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魔術犯罪防止課のトラ男と面食い後輩ちゃんの推しごと  作者: 桐城シロウ
二章 先輩と距離を縮めたくないのに、どうしたって縮まっていくんですけど!
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18.ドライブデートじゃなくて、お出かけ!

 




 とうとうこの日がやってきた。先輩とドライブデートする、違った、車を運転する先輩を助手席からたっぷり鑑賞して楽しむ日が……!! もう今日こそは騒がない。最近鬱陶しがられちゃってるみたいだし、じわじわ距離が近付いてきてるような気もするし、今日こそは騒がない。よし! 部屋の鏡で全身チェックしてみたら、自分の顏つきが勇ましくなっていた。か、可愛くない。せっかく可愛い服着たのに、可愛くない! 


「ん~……おしゃれ、おしゃれ、やめるべきなんだろうけど。んんんん!!」


 葛藤するしかない。選んだのは長時間のドライブデー、お出かけでも苦しくないジーンズと、肩に黒いギンガムチェックのリボンが付いたビスチェ。私の瞳の色と似た、ペールグリーンのTシャツの上に重ねた。このビスチェ、裾にフリルとレースがついていて可愛いんだよね……。これぐらいなら、これぐらいなら許されるんじゃない!? おしゃれじゃないでしょ。ただの黒チェック柄だし、大丈夫大丈夫。


 頭はゆるめのお団子にして、デニム生地のリボンシュシュをつける。あー、うー、微妙に合わないような気もするけど、先輩に貰ったティーポットのイヤリングとネックレスをつけて行く。おそるおそる合わせてみたら、別に変じゃなかった。胸元で、紅茶入りのティーカップと苺タルトのネックレスがきらきら光ってる。そういう魔術でもかかってるのかな? 綺麗。耳にはぶらんと、小さなティーポットと食べかけのビスケットが揺れていた。ついつい鏡に映った自分を眺め、イヤリングに触れてしまう。


「もうこれ、完全にデートじゃん……」


 でも、先輩にそんな気は無いだろうから、勘違いしないようにしないと!! 騒がない、はしゃがない、騒がない、写真も百枚までにする、騒がない、ドライブデートじゃないって自分に言い聞かせつつ、駅前のロータリーに向かったら、もう先輩がいた。あれは絶対に先輩の車! 見たことがないけど、絶対にそう。


 ほんのりと茶色みがかった、ダークレッドの渋いオープンカーだった。二人乗りでコンパクトなんだけど、威圧感がすごい。ベージュ色の上質なシートに、銀色のトラ耳が生えたイケメン、もとい先輩が座ってた。待って、周囲から浮いてる。かっこいい!! 叫びそうになっちゃったから、口元を押さえる。


(うわあああああーっ、かっこいい! かっこいい!! グラサンかけてる先輩、ハンド、ハンドル握って、待って、落ち着こ? 落ち着いて落ち着いて落ち着いて……)


 騒がず、にっこり笑って挨拶する。いける、大丈夫。車を運転する時ハンドル握るのなんて当たり前なんだから、ハンドル握ってる先輩見ていちいち騒いでたら、鬱陶しがられる。絶対に絶対に大丈夫。そう、先輩はハンドルを握ってる。でも、今日のお出かけはまだ始まったばかり。


 海辺、海辺の先輩、ソフトクリームを食べる先輩(食べないかもしれないけど)、ドライブ中、歌ってる先輩、あ、歌わないかもしれないけど……。大丈夫大丈夫、落ち着いて。こんなのいつものことだから。そう、ここは駅前のロータリーじゃなくて職場。職場でさすがに絶叫しない。ハンドル握ってるの普通、はい。分かってた、分かってた。先輩がハンドルを握るのくらい、知ってた。車を運転するんだから!


