表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔術犯罪防止課のトラ男と面食い後輩ちゃんの推しごと  作者: 桐城シロウ
一章 私が自分史上最高のイケメンを見つけて、転職した話
16/78

15.先輩とのプールなんて死ぬ予感しかしない

 



 起きた瞬間、後悔した。私、何やってるんだろう……。すんっとした顔でベッドに寝転がったまま、昨日のことを考える。ズキズキとした頭の痛みと共に、昨日の記憶が蘇ってきた。先輩に甘えて「抱っこぉ~!」って言っておねだりしたこととか、思いっきり、髪に顔を埋めてふんふんと嗅ぎ回ったこととか、何よりも、先輩が私の腰に手を添えたりと、さり気に距離が近かったこととか、よりにもよって、ぜんっぜん違うタイトルのやばい本を目の前で買っちゃったこととか……!!


「あああああああっ!! きまっ、気まずい! この状態でプール行くの!? 本当に!? ああああああっ、恥ずかしすぎる、どうしよう……?」


 両手で顔を覆いながら、ベッドの上でじたばたと暴れ回る。はーっ、はーっ、もうやっちゃったもんはしょうがない……。腹をくくれ、私! 知らないふりをしたらいいだけだし。とぼけた顔で「えっ? 昨日のこと? 何も覚えていませんけど~、あはは!」って言ったら解決するんじゃない? しない、しないか……。


 だって、あの顔に壁ドンとかされて(しないんだろうけど!)、まじまじと見つめられながら「本当に何も覚えていないのか? 昨日のこと」って言われたら、即「はい、覚えてましゅ~!!」って言うしかなくない? 無理じゃない? どこからどう考えても私の負け確定。ハイ、終わった……。


「あーっ、恥ずかしい。そ、それに先輩、先輩、なんて言ってたっけ!?」


 昨日、帰る間際に強烈な一言を放って、去っていったような気がするんだけど……。記憶を探っていったら、急に思い出した。少し冷たい春の夜風に吹かれた先輩が、銀混じりの青灰色の瞳を細め、愉快そうに笑っていた。色気が滴り落ちてた。浅黒い手でドアを支え、もう片方の手を軽く振りながら、私にこう言ったんだ。


『明日、お前がどういう顔をするのか楽しみだな。おやすみ、酔っ払い』


 思い出した瞬間、頭を抱えて「ああああああ!!」と叫んでしまった。きん、近所迷惑~……。静かにしなくちゃ。それにしても一体何? 一体何!? 思いっきりからかわれてる? 私。先輩、それを楽しんでない? 絶対楽しんでるよね? 恥ずかしくて、涙がじんわりと浮かんできた。ああ、もう、本まで買っちゃったし。本人の目の前で!


「ああ、もう、今日、ただでさえ地味なパーカー水着にするか、可愛いワンピース水着にするか、ビキニにするかですっごくすっごく悩んでるのに!! 先輩のバカ、ひどい……!!」


 よ、用意して行かなくちゃ。どんな顔して会えばいいのかよく分からないけど。開口一番、「昨日思いっきり、髪の匂いを嗅いですみませんでした!!」って、頭を下げて言うべき? それとも、本の代金返すのが先かな? 立て替えて貰っちゃった。ああ、どうしよ。私、どうしてあの強烈なタイトルの本と、獣人と仲良くなったら読む本を一緒だと思っちゃったんだろう……。恥ずかしくて死ねる。憂鬱な気持ちでベッドサイドに置いてある、イルカの目覚まし時計を見てみると、もう十時半だった。ちなみに待ち合わせは十二時半。


