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魔術犯罪防止課のトラ男と面食い後輩ちゃんの推しごと  作者: 桐城シロウ
一章 私が自分史上最高のイケメンを見つけて、転職した話
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9.先輩の顔が良いのがすべて悪いんじゃ……?

 


 こ、怖い……。さすがの私でもちょっと怖いんだけど、これ! ラインハルトさんが限界まで青い瞳を見開き、はあはあと息を荒げていた。肩に指が食い込んでる、いった!


「ようやく、ようやく邪魔が入らずにできるんだ……!! 魔力測定をするぞ、新人! 拒否権は無しだ。黙って俺に指先を差し出せ!」

「朝っぱらから何をしているんだ、お前は!」

「いだっ!?」

「先輩!」


 背後から拳が飛んできて、ラインハルトさんが思いっきり後ろへと倒れた。え、今、かなり強めにおでこを殴ったよね……? いいの、それで!? 慌てて振り返ってみると、あまりの顔の良さに私まで倒れそうになった。この銀髪と、屋内だと青灰色に見える瞳がたまらない! 何よりも、この逞しい筋肉で出来た首が本当に良くて、よだれが出ちゃいそう。これはもはや感涙もの。そう、真のイケメンとは顔面だけで女性を泣かせるもの!


「先輩、その顔面をこの世に生み出してくださってありがとうございます!! つきましては、幼少期の写真が欲しいんですけど!?」

「他にもっと、何か言うべきことがあるだろ……?」 

「ラインハルトさんが思いっきり倒れて、心配してたんですけど、どうでもよくなっちゃいました! あっ、おはようございます。朝の挨拶、まだでしたよね~! あはは、写真撮ってもいいですか?」

「その前にまずは、魔力測定だ……!!」

「うわあああっ!? ゾンビ感がある!」


 カメラを先輩に向けていた私の肩を、蘇ったラインハルトさんが()()()()掴んできた。この人、魔術オタクだって言われてたけど……。振り返りながらも、カメラで先輩のことをバシャバシャ撮っていると、急に怒り出した。


「器用なことするなよ、お前! 回収だ、これは」

「えーっ!? ちょっと待ってください、中にお宝写真が入っているのに!?」

「よし、分かった。新人、おい、こっちを向け。まずは! そうだ、それでいい。俺がロッカールームにカメラを仕掛けて、ヒューのことを盗撮してやるから魔力測定を、うっ!?」

「盗撮は犯罪だろうが……!! もう少し意識しろ、この犯罪者どもが!」

「いだだだっ!?」


 怒った先輩がすさまじい力をこめて、ラインハルトさんの頭を掴んでいた。うわ~、あれ痛そう~。見るのに飽きてきて、部署の奥を見てみれば、座っているステラちゃんと目が合った。ひらひらと手を振ってくれたので、全力で振り返しつつ、笑顔で近付く。


「ステラちゃーんっ、おはよう! 昨日ぶり~」

「おはよう、昨日ぶり~! あ、私のバディ紹介するね? 昨日は先に帰っちゃって、紹介出来なかったからさ~」

「えっ?」

「ど、どうも……」


 ステラちゃんの隣に座っているのは、黒いパーカーのフードを握り締めている、根暗な男性だった。あれ? 意外。少なくとも女の子だと思ってたんだけど……。それに顔がよく見えない。フードですっぽり覆われている。


「え、制服の上からパーカーって着てもいいんですか!? というか暑くないですか? いくら温度調節機能つきとはいえども……」

「あ、あ、はい、大丈夫です。それに落ち着かないので、フードをかぶっていないと」

「へ~! おいくつなんですか? タメ口でも大丈夫ですかね? そうだ、名前は!?」

「ア、アンドリュー・スタージェス……」

「私はフィオナ・ハートリーです、よろしく!」


 笑顔で手を差し出せば、何故か焦って、ステラちゃんの方を何度も見たあと、おそるおそる、手を伸ばしてぎゅっと握り締めてきた。握手というよりも、頑張って手を握ってみました感がある……。手汗がすごくて冷たかった。一瞬だけ心臓が飛び跳ねる。すぐさま手を引っ込め、神経質にフードを掴みながら、「すみません、すみません!」と謝ってきた。


