恋愛編 ー出会いー
ピロリンッ
スマホの通知がなった
見たくなかった
もう誰とも話したくなかった
もう誰とも関わり合いになりたくなかった
それでも何故か見なきゃいけない気がしたんだ
何かに見ろと言われている気がした
『最近どう?大丈夫?』
田中君からだった
何故心配してくれるのだろう
私はあんなにも酷いことをしたというのに…
そんな私の気持ちとは裏腹に彼は続けた
『よかったら直接話聞かせてくれない?』
嬉しかった
初めて心配された気がした
私の答えはもちろんイエス
その週の木曜日、一緒に帰ることになった
色々話を聞いてくれた
「野本はなにも悪くないよ」
初めて貰った言葉に私は嬉しさとかいろんな感情でいっぱいになった
そして別れ際にまた今度話聞かせてねと言われた
なんでこの人はこんなにも優しいのだろうか
あれから数日が経った
今日もまた一緒に帰る
私は一つ決心をしていた
田中君にりあちゃんとのことを謝罪するということ
きっと田中君は許してくれるだろう
でも私自身は自分を許してはいけない
「あのね、私りあちゃんと仲良かった時にいつもりあちゃんに同調してた。田中君の悪口とかもそう。
良くないと分かっていたけど怖くてしてた。
本当にごめんなさい。
なのに心配とかしてくれて本当にありがとう。」
なんとか声を振るい出して話す
田中君は私が同調してたなんて知らないのかも…?
私が話したことで嫌われるかも…?
不安でいっぱいだった
「あー…うん。知ってたけどこの前メッセージくれたし。気にしてないよ」
なんて優しい人なんだろうと思った
別れた後、一件の通知があった
『さっき言い忘れてたんだけどね、俺は野本の味方だからね。安心してほしい』
目から熱いものが込み上げてくるのを感じた
初めてだった
嬉しさでこんなになるのは
初めて味方だと言ってもらえた
思い返せばこの頃にはもう恋をしていたのかもしれない