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蓮に舞う  作者: Momamo
第1章
24/26

23.第20節:進むべき道

今回も短めです



次の日から3日間、俺たちは普段通りの日常を過ごした。


陽翔に振り回された他のメンバーがキレたり呆れたりしたり、少しの裏の仕事をしたり、美味しいご飯を食べたり。


柚の方も何件か手術をしたみたいで、帰ってきた時に今日も上手くいったと喜んでた。


あれから黒刃からの連絡はなく、悠真からの新しい情報もなかった。


明日からついに静岡に乗り込む。

少しでも多くの情報を持って帰ってくるために、俺たちは準備をしていた。



「一一・・・着替えと日用品はこれで全部か?」


「うんっ!2週間分であってるよね?」


「そうだ。だがこれは一一いや、なんでもない。」


あまりの荷物の多さに、数ヶ月行くのか?とも思ったが黙って封環にしまった。


俺の荷物も既に封環にしまってある。


「偽IDの準備は出来てるか?」


「うんっ!はい、これ!それぞれ一応5枚ずつ作っておいたよ!」


「助かる。あと他には………普通の変装じゃ間に合わない時ように、カツラとカラコンを複数用意してから向かおう。明日の午前に買いに行こう。」


「わかった!魔道具とか入れた?足りないのある?」


「いや……特にないな。だが現地でもすぐ作れるように、簡易的な道具は持って行って欲しい。」


「わかった!じゃあこれと、あとそれ、これもっ!入れておいて!」


「わかった、入れておく。準備は……これくらいか?」


「そう、だねっ!多分大丈夫だよっ!何か足りなかったら現地で買うこともできるし!」


「そうだな。じゃあ、静岡に行く前に再確認しておくべき情報をまとめよう。」


「うんっ!」


「あ、タバコを入れておかないとだな。」


俺はタバコを少し多めに1ヶ月分入れる。



その時、タイミングよく黒刃から俺に魔力通信がかかってくる。


『今大丈夫か?』


「あぁ。むしろちょうどよかった。明日からの静岡のことで、新たな情報がないか聞こうと思ってたんだ。」


『私も同じ件だ。出来れば会って話したい。今から行ってもいいか?』


「あぁ、大丈夫だ。5分後か?」


『あぁ、5分後だ。ではな。』


プツリと通信が切れる。


「さて、じゃあ俺たちも仕事着に着替えよう。私服で会うのはなんとなく気が引ける。」


「わかった!着替えるね!」


俺たちは服を着替え、屋根裏に向かった。


しばらく待つと、窓から黒刃が入ってくる。


「やぁ、2人とも。元気そうだな。」


「そちらもな。」


「ところで………紅月も巻き込むと決めたってことでいいんだな?」


「あぁ。」


「そうか……………。わかった。じゃあ早速話を始めよう。」


俺たちと黒刃は椅子に座る。


「さて。まず、新しい情報について。舞とやらは今静岡に居ないらしい。」


「何故わかる?」


「聞いたからだ。なにやら、静岡に敵対者が攻め込んでくるとのタレコミがあったようでな、重要なものは全て別のところに移したらしいんだ。ただ、移しきれなかったものが拠点に残っている可能性がある。」


「それで?」


俺はタバコに火をつけながら聞く。


「その拠点の位置の候補がわかった。ただ、罠の可能性もある。わかったのは3箇所。1つ目は静岡市清水区の清水港近くの倉庫街・港湾施設跡地。2つ目は浜松市天竜区の山林地帯。3つ目が富士市・富士川沿いの廃工場だ。」


「なるほど。その3箇所を探れば《夜哭》に近づけるかもしれないんだな?」


「そうだ。だがさっきも言ったように罠の可能性がある。全部本物なのか、それとも3箇所とも罠なのか。探ってみないと分からないだろう。あと細かい位置は判明していないから、そこは現地で探すことになる。」


「わかった。だが、3箇所もあると、2週間で調べ切れるかが問題だな………まぁ、どうしても時間が足りなかったらその時考えればいい。他にも情報はあるか?」


「悠命樹の"上"になにかがある、という噂は知っているか?」


「噂程度だけどな。何かがあるというのは知っている。」


「どうやら、《鍵》と、それも《原初の鍵》との関係があるらしい。」


「!!!」


俺は思わず封環をみる。

小さな宝石がキラリと光ったような気がした。


「だがそれも噂程度だ。《夜哭》ですらたどりつけていないらしい。あと、そこは《夜哭》の目的地とは違うらしい。お前らなら飛べるだろう?興味があるなら行ってみるといい。」