「俺、俺、上手く人と話せなくて……手汗のこともすみません。気持ち悪かったですよね?」

「いえ、別に! 今日ちょっと暑いですよね~。あと、私、距離感がバグってるってよく人から言われるんです。不快だったら言ってくださいね?」

「あ、は、はい……」

「フィオナちゃん、すごいね~! 本当。まあ、アンドリューも頑張ったね! えらいえらい」

「……」


 笑顔のステラちゃんに頭を撫でられ、きゅっと、フードで顔を隠してしまった。悪いことをしてしまったかもしれない、私。呆気に取られていると、ふいに肩を叩かれた。振り返ってみると、アポなし面接をした日に会った、チャラそうな茶髪のルーカス? さんと誰か知らない男の人が立っていた。その人がじっと、私のことを凝視してる。な、なに? 金髪に、先輩の青灰色の瞳よりもう少しだけ、明るい青灰色の瞳を持っていた。それにしてもこの人、なんで私のことを凝視してくるの……?


「すごいなぁ~、あっという間にステラとも打ち解けちゃって」

「ルーカスさんでしたっけ? おはようございます」

「おはよう。こっちは俺のバディのセドリック。よろしく!」

「どうして、あんたが俺の代わりに自己紹介するんだ?」

「ん? 話す気が無さそうだったからだな。そんなことよりもあれ、どうにかしてやってくれ。ヒューが辛そうだ」

「えっ!? やだ、羨ましい!!」

「羨ましいねえ……」


 ルーカスさんが親指で指し示した方を見てみると、泣きつくことにしたのか、ラインハルトさんが先輩の足に抱き付いて、泣きむせびながら懇願していた。先輩が、鬱陶しそうな顔で「離れろ!」って言ってる。だめだ、これは! 私も混じらないと!


「先輩、私も加わります!!」

「やめろ! せっかくかばってやってんのに……」

「でも、指先から血を出すぐらい、別にいいですよ? あと尻尾は本当に、」

「本当か!? 新人、本当か!? この堅物を説得してくれ! 俺から人生の楽しみを奪おうとしているんだ!!」

「分かりました、いいですよ~」

「軽いな、ノリが。まあ、お前がいいって言うのならいいが……あと、ちゃっかり抱きつくな! 腹筋に触るな!!」

「はぁーい……」


 後ろからがっしりと抱きついて、さわさわと腹筋を触っていたら怒られた。けち! 


「確かに堅物ですよね、先輩は。腹筋ぐらい、触らせてくれたらいいのに……」

「新人、あとでこいつの飲み物に痺れ薬でも混ぜ込んでおこうか? その隙に触ったらいいだろう」

「俺の目の前で言うとは、いい度胸だな……」

「いだだだ!? 頭を掴むな! その代わり、君には実験に協力して欲し、いだだっ!?」

「さっさと測定しろ。俺は早く仕事に行きたいんだ」

「朝礼的なの無いんですか? 先輩」

「ある時と無い時がある。自由だ」

「自由!!」


 部長もいないし、奥では私に興味なさそうな二人組がカードゲームしてるっぽいし、この部署、本当に大丈夫……? ちゃんと機能してる? 聞きたいことは色々あったけど、ラインハルトさんが限界らしく、体温計みたいな形の測定器を持って、はあはあと息を荒げ出したので、先輩監視の下、血を出して測定して貰うことにした。測定器の先を、血が出た指先に当てたかと思えば、ラインハルトさんがぎょっとした顔になる。


「さんびゃく……四十六!? 高いな! 百負けてる……」

「はあ!? 宝の持ち腐れだな!」

「えっ? えっ? 私の魔力値、そんなに高いんですか!? 測ったことないんですけど! ちなみに先輩はどれくらいなんですか?」

「俺で二百七十ぐらいだ。ちなみに、平均値は百五十」

「へ、へえ……私、めちゃくちゃ高いじゃないですか! やったーっ!」

「これで魔術が使えたらなぁ……」

「しみじみ言わないでくださいよ、先輩。責められてる気がするんですけど!」

「責めてはいないんだが、あまりにももったいなくてだな……」


 とにかくも、満足げなラインハルトさんを置いて部署を出る。今日は面談予約も依頼も入ってないから、ただ街を回るだけ。でも、けっこうハードだった。ショッピングモールのトイレと公衆トイレを回って、カメラが仕掛けられていないかどうかをチェックする。最初は女子トイレに入ってるのかな……と思ってたけど、違った。出入り口に立って、魔術でざっと確認していた。