 冷静に胸元を押さえ、足を進める。うん、先輩かっこいい。分かってる、分かってる。グラサンかけた先輩の破壊力が抜群ってことぐらい、分かってるから。騒がなーい、騒がなーい、騒がなーいと、自分に言い聞かせ、オープンカーの方へ行く。よし、大丈夫大丈夫。先輩がどんな服装でも揺るがない自信がある。だって、さすがに見慣れてきたから! よーし、大丈夫大丈夫大丈夫。


 自分でも、興奮してるのがよく分かる。心臓がばっくんばっくんと、壊れそうなぐらい脈打ってた。喉渇いた、吐きそう。緊張して吐きそう。なんでいまさら緊張してるの? 分かんない。キャンパス地のトートバッグを持ち直して、近寄る。うわー、わわわわ……。先輩がすぐ私に気付いて、グラサンを持ち上げた。色が薄めのグラサンで、目元が透けて見える。なのに、一旦外してくれた。掻き、掻き上げたっぽい、ぎん、銀髪が……。先輩が私を見上げて、穏やかに笑う。


「よう、フィオナ。今日は、」

「おはようございます!!」

「……うん。どうした? おはよう」


 いぶかしげな表情で挨拶してくれた。あ~、かっこ、かっこいい……!! 騒がないように、両手で口元を覆う。待って、無理かも。先輩の顔をなるべく見ないようにして、車に乗る必要がある。うん、いける。大丈夫大丈夫。見なきゃいい話じゃん? 見たい見たい見たいと、呪いのように心の中で呟きながら、素早くドアを開けて、助手席に乗る。よっし! 前の、前の変なグリーンの車を見ていよう。膝の上にトートバッグを載せ、前の車を凝視する。


「先輩、今日はどうもよろしくお願いします。発車しましょうか」

「それは別にいいけど。なんだ? どうした? ……あ、つけてきてくれたんだな。よく似合ってる」

「うわぁっ!?」


 先輩の手が伸びてきて、イヤリングに触れた。びっくりした表情の先輩と目が合う。あっ、しまった、手を跳ねのけちゃった。一瞬だけ、瞠られる青灰色の瞳。今日は曇り空で、青灰色が際立ってた。黒いTシャツの上から、カーキ色の半袖ジャケットを羽織ってる。あっ、かっこいい、かっこいい。ポケット、ポケット、胸元にポケットがあるの素敵すぎる。先輩、ポケットが似合う男なんですね……。


「悪かった、急に触ったりして」

「うわっ、うわああああ!! ごめんなさい、ごめんなさい! 嬉しいは嬉しい、んですけど、あっ、うああぁ」

「落ち着け、大丈夫だから」

「すみ、すみません……!! 今日、今日、騒がないようにしようと思って」

「無理だろ」

「バッサリ切り捨てないでくださいよ!? 鬱陶しがられないように、頑張ろうと思ってたのに……。あー、もー、上手くいかなかった。ごめんなさい、凝視、凝視しててもいいですか?」


 顏から手を外して見つめれば、ふっと笑った。んおおお~、先輩は色気がある。その色気、霧散させて欲しい。じゃないと永遠に吸い込んじゃう。だめだ、自分でも何言ってるのかよく分かんなくなってきた。でも、色気を経皮吸収しちゃってる感じがあるんだけど……?


「いつものことだろ、凝視すんのは」

「うううう~、はい! ごめんなさい、騒いじゃって。グラサンは? グラサンは!? 先輩っ!」

「かけろってことか。はいはい」


 手慣れた様子でグラサンをかけ、にっと笑ってくれた。待って、待って!? かっこいい! 首筋が一気に熱くなる。どうしよう、これ、もう限界なんだけど。エンジンすらかかってないのに。