「………わかった。」


「……………………………それで。貴方はなんでそんなに情報をくれるの?私たちに何をさせたいの?鍵を集めて守るとか言ってたけど、どうせ他の目的があるんでしょ?」


ずっと黙っていた柚が口を開く。

俺もたしかに気になっていたことだ。


「………………ノーコメントだな。今はまだ言えない。ただ、お前たちが《鍵》を集め、すべてが揃った時には必ず話そう。」


「そんなの通じるわけ一一!!」


「いい、紅月、やめろ。情報は確かなんだろ?」


「あぁ。私が直接確認した訳では無いが、複数の筋から一致した情報だ。」


「なら、とりあえず今はいい。俺たちの目的は舞を見つけることだ。そうだろ?紅月。」


「…………………うん。瑠が、そういうなら、わかった。」


「偉いぞ。……それで、これで情報は最後か?」


「そうだ。また何かあったら伝えよう。なるべく通信で情報を伝えるのは避けたいから静岡に行っている間に新たな情報を渡すことはほぼないだろう。明らかに重要ですぐに伝えた方がいいものは伝えるが。」


「わかった、助かる。」


「ではな。頑張れよ。」


その言葉を最後に黒刃は窓から消えた。



「じゃ明日に戻ろう、柚。…………柚?」


黙ったまま下を向いて俯く柚。

俺はしゃがんで顔を見ながら問いかける。


「どうした?……さっきのことが気に入らなかったのか?」


「…………………あいつ、絶対、れんのこと利用しようとしてる。私、許せない。」


「でも、こちらも舞を探すために利用しているだろう?」


「そうだけど…………でもっ!」


「黒刃の情報がなかったら俺たちは前に進めていなかったんだ。それはわかるだろ?」


「うん………」


「だから、とりあえず舞を見つけるまではお互いに何も口を出さないことにしよう。それでも、いいか?」


俺は柚の手を握りながら聞く。


「…………………わかった。でも私は、心の中ではずっとあいつのことが嫌いだからね。」


「あぁ、それでいい。ありがとう、柚。偉いぞ。」


俺は立ち上がって柚の頭をポンポンする。

実際、こんなに黒刃のことを嫌いに思っているのに、俺のことを考えて信じてついてきてくれるのは本当に嬉しいし、ありがたい。


「じゃあ下降りるぞ。行こう。」


「わかった。」


俺はまだ少し機嫌の悪い柚を連れてリビングに戻った。



一一・・・


「昨日までに集めた情報と合わせると、こんな感じだな。頭に入れておいてくれ。」


「わかったっ!」


柚はアイスをあげたら一発で機嫌が治った。

さすが柚、ちょろいな。


「じゃあ明日は朝買い物に行こう。昼過ぎに新幹線に乗って静岡の………そうだな、最初は都市部の静岡市に向かおう。そこで情報収集・施設があるかもしれないところを探してみよう。」


「わかった!」


「……………そういえばなんだが、柚の目的はなんなんだ?」


「目的?」


キョトンとした顔で柚が聞き返してくる。


「いや、最初に静岡に誘ってきたのは柚だろう?なにか目的があって行こうとしてたんじゃないのか?」


「………………忘れてたっ!!!仕事だよ!!!4月7日に仕事がある!!!!」


「思い出せてよかったな。じゃあ7日は別行動で俺は1人で調査してみる。」


「わかった、ごめんね大事なこと忘れてて………」


「いや、しょうがない。忘れることは誰にでもあるからな。さて、じゃあ今日は寝るか。もうこんな時間だ。」


時計を見ると既に0時を回っている。


「そうだね!………あっ、まって!」


「どうした?」


「夜寝る時に必要な抱き枕も持っていきたいから封環に入れて置いて欲しいの!」


柚はバタバタと自室に行ってバタバタと戻ってくる。


「はいこれ!ニャンゴロー入れて置いて!」


「にゃんごろー…?あ、あぁわかった。」


「今日はアナゴさんと一緒に寝るんだ〜!」


そう言ってソファに置いてあったチンアナゴのぬいぐるみを抱える。


「…………そうか。柚がそれでいいなら、それでいいと思う。」


「なにが?」


「………いや、なんでも。さぁ、寝よう。」


「うんっ!おやすみ、れん!明日から楽しもうね!」


「あぁ……そうだな、せっかくの静岡だもんな。じゃあ、おやすみ」


俺は自室に戻って武器を手入れする道具を封環にしまう。

あと………舞の写真も。


少しでも手がかりが見つかりますように。

俺は祈りながら布団に入り、目を閉じる。


そして俺は眠りにつく。


一一

一一一

一一一一・・・


俺は空に飛んで大きな木を見ていた。


後ろに気配がある。

恐らく、舞だろう。


俺は振り返る。

後ろには想像通り、舞がいた。


舞は大きな木を指さした。


「待ってるね」


そう呟いた気がした。


次の瞬間、舞はパラパラと花になって消えていく。


俺は必死に花をかき集めるが、手からどんどんこぼれおちて間に合わない。


舞が全て花に変わり落ちていく中、声が聞こえる。


『私はいつでも、あなたのそばに…」




そこで、俺は目が覚めた。


一一

一一一

一一一一・・・


目が覚める。

今日は何故かスッキリと起きれた。

だが、夢はまた舞が消える夢。

早くとりもどして、安心して眠りたい。


今日はついに、静岡に行く日だ。

準備に抜かりはない。

絶対に、何かしら手がかりを手に入れる。



そう決意して、俺は布団から立ち上がってリビングへ向かった。



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