降下
お初です。
暇つぶしとして書くのでいつ止まるかわかりませぬが、温かい目で見ていたけると嬉しいです。
文章能力については絶望的故、読みにくさもあるかもです……気ままにやっていければと思います。
「地表到達まで15分程、着陸予定地点は大陸北東部、無人の沿岸です。 惑星軌道上での調査では、惑星全体の人口は約億単位、動植物とアノマリー無数に存在します」
「着陸地点だが生命の存在は?」
「観測下では生命体の存在はなし、航宙観測艦での観測でも……現在進行形でなしとの事です」
「着陸地点に変更なし、航路はこのまま。 今後、その沿岸を我が軍の移動拠点として設営だ」
「了解……しかし司令、本当に護衛を付けなくてよろしいのでしょうか? この惑星は主要銀河から観測出来ず、それどころかまだ観測すらされていない未知の星です」
「これでも少年兵ながら戦場を渡り歩いた軍人だ、ここの惑星なら休暇先としてはぴったり。 それに必要な武器はもっているさ」
惑星に降下する輸送船内でさりげない会話をする。
私はユウ・ムラサメ。
独立星系軍ユリシーズを束ねる総司令官で、唯一の人間だ。 唯一の人間というのも、この独立星系軍は全身装甲服を身に纏った機械兵によって構成された軍隊で銀河でほぼ最大規模とも言って良い程の軍隊だ。 私はこの軍隊を「拾って」以来、銀河のある組織と戦っている。
……銀河都市国家同盟……かつては銀河間で共存共栄一路を目的とし、やがて宇宙へ進出した星々を導く国家同盟体。 立ち上げたのはある惑星国家の元老院と、惑星間の平和と繁栄を願う慈善団体。 創世当初は本当にそうだったらしいが、数千年も経って組織の人間がごそっと変われば長く続くはずが無い。
変わってしまったのは20年前……同盟には選挙制度があったが、極右過激派の連中が議席を確保。 今までの方針であった共存共栄一路の路線を維持しながら、発展途上惑星と未開惑星を将来の脅威という名目で軍事行動を開始。 勿論、これには同盟元老院議員から反発の声も上がったが、数の暴力に任せ鎮圧……一人残らず逆賊として元老院という場で全員射殺。 民間人によるデモもあったが、いつの間にか開発されていた核粒子爆弾によって惑星毎破壊のデモによって鎮静化された(この犠牲者は数百億人規模だとか)。
被害は悉く広がり、最終的には複数銀河による軍事同盟、連邦、連合が形勢され銀河間戦争が勃発した。 私のいる独立星系軍はこれらに属していないものの、(略して)銀河同盟と戦う一つの軍隊でもあるのだ。
まあでも今回の目的は休暇なので、それは別の話。
この星を選んだ理由は銀河同盟の勢力圏外にあり、各組織の影響外(それどころか観測出来る範囲外にある)ので休暇として安全かつ安心して滞在出来る。 そう見込んでのものだった。
まだ惑星外の探知のみであるが文明のレベルは剣と弓の中世級、生命源は豊、資源も(分析上では)ほぼ無限大とレジェンダリー級だ。 SSレアともいうべきか……こんな都合の良い惑星があるものですがとも思ったけど、事実は事実。 ……だからといって移住とか拠点とか、そういうのは全く考えていなからな!
…………とはいえ、主戦場から観測不能な遥か彼方の銀河にある惑星とはいえ……この情報が銀河同盟に漏れたとしたらどうだろう? ここまで資源が豊富な惑星であれば黙っている訳が無いはずだ。 こう考えてしまっているが、これが吉と出るか凶と出るかは今後とはいえ、そうならない事を祈る。
一層の事月面に拠点を設けてしまうか……いやいや、私は休暇でこの星に来たのだ、決して!
