単、という意識で、授業もそつなくこなした。そんな二人の横に、今日はアーサー王子の姿がない。王族としての行事に参加するためのお休みだという。子どもとはいえ、王族というのは忙しいものなのだな、とアマンダは思い、少しだけ寂しく感じた。


ウェンディは、アマンダにも苦手なことがあるのだと、初めて知った。アマンダのことをアーサー王子を手中にするためのライバルとして見ていた時は気がつきもしなかった歴史の授業で、暗記に苦戦するアマンダの姿を見て、ウェンディはふと思ったのだ。誰もが、得意なことと苦手なことを持っているのだと。


学校の勉強は、暗記力がものをいう。座学の成績なら、アマンダに後れを取ることはないだろう。私は私の得意な分野で、しっかりと実績を積んでいこう。ウェンディはそう決意し、それまでの焦りから解き放たれた、清々しい気持ちで勉強に打ち込むようになった。


アマンダは、歴史や綴り方で、どんどん好成績を収めていくウェンディに、憧れのまなざしを向けていた。

「すごいわ、ウェンディ様。わたくし、全然覚えられないの。王子妃ともなると、きっともっと覚えることがたくさんあるのでしょうから、将来の王子妃は、ぜひウェンディ様にお願いしたいわ」

アマンダは、悪気もなく、心からそう思っていた。


ウェンディもまた、アマンダのことが羨ましかった。ダンスに始まるその身体能力の高さ、何事にもくじけない前向きな心、そして誰とでもすぐに仲良くなれる社交性。それは、ウェンディが今まで、父から命じられた役割を全うするために、押さえつけてきた部分でもあった。

アマンダの優れた点を、私も少しずつ学んで、身につけていかなければ。そう、ウェンディは心に誓った。


二人は、それぞれの得意なことを尊重し、そして、相手の優れた点を素直に認め合うようになっていた。そして、それは、二人の間に、それまでとは違う、確かな友情を育んでいくことになった。




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