「……よし、一つも無いな。それにしても、俺としては張り紙をしたいんだけどなぁ」

「張り紙ですか?」

「そう、定期的にパトロールしていますよって。仕掛けたカメラから犯人がたどれるからな。その旨を書いた張り紙がトイレにあれば、躊躇するだろ? ただ、俺では女子トイレに張れないし……」

「あっ、張ってきましょうか?」

「そうしてくれるか? 一応持って来た。ただ、ステラやジュリアナが他の見回っていないトイレに盗撮犯が行って、盗撮したら嫌だから張りたくないって言ってて、」

「ええっ!? そ、それは確かに嫌だ! そうですよ、先輩! 見回っているのが知られていなかったら、盗撮犯をすぐさま捕まえられるじゃないですか! 油断させて捕まえないと!!」

「あ~……やっぱり同じ意見か。じゃあ、やめておく。張った方が楽なんだけどなぁ。見回りが減らせて」


 ポケットに手を突っ込んでいた先輩が、しぶい顔をしてポケットから手を出した。……でも、どうしてわざわざ言ったんだろう? 私がステラちゃんやジュリアナさんの意見を知らないでいたら、あっさり張りに行っただろうに。何も言わずに、先輩がすたすたと歩き出した。慌ててついていく。ショッピングモールは平日の午前中だからか、かなり空いていた。


「ちょっと待ってください、先輩! 私にそれ、言わなきゃ良かったんじゃ……?」

「でも、知ったら嫌な思いをするだろ? 大体だ、この部署の理念は犯罪に利用されやすい魔術によって、都民の安全と心を守ること。まあ、あいつら全員、そのことがすっかり頭から抜け落ちてるみたいだが……!! とにかくも、悪かった。見回りを省いて、楽しようとして」

「先輩って本当に生真面目ですよね!? でも、回っていて気付きました。足がすごく痛くて大変……」

「そんなローファーを履いてるからだろ……。靴擦れしたか? 見せてみろ、足」

「いっ、いえいえ! 大丈夫ですから、別に! そうじゃなくて、あちこちのトイレを巡って歩くのって大変だなぁと思って。施設の中にバイクで入るわけにはいかないし」

「そうだな。でも、一週間に三回ほど見つかるから、」

「ひっ!? そんなに仕掛けられているんですか!?」

「大丈夫だ。犯人は速攻逮捕されてるし、カメラも壊してる」

「壊して!? しょ、証拠なのにいいんですか……?」


 それにしても、先輩の顔が良い。正直いって見飽きるかと思ったけど、ぜんぜん見飽きない。我慢、我慢。ショッピングモールのライトに照らされた銀髪と、トラ耳が神々しくて可愛い……。ああああっ、カメラを出して写真を撮りたい!! あとでラインハルトさんと交渉して、お着替え中の先輩を盗撮、だめだめ! 面食いがすぎて犯罪者になってしまいそう、私。


 でも、先輩の顔のパーツ位置が良すぎるのがだめなんだと思う。ついうっかり、犯罪に手を染めてしまいそうな美しさ……。このことをベラベラ喋りそうになったけど、我慢した。嫌われたくないから、真剣な顔で見上げておく。先輩がそうとは知らず、真面目な顔をして頷いた。


「警察署に嘘発見器があるからな。答えなかったら有罪とみなされる。証拠はあまり重要視されない。ただ、大きな事件だとそうじゃないから気をつけろよ? 証拠を破壊するなよ?」

「し、しません!」

「そうだよな? アヒルしか出せないもんな……」

「ほっ、他の魔術も使えますよ!? タ、タオルを乾かせます!」

「タオルを乾かしてどうする! まあ、いい。今日の夜、空いてるか?」

「へっ!? あっ、空いてますよ!? たとえ手術の予定が入っていたとしても、空けますけど!?」

「そういう時は大人しく黙って病院に行って、手術を受けろ! そうじゃなくて勉強するぞ。俺が魔術を教えてやる」

「へーっ!? いけないレッスン感があって興奮するんですけど! やばい!!」

「うるさい、声がでかい!」

「す、すみません……痛い痛い、ちょっと痛い! すみませんでした!!」


 がっと頭を掴まれた。先輩の手、大きいな~。それにしても、レッスンか! 業務中も業務時間外も先輩の顔が見れるなんて、素敵。私が「ふふっ、うふふっ」と笑いながら歩いていると、先輩がぞっとした顔になる。