ここまで言っているが、この銀河と惑星を見つけたきっかけだ……単純に観測出来たから。 それだけ。
我々独立星系軍ユリシーズは何処かの国家に属しておらず、国家組織間のサポートも受けられない為、主戦場たる銀河から遠く離れた場所に本部と工場を設けていた。 観測出来たのは民間から修理依頼のあった宇宙望遠鏡。 修理を終えて試験稼働させた所、偶然見つけただけ。
この星で休暇とはいえ、過ごすにしても必要な物資の確保と支援は必要だ。 武器弾薬、軍事支援、食料確保諸々……必要であれば部隊も……流石に大事は起こしたくないし、軍事行動になんてしてしまえば大量の血が流れる。 飽くまでも飽くまでも……
「僕が降りたら工作部隊をこの銀河に。 月面に簡易拠点と観測所、レーダーサイトを設ける。 いつまでこの惑星にいるかは分からないが、痕跡の残らない移動式のものにしよう」
「最寄りであれば第249特務艦隊が出動可能ですね」
「その艦隊に任せよう」
内ポケットからスマート端末を取り出すと総司令部にいる副官に連絡を入れる。 私以外は機械兵で構成されている。 プログラムなのか仕様なのか人間ぽい部分があったり、性格があったり色々。 私に忠実なのだけは変わらない。
副官に指示を送るとお互いの敬礼で通信を終える。
「降下3分前……司令、装備の点検を!」
星に上陸する前に装備の点検を行う、といっても持ち物確認だ。
10mm特火磁気弾の拳銃『バネッサM01』1丁、マガジン5個。 この拳銃は磁気弾を撃ち出す拳銃で殺傷力と貫通力、弾速に強烈さが奔る一品だ。 反動も少なく、トリガーは少し重め。 アタッチメントはフラッシュとレーザー、サイトはアイアンサイトだが拳銃両脇にある棒を立てると簡易ホログラフィックサイトが表示されるもの。 独立星系軍ではご自慢の主力武器に一つだ。
もう一つはある星のアンティーク品『USP』。 ある滅びた星で見つけた逸品で取り扱いの良さと威力と殺傷力が高い。 サプレッサーも付けられる為、この星で行動する時はこっちの武器が中心になりそうだ。 両方の拳銃とも護身用だ。
後は……『UAR04』、独立星系軍ご自慢のアサルトライフル。 レーザー、フラッシュ、サプレッサー、中距離用スコープと……このアサルトライフルは我が独立星系軍の制式ライフル。 6.8mm弾を使用。
装備の点検を終えると少し古びた布でUAR04アサルトライフルを弾倉と一緒に覆う。 この武器は目立ちすぎる故なのと、この星ではない武器、変に露天して物珍しさから奪われてはたまったものでは無いのだ。 それに使うとしても狩りをする時のみだ。
USPは右大腿のホルスターに入れ、バネッサM01は内ホルスターに仕舞う。 両武器の弾倉はポケット内だ。 数百発はある。
「司令、服装はそのままで行きますか?」
「服装……?」
服装について考えていなかった。 そのまま普段使いしている司令官服のままだった。 完全に忘れていた……いや、忘れてはいなかった……正直に言えば忘れていた。
「何か着替えはあるか?」
「トランク内に迷彩服があったと思います。 時代と会いませんが、それで良ければ……」
「ちょっと目立ちすぎないか?」
「逆に言えばこの時代なら情報の発達は極めて弱い方だと思います。 もし町の人々やギルドに聞かれても「旅人」と答えればまかり通るはずです」
「小説でよくある事だな……了解した」
そうなれば一目散に着替えだった。 せまき輸送機内を移動して機体後部にあるトランクを開ける。
そこには綺麗四角に畳まれた陸軍迷彩服(色素:森林戦デジタル仕様)が仕舞われていた。 中を見回すと防弾チョッキ等の防具、対戦車ミサイルといった重火器も揃っていた。 持って行くつもりはないが……持って行くつもりは……
とはいえ迷彩服で街へ行くってのは流石に気は引けるが……
まあ結局服装はそのままで物資類を入れるバッグだけ持って行く事にした。
輸送船が所定の地点に着陸。
「楽しい休暇の始まりだー!」と心の中で思いつつ扉が開くのを待った。
これから何が起こるのかは分からない。 でも次の戦に備えて十分が休暇を取る、それだけだ。
扉が開ききった時、涼しい風が身を包んだ。