「遅れる!! あーっ、どうしよ!? 一応遅れるかもしれないって連絡入れておこう! ここから何分だっけ!? プール!」


 軽く食べて頭痛薬飲んで、顔洗ってメイクして、着替えて、水着と持って行くコスメを厳選して、バス飛び乗ってって、超特急でしたら間に合うかなぁ? プールまで一時間半ぐらいだったっけ? やばい、忘れた。慌てて魔術手帳を引っ掴んで、開く。史上最高に顔が好みの先輩って書いてある下に(名前をそう設定した)、通話マークがあるから、付属の羽根ペンでぐりっと丸を描く。すぐに“通話を開始しますか?”って文章が出てきたから、はいのところに丸をする。トュルルルル、と軽やかな音が鳴り響いた。


「……もしもし?」

「あっ、すみません! 先輩! 急に電話したりして……実は今、起きたばっかりなんですよ、私。ここからプールまで何分ぐらいでしたっけ? ど忘れしちゃって。遅れるかもしれません、すみません!」

「今ならまだ間に合うだろ。ちなみに四十分だ、お前の家から」

「あーっ、良かったぁ! 四十分でしたっけ? そんなに近かったっけ!? 私、てっきり一時間半ぐらいかかるかと思ってて、ほっとしました~! 良かったぁ」


 あー、ほっとした。胸を撫で下ろしていると、手帳の向こうで先輩が笑う。何気に初電話中じゃない? 今。鬱陶しいからかけてくるなよって言われてたの、すっかり忘れてかけちゃった……。


「そうか。最初に言ってたプールが一時間半だ。ごっちゃになってるな」

「あ~、なるほど! まあ、今から超特急で用意するので、間に合うとは思うんですけど、十五分ぐらい遅れちゃったらすみません!」

「おう、大丈夫だ。昨日べろべろに酔っ払ってたし、一時間ぐらい遅刻するだろうなと思って動いてる」

「すみません!! ありがとうございます……。もし遅れるようなら連絡しますね? バスに乗った時間も知らせます」

「ああ、そうしてくれ。俺もそうするから。じゃあ、またあとで」

「はぁーい、またあとで……」


 ぱたんと魔術手帳を閉じて、通話を切る。あ~、良かった。何とか間に合いそう。凝ったメイクしなきゃ大丈夫。あと、朝ご飯も軽く済ませよう。お腹ぺこぺこで辛いけど。魔術手帳を持ったままはーっと、深い溜め息を吐く。


(……あれ? 私、今普通に会話してたよね? なんだ、これでいいじゃん)


 ほっとした。先輩の様子もごくごく普通だったし。酔っ払いが何か言ってるな~と思って、受け止めてくれたのかもしれない。そうだったら有難い。ベッドから降りた瞬間、見慣れない黒のエコバッグが置いてあるのに気が付く。


「これって先輩の!? あ~、貸して貰ったっけ? 覚えてないや、どうしよう。返す時、めちゃくちゃ気まずくなりそうでやだぁ~……」


 よし、現実逃避しよう。歯を磨いてご飯食べようっと。それと水着、本当にどうしよう? 狙ってると思われたくないからビキニは却下するとして、露出がほどほどにあるワンピース水着か、それとも、色気ゼロの黒パーカーにするか死ぬほど悩む……。どういう反応をするか知りたいから、いっそのこともう、ビキニにしちゃう? でもなぁ~。歯をしゃこしゃこと磨きながら、頭を悩ませる。そうだ、着ていく服のことも考えなくちゃ。


「……どれにしよう!? どうする? あ~、悩む! 遅れる! 先輩に遅れますって連絡しちゃいたいっ」


 昨日着ていかなかったギンガムチェックのワンピースにするか、すとんとしたシャツワンピースにするか、それとも、短パンとTシャツにするかで死ぬほど悩んだ。結局、赤いチェック柄ワンピースの上から、デニムジャケットを羽織るだけにした。どうせプールに着いたらきっちりまとめるんだし、黒髪をふわっとおろしていこう。若干くせ毛だから、勝手にゆるふわ髪になるの楽で助かる……。


 そして、耳元にはさくらんぼのイヤリングを、足元には白いリボンサンダルを。くちびるは熟したさくらんぼ色に染めて、目元はきらきらなピンクラメで仕上げていく。あーっ、我ながら浮かれちゃってるなぁ。デートじゃないんだけど、おしゃれしちゃった。先輩に「こいつ、そのつもりで来たな」って思われそうで嫌だ。でも、やめられない。