「かっ、かか、かっこいいですね! ありがとうございます! そ、そのジャケットもポケットが似合って、よく似合ってますね!」

「ジャケットが? ……良かったな、ジャケット。褒めて貰えて。ポケットがよく似合ってるってよ」


 先輩がおかしそうに笑いながら、ジャケットを引っ張って見下ろした。ああ、そういう冗談も言えるんだ! 新発見。にやにやしちゃいそうになって、口元を押さえる。


「わーっ、すみません! 違う! 違うんですよ、先輩にポケット付きのジャケットが最高に似合ってるって言いたくて! というか、先輩もそんな冗談を言うんですね?」

「うん、まぁな。フィオナの影響を受けてるのかもな」

「えー、私の影響ですか?」

「ん、人生が楽しくなってきた」


 今、さらっとすごいこと言わなかった? えっ? 私が聞き返す前に、エンジンをかけた。あー、かっこいい。腕、腕、腕の筋肉、腕の筋肉……。こっそり隠し撮りしたり、許可貰って撮ったりして、腕の写真だけかなりあるんだけど、実物がやっぱ一番良い。見飽きない。先輩の逞しい腕を隅から隅まで、じっくり眺めて堪能していると、車が動き出した。


「今は曇ってるから必要無いだろうけど、屋根欲しくなったら言ってくれ。出すから」

「あっ、はい! ど、どこからどう屋根が出てくるんですか……?」

「さあ、知らん。後ろから?」

「乗ったことないんですね? えーっと、借りてくるとか何とか」

「そう、父親から借りてきた」

「お父様から! えっ!?」


 ひょろっとしたお父様がこれに乗ってるの!? コンパクトなんだけど、二人乗りだから。でも、この上質な座り心地の良いシートといい、高そうなダークレッドの車体といい、ぜんぜん似合わなさそうなんだけど……。普通の屋根がついたコンパクトカーに乗ってそうなんだけど? 先輩がハンドルを切りながら、どうでもよさそうに答える。


「おう。たまーに母親を助手席に乗せて、運転してる」

「えーっ!? デート用の車じゃないですか! 乗って、乗って良かったんですかね……? 私が」

「いいだろ、別に。貸して欲しかったら、いつでも言えってそう言われてるし」

「なるほど。先輩、車持ってないんですか? バイクは持ってそうですよね」

「いらねえって言ったんだけど、祖父から押し付けられた車がある」

「おしつ……?」

「強引にプレゼントか。強引にプレゼントされた、就職祝いだって」

「ふ、ふーん、そうなんですね……」


 やっぱりボンボンだ。高級品とか身に付けてないし、金銭感覚まともそうに見えるんだけど、あっ、まともじゃないか。私にいっぱいくれたよね? プレゼント。もしかして、普段から人にいっぱいあげてるとか……? シートにもたれて、息を吐き出す。ああ、興奮しすぎて疲れた。顏に爽やかな風が当たる。オープンカーならではって感じ。


「……先輩ってお金に余裕があるから、その、普段から女性にいっぱいプレゼントしたりとか……?」

「あ? なんでそうなった!? 急にどうした?」

「いえ、さすがに貰いすぎだなぁと思いまして。ふ、普段から他の女性にもいっぱい、」

「無い! どうしてそう、フィオナは俺をチャラ男にしたがるんだよ……」

「チャラ男にしたいわけじゃないんですけど、慣れてた? ので。私以外の女性にもしてるのかなって、そう思っただけです」

「……フィオナ以外の女性に、色々やったりしねぇから」


 あれ? 拗ねてるみたいな、これ、私が拗ねてるみたいな感じになっちゃってない!? そういうわけじゃないんだけど。ただ、お金に余裕があるから、気軽にほいほいプレゼントしてるのかなって思っただけで。い、言い訳! 違う、弁解しなきゃ! 弁解を!


