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世田谷の“蜘蛛の巣”

作者: 黒楓

 それは一度も行った事の無い個人宅への納品だった。


 しかし、()()()()()私に当てがわれたのは廃車寸前のカローラバン。


 もちろんカーナビなぞ無く、長い踏切待ちの間に私はスマホのナビを立ち上げ、住所を入力した。


 さて、何回かの遮断器の上げ下げの後、ようやく踏切を渡れた私は……()()()()()()()()ナビの指示に従い、車を走らせた。


 踏切待ちの間もスマホのパケットは消費され続けていたのだろうか??

 まるで目の前のダッシュボードに……カチャカチャと動くタクシーの料金メーターがくっ付いている気がする。


 勤めている会社はスマホの支給は無く、各セールスは個人持ちのスマホを仕事に使い、会社からは幾ばくかの通信費が支給されるだけと言う“ブラックさ”だから……


 こんなデメリットがあるのにも関わらず、あえてスマホのナビを使うのは……

 この辺りの道が細くてややこしく、しかも一方通行の嵐だからだ。


 “嵐の中の小舟”ならぬボロいカローラバンは……スマホのナビだけが命綱。


 ところが……


『目的地へ到着しました』とのアナウンスが流れたのは信号の無い交差点!


 この先は一方通行なのに!!


 止む無く進んでみると、電柱に貼られた住所表示は目的地とは別の場所!


「えええ???!!!」

 とクルマを寄せてハザードを出し、ダッシュボードを開け、古い道路地図を出して見てみると……目的の個人宅は程遠い。


 しかしこの道は本当に地図上の道なのか??


 悩んでいると横浜ナンバーの赤い車が横を通り過ぎて行った。


「しめた!このクルマの後に付いて行けば、少なくともこの迷路からは抜け出せる!」


 急いでサイドブレーキを下ろして後を追う。


 赤いクルマは『地元では無いが勝手は知っている』と言った感じで、スイスイと一方通行を抜けて行く。


「良かった!助かった!」と思った次の瞬間、赤いクルマはハザードを出して止まり、すぐ横の民家にバックで侵入した。


「嘘だろ??!!」


 しかもこの道の先に見えたのは……


『この先、行き止まり!! 私道につき関係車以外侵入禁止!』との立て看板!


 涙目の私はシフトレバーをバッグに入れ、来た道をソロリソロリと戻って行く。


 こんな道だからもし子供でも飛び出して来たら大変だ……


 ところが飛び出して来たのは乗用車で、私はフットブレーキを踏み、サイドブレーキを引く事はできたけど……激しい衝撃とともにハンドルを持つ右腕はあらぬ方向へねじ曲がっていた。


「このクルマ、エアバッグが無いんだ!」


 そう思ったところで目が覚めた。


 時計を見るとまだ夜半……

 そう言えば昨夜は早めに寝たんだっけ……


 時々見る仕事の夢は

 大抵は『今の仕事』では無く

 この様な『古い仕事』がらみの物だ。


 やれやれ……


 ご苦労さん(-_-;)




                     

                        おしまい




しまった!


月曜真っ黒シリーズにすればよかった!!




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― 新着の感想 ―
世田谷って、そうですよね‼ 道路の行き止まりが階段だったり( ̄▽ ̄;)
古くからの住宅地は迷路なトコロがありますよねー  車で入れないトコロも  (~_~;) 
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