「うっわ、あっつ……そうだ、先輩に連絡しておこうっと」


 ガラガラの車内に乗り込んだ瞬間、そう呟いてしまう。さんさんと陽射しが降り注ぐ座席を避けて、程よい影がある座席へと座った。魔術手帳を開くと、先輩からメッセージが入ってた。マナーモードにしてたから気付かなかった。


「遅れても大丈夫だから、気にするなよ、か……。くーっ、先輩優しい! 大丈夫ですよ、間に合いそうですよっと」


 生真面目な文体が愛おしい。にへにへ笑いながら、先輩が書いた文字を擦って見つめて、妄想しているとあっという間に着いた。四十分ってすぐじゃない? 妄想してたらあっという間なんですけど! バスから降りたら、すぐプール施設の正面玄関が見えてくるらしい。


 今日はそこで先輩と待ち合わせ! 意気揚々と、真っ赤なさくらんぼが載せられたソフトクリーム柄のトートバッグを肩にかけ、バスから降りる。待ち構えていたのか、すぐさま先輩が声をかけてきた。白い建物を背にして佇んでいる。


「よっ、フィオナ。おはよう」

「ぎゃああああああああ!! 先輩、先輩! その頭はっ!? ピャアッシュも!! ピアスも、あっ、ちょっ、かっきょ、かっきょよすぎませんか!?」

「落ち着け、何言ってるのかよく分からないから……」


 先輩が肩につくぐらい伸びていた銀髪を、ばっさり切って側頭部を刈り込んでいた。ツーブロックだ、かっこいい!! このつんつんした銀髪が最高! しかも筋肉質の首筋が目立ってて素敵すぎる~!! それに、トラ耳にピアスまでつけてるし! イヤーカフまで並んでるし! ロックな雰囲気と色気が漂っていた。


「かっこ、かっこよすぎるんですけど!? ただでさえ、私好みの顔と体なのに一体何してくれるんですか!? 殺すおつもりですか!? はぁーっ、かっこいいかっこいい! その髪型似合いすぎてるんですけど! 髪切っ、はああああ!」

「落ち着けって、だから。まさかこんなに騒ぐとはな……」

「服ーっ!! 服装もまた、服装もまたかっこよすぎませんか……!? 服ください、買い取ります!」

「やらねえよ、アホか」


 さらっと、Vネックの黒いTシャツとズボンを着ているだけなんだけど、髪型と死ぬほど合ってるからか、かっこよさが爆発してる。歩くかっこよさのダイナマイト。それにそれに、腹筋が浮き出そうなくらい服がぴったりしてるし、日頃頑張ってる私へのご褒美としか思えないんですけど……!? はー、泣いちゃいそう。普通にしてると、鼻血がぼたぼたって落ちてきそうだから、鼻の辺りを押さえながら興奮する。


「だってだって、昨日は髪が長かったのに! あっ、ま、まさか、私が髪を嗅いで気持ち悪くなったから、ばっさり切っちゃったんですか……?」

「違う! 元々今日、切る予定だったんだよ。暑くなってきたから」

「なんだ、そっか! ほっとしました~! そうだ、これ、本の代金です。す、すみませんでした。立て替えて頂き……」

「なんだ、大した額じゃないから気にしなくても良かったのに」

「いえいえ、そういうわけにもいきませんから……」


 私から封筒を受け取って、肩にかけていたリュックへしまう。は~、かっこいい! ラフな感じでリュックサック背負ってるのがここまで似合うの、世界中どこを探しても先輩だけじゃない!? 