「あーっ、すみません! なんか誤解を、誤解を招くような言い方をしちゃってすみません! お金持ちなら人にプレゼントするのも当たり前なのかなと思って、聞いてみただけです! ごめんなさい」

「んー、別に謝る必要は無いけど。ただ、金があるからって物を配って歩くような真似はしない。ちゃんと考えて贈ってるから」

「な、なら良かったです……あっ、今日も腕時計つけてきましたよ! ほらほらっ」


 ちょうど信号で止まったし、手首に巻いた腕時計を見せると、先輩が嬉しそうに笑う。静かに、自分の手首に巻いた腕時計を見せつけてきた。ふふふ、お揃いなんだよね~。


「先輩もしてきたんですね、今日!」

「せっかくだから。そういや、最近カーディガン羽織ってないな?」

「汚れたら嫌なので。あの時、カーディガンを着てこなきゃ良かったと思ったんですよ。心臓が止まるかと思いました……。ああ、ほら、ビルの時です。カーディガンに血が染みついちゃったし」

「殺しておけば良かったな」

「不穏! ふ、不穏な発言は無しにしてくださいよ……」


 汚い手で、犯罪者にカーディガンを掴まれて、ずり下ろされた時、怖かった。触らないでって叫びたくなった。もちろん、そんなことを考える余裕は無かったんだけど、でも、無意識に叫びそうになった。あっ、やばい、だめにされるって思った。瞬間的に。ぞくっとして、二の腕を擦る。


「だから、もう二度と着て行きません……。仕事には! 今日は海だし、パフェ食べに行くし、汚れると嫌なので他のカーディガンを持ってきました」

「じゃあ、追加で買うか」

「はい? えっ?」

「汚れてもいいように、追加で一枚買って贈るか」

「えっ、いりません! だ、大丈夫ですって! あれ、かなり高いんじゃ……」

「実はな? 口止め料がまだ残っていて、」

「嘘でしょ、絶対! もーっ、先輩ってば、それ言ったら何とかなると思ってません!?」

「っはは! 思ってないけど。まあ、そう言ったらフィオナが受け取ってくれるかと思ってな」


 先輩、やけに楽しそう。無邪気な笑顔に見惚れていたら、信号が変わって、車を発進させた。あー、その笑顔、もっと見ていたかったのに。出会った頃に比べると、随分雰囲気が柔らかくなったような気がする。笑顔が増えて、沢山喋ってくれるようになった。最初は口数が少なかったのに。ぎゅっとバッグを抱き締める。本当はぬいぐるみとかテディベアとか、もちもちのクッションとか抱き締めたい気分なんだけど。


「せ、先輩って笑顔が増えてきましたよね……。優しくなったような気がします」

「そうか? まあ、フィオナと一緒にいるのが楽しいからな」

「よく言われます、それー! ふふふ、良かった」


 一瞬だけ、横目で先輩がこっちを見てきた。ま、前を向いて、前! 怖い。車はスムーズに道路を走っていて、曇り空から雨が降ってくる気配もない。時折、歩道にいる人と目が合うから、なるべく見ないようにする。慣れなきゃね。普段、車に乗っている時は気にならないんだけど。オープンカーだからかなぁ。


「あっ、そ、そうだ! 私としたことがつい、忘れちゃってた!! 写真、写真撮ってもいいですか!?」

「俺が撮るなって言っても、撮るんだろうが」

「まあ、それはそうなんですけど。一応、許可を取っておこうかなと思いまして。だめですか?」

「どうぞ」


 呆れたように言う。だって、先輩が運転してる姿なんて超絶レアなんだもん!! 撮りたい! 風に吹かれた銀髪、まっすぐ前を見据える眼差し(事故るからなんだけど)、優雅にハンドルを回す逞しい腕と、厚い胸板、ドライな質感のジャケット……。うーん、完璧すぎる。でも、さっきの発言が邪魔して、上手く撮れない。集中出来ない。とりあえず、美しい横顔を撮っておく。


(……追加で買うかって。それになんて言ってたっけ? すごいこと言ってたよね? そうだ、人生が楽しくなってきたって)


 やばい、集中出来ない。もっともっと心置きなくはしゃいで、撮りたいのに。そうだ、プレゼント。いつ渡そう? 喜んで貰えるといいんだけどなぁ。ぎりっぎりまで近付いて、先輩の胸元をパシャパシャ撮っていたら、車を一時停止させた先輩が「やめろ!」と言って、レンズを掴んできた。