 足がすらっとしていて長いし、筋肉だってすごいし(だけどモリモリじゃない、ここ重要!)、姿勢が良いし、さりげなく色気と品の良さが漂ってるし、どこからどう見ても超一流のイケメン。パチモン臭さがあるチャラ男イケメンとは違う。分かるよ、通行人の女性。ここまでかっこいいとじろじろ見ちゃうよね~!! まばたたきするのが惜しくて、かっと目を見開きながら凝視していると、先輩がたじろいだ。


「目が怖いんだって……。おい、大丈夫か? どこからどう見ても正気じゃない女に見えるが」

「ひっ、ひどい! 先輩がそんな格好してきたくせに!」

「いつもと同じなんだけどなぁ。ほら、行くぞ。二日酔いは? 大丈夫だったか?」

「はああああっ、かっこいいかっこいい!! 二日酔いなんて先輩の顔見た瞬間、どっかに飛んでいきましたよ! ちょっ、先輩、うなじを見せて貰えませんか!? はああっ、はぁ、はぁ、かっ、かっこいい! うなじ、うなじ、この側頭部とうなじ、うなじ……!!」

「……すごいな」


 先輩にドン引きされちゃった。でも、気にせず「はあーっ、かっこいい! かっこいい!」と小さく叫びながら、まるで儀式のようにぐるぐると回っていたら怒られた。


「うるさい! もうちょいお前は人目を気にしろ! ほら、行くぞ」

「はあぁ~い……。えっ、待ってください。この状態の先輩が水着を着るんですか!? かっこうよすぎてプールサイドで溺れること確定なんですけど!? 酸素が吸えないんですけど!? えっ? えっ? 腹筋を見せびらかしながら歩いちゃうんですか? 大丈夫ですか!?」

「フィオナ」

「わっ!?」


 先輩が急に私の腕を引っ張って、じっと、至近距離で見つめてくる。そ、そうだ、昨日。こうすればいいのか的なことを言ってた……!! 硬直していれば、ふっとおかしそうに笑う。


「予想通り、こうすると静かになったな」

「せっ、せせせ先輩!? かっ、からかうのは卑怯ですよ!? だめですよ!?」

「こうでもしないと、静かにならないだろ? まさか、髪を切ったぐらいでここまで騒ぐとはなぁ。それにがっかりするかと思ってた」

「がっかり? どうしてですか? 私はたとえ、先輩が丸刈りにしても騒ぐ自信があるんですけど? 頭の形と顔立ちの良さが際立ってて良いって!」

「真顔……。いや、髪長いのが好きって言ってたから。それで」

「……はい?」


 確かに言った。ゆるふわ銀髪が最高って言った。でも、それで? もしかして、それで今まで切らなかったの!? そんなことが聞けるわけなく、黙々と歩き続ける。お昼時だからか、街路樹が並んだ街中に人はあまりいなくて、車が通り過ぎていく音と鳥の声しか聞こえてこなかった。眩しい陽射しが枝葉を通過して、地面に涼しげな影を作り出している。


「……今日、いい天気で良かったな」

「でっ、ですね!! 晴れっ、晴れの予報でしたけど良かったですね! 無事に晴れて! そうっ、そうだ、先輩、昨日は迷惑かけちゃってすみませんでした……」


 あーっ、気まずい空気を何とかしようと思って、最悪な話題を持ち出してしまったかもしれない!! 笑顔で硬直する私を見て、先輩がぷっと笑う。短い髪の先輩、本当に最高……。男性らしい体つきが目立つんだよね。はー、かっこいい。でも、冬は髪の毛を伸ばして欲しいなぁ。トレンチコートを着て、銀髪を一つ結びにしている先輩が渋くて、かっこよすぎてすごかった。会った瞬間、奇声を上げそうになったもん。


「昨日のこと、ちゃんと覚えてるのか? なぁ」

「う~っ、からかうのは禁止ですよ!? でも、すみませんでした……。お、おんぶまでして貰って」

「まあ、軽かったから別にいいけど。酔い潰れた友達背負ったことあるけど、重たいんだよなぁ。おえ~、吐く吐く! ってずっとうるさいし。速攻でおろした」

「優しいですね、意外と……」


 知ってたけど優しい。面倒見が良さそうだし、大学では後輩に慕われてそう。あ~、それにしても短い髪にしてる先輩かっこいい! このままじゃ、話が耳に入ってこない。やめよう! 綺麗に刈り込まれた銀髪と並んだイヤーカフ、赤いピアスに、触れるとまろやかな感触が伝わってきそうな、浅黒い首筋を凝視するのやめよう……。