「ああ~、また信号で止まっちゃった」

「そりゃあな!? やめろよ、人目が気にならねぇのか? フィオナは」

「あっ、忘れてました。歩道に人がいるの」

「おい……。もう少し離れて撮れ、離れて」

「ええええ~、離れたらつまんないのに。すみません、やめます」

「そうしてくれ。気が散ってしょうがない」


 変態的な撮り方をしても、気分が晴れない。なんだろ? 特別扱い、特別扱いされてるのはいいんだけど……。本当に特別扱いなのかなとか、どういうつもりで言ってるんだろうとか、悩みたくないんですけど!! 元の先輩に戻って欲しい。クールで、かっこよくて、私を惑わせてこない先輩に。また首筋が熱くなってきた。ドキドキするのも、期待するのも、恋愛に幸せを見出すのもやめたい。疲れちゃったから、そういうのはもう。


「あっ、そうだ! この前、月夜市に行ったんですけど、すっごいイケメンがいたんですよ!! もー、思わず連絡先交換しちゃいそうになりました。多分黒ヒョウ? の獣人なんですけど、かっこよかったんです! かなり! 素肌の上から布っぽい服を羽織ってて、ぱっと見、古代のイケメンみたいな感じで、」

「おい、シートベルト締め忘れてるぞ」

「あっ、本当だ。忘れちゃってた! すみません、ありがとうございます……。それで連絡先交換してくれたら、商品プレゼントしますよって言われ、」

「何だって? 変なもん、受け取ってねぇだろうな?」

「変なもんって! ただの商品ですよ。安心安全の商品ですよ!!」

「連絡先交換したのか、物に釣られて」


 えっ? ものすごく冷たい言い方だった。言葉に詰まっていれば、前を向いたまま、先輩が気まずそうな表情になる。


「悪かった。でもなぁ、月夜市だって? あそこは女一人で行くような場所じゃないだろ……」

「えっ? そ、そんなに治安が悪いんですか?」

「おう。スリとかひったくりとか……ろくなやつがいない。うじゃうじゃ変なやつが生息してる」

「そ、そうなんですか!? 子どももいましたけど」

「ろくな親じゃないな。あんなとこ、連れて行くなよ……」


 た、確かに少なかったけど、子どもは。知らなかったなぁ。だから、トイレの前までついて行くって言ってくれたのかな? アンドリュー君は。ずっと心配そうな顏してたし。バッグを抱き締めたまま、黙りこくっていると、先輩がちらっと見てきた。信号が変わったのを見て、ゆっくりアクセルを踏む。


「……どうだった? 楽しかったか? 何も無いのなら別にいい」

「はい! アンドリュー君も一緒だったし、楽しかったです!」

「は? へー、アンドリューと行ってきたのか。知らなかったな」

「わざわざ言うことでもないと思って! あ、言った方が良かったんですかね……? 私は先輩のヒヨコちゃんだから!?」

「っぶ、くく、そうだな。ヒヨコちゃんだから、フィオナは俺の。次からは言ってくれ、頼む」


 急にとんでもなく優しい笑みを浮かべて言ったから、何も言えなかった。必死でこくこくと頷けば、前を向いて運転してる先輩が、おかしそうな声で「返事は?」と言ってくる。


「はっ、はい!」

「で、誰かろくでもない男と連絡先交換したのか?」

「し、してませんよ! アンドリュー君に止められちゃいましたから」

「ふーん。良かった、良かった。どうせ泣かされて終わりなんだから、やめとけって」

「分かってますって! 恋愛する気なんてありませーん、誰とも付き合う気無いんで!」


 ぐらっぐらに揺らいじゃったんだけど、そのことは黙っていよう……。あんまり騒いでないし、先輩とも穏やかに喋れてるし、幸先良いスタートじゃない? 今日のドライブデートはって、お出かけ!!








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