「立てないって言うからそうしてやった。俺より背が低いし、いけるかと思ったけどきつかった。もう二度としねえ、あんなこと。頼まれたとしても」

「ふふっ、その時の嫌そうな先輩の顔がめちゃくちゃ想像出来ました! 面白い! 見たかったなぁ~」

「二言目にはそれか。俺の顔が見たい見たいって」

「そりゃあ、先輩の顔見たさに資格を取って、就職したぐらいですからね? 私」

「そうだった。忘れてた……」

「忘れてたんですか!? まだ一週間も経ってませんけど!? ひょっとして先輩、物忘れが激しいタイプなんですか?」

「やかましい! 違ぇよ、ただその、会ったばかりという気がしなくて……」

「まあ、一年半ほど前からの知り合いですからねえ」

「……」


 改めてこれまでのことを全部思い出したらしく、黙ってしまった。あ~、やめて欲しい! 思い出してはっと正気に返るの! 気まずい空気のまま、施設に入ってお金を払う。派手さは無いけど、綺麗で家族連れに向いているところだった。白いタイル床に白い壁、並べられた観葉植物に明るい雰囲気のレストラン。吹き抜けの天井から、初夏めいた陽射しが落ちてくる。


「どうする? あとでこのレストランで食うか? それとも、プールサイドでなんか食って済ませるか?」

「あるんですか? 中に食べるところ」

「ある。意外と広いし綺麗だぞ、ここ。あと、獣人専用ゾーンと人間用で分かれてるから、」

「獣人専用ゾーン!? へ~、そんなのあるんですね。珍しくないですか?」

「だな。動物アレルギーの人もいるから」

「なるほど! そっか、獣人の毛でも反応しちゃうんですね」


 好きになった人が獣人だと辛いだろうなぁ、アレルギー持ってる人は。んん? そもそもの話、近寄らないようにするから大丈夫かも? テーマパークのプールか市民プールでしか泳いだことがないから、なんだか新鮮。きょろきょろと辺りを見回しながら歩いていると、前を歩いていた先輩が突然隣に来た。き、緊張する!


「それでだ。話を元に戻すが、くれぐれも他の獣人を見かけても騒ぐなよ!? 失礼に当たるから、あんまりじろじろ見ないようにしろ。気になるから、視線が」

「ああっ、そういう!? 分かりました、騒がないようにしますね……」

「おう。で? どうする? レストランに行くか?」

「いやいや、プールサイドで大丈夫ですよ! その方が雰囲気あるし、楽しくていいじゃないですか!」

「お前ならそう言うと思った。女子更衣室はあっちだぞ」

「はーい! じゃあ、またあとで」

「おう。水着姿、楽しみにしてる」


 んん!? さっきのアホなやり取りで甘い空気が霧散したと思ってたんだけど、違った。甘いのか甘くないのかよく分からない。ほの甘? ほの甘なの!? 呆然としながら、先輩の後ろ姿を見送る。かっこよかった。お尻がきゅっとしていて小さいし、ふくらはぎから太ももにかけてのラインがしっかり出ていて、目に毒だし、何故か腰が細いし、うなじが綺麗に刈り込まれていて色気があるしで最高だった……。先輩の後ろ姿、盗撮してベッドサイドに飾りたい。


(こ、これは甘い雰囲気をぶち壊すべく、黒いパーカー水着にすれば良かったかもしれない!! そこまで日焼け対策に命捧げる? って他人が言いたくなるほど、ネックガードと日焼け防止マスクでがっちがちに顔を固めて、肌の露出をゼロにすべきだったかもしれない……!!)








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