「不気味だな……まあ、初対面の時からお前はそうか」

「初対面の時から!? えっ、なんだろ。心当たりが無いんですけど! 写真を撮らせてくれと迫ったことしかないんですけど?」

「十分だろ、それだけで。気絶した元彼をどうでもいいと言い放った時、あ、やばいな、こいつと思った。実際、かなりやばい女だったな……」

「ええっ、どこが!? 先輩を合法的に追いかけ回すために、一年半みっちり勉強して資格を取って、同じ職場に就職しただけなんですけど?」


 やばいかなぁ? やばくないと思うんだけど、ぜんぜん。どうして周りがやばいって言うのか、よく分からないんだけど! 不思議そうに首を傾げる私を見て、先輩の顔色がちょっとだけ悪くなった。額に手を当て、首を振る。


「もういい、疲れた。やめよう、この話は……。諦めた方が賢明だと思って諦めてるから、もういいんだ。次は駅のトイレに行くぞ。あと、忘れ物の中に貴重品があったら、魔術で持ち主を突き止めて渡しに行く」

「あっ、はい! そういうこともしてるんですね……? というか私のお気に入りバッグを電車に忘れた時、誰も届けてくれなかったんですけど!? 今も紛失しちゃったままです」

「駅員の判断だからな。勝手に俺達は忘れ物の中を見れないから」

「なるほど……。あ~、でも、誰かが盗ってる可能性もあるかぁ」


 私の超絶キュートな苺とリボンのバッグを使っている人がいたら、呪われますように……。数年前のことなのに諦めきれない。そいつが盲腸にでもなって、緊急手術しますように!! 崇高な顔をして呪っていると、先輩がいぶかしげな顔になった。


「どうした? 急に静かになって」

「私だって静かになる時ぐらい、あるんですけど!? 失礼じゃないですか? それ!」

「悪い悪い。どうも、フィオナが静かだと落ち着かなくてな……」


 先輩が初めて、嬉しそうに笑った。ああっ、かっこいい! 顔がくしゃっとなる感じがたまらない! 感動して、小刻みに震えてしまった。


「わ、笑うと、初夏の風にふかれてる少年みたいな顔になるんですね!?」

「大丈夫か? 頭。ああ、大丈夫じゃないか……」

「先輩の尻尾を触れば、少しは面食いも落ち着くような気がするんですけど……?」

「目が怖い! 悪化するだけだろ、余計に」

「そんなことはありません、治ります。絶対に完治します!」

「……ここまで真剣な表情で嘘を吐く人間、初めて見たな」


 いくつか話をしながらも、全部のトイレを回ってバイクに乗る。私が張り切って後部座席にまたがり、「うへへへへ」と笑いながら、手をわきわきさせていると、無言で軽く頭を叩かれた。でも、ヘルメットをしていたから痛くない。


「私、先輩の愛ある小突きが好きなんですよね~!」

「はあ? 愛なんてこもってるわけねぇだろうが。正気か?」

「正気でぇーすっ! ふふふ、だっていつも優しいじゃないですか! あっ、そうだ。先輩お気に入りの後輩って誰ですか? いますか?」

「いねぇなぁ……。そうだ、ニコラスには気をつけろよ。あいつ、涼しい顔してけっこう過激なことをしやがる」

「へ~、真面目そうな子に見えましたけど。そうだ、今度ステラちゃんと三人で飲みに行くんですよ。先輩も来ませんか?」

「は? ニコラスと?」

「はい! 連絡先聞かれたので交換しました~。昨夜はお互いに恋バナをしていて、」

「ちょっと待て、進展するのが早すぎるだろ……!!」


 いつも運転が丁寧な先輩にしては珍しく、ぎっと急に止まった。鼻が先輩の背中にぶつかりそうになる。仕方ないので、先輩の腹筋をほんのりさわさわしてると、私の手を握り締めてきた。えっ?


(ああああああっ、心臓が止まりそうになってるんですけど! 今! 手、手、分厚い……!!)


 先輩の手、分厚くてかさかさしてる。ちょっ、今日手を洗うのやめてこう!! 急に、ふんわりと甘い花の香りが、近くの公園から漂ってきた。気をまぎらわせるために見てみると、歩道沿いの木に白い花が咲いている。綺麗、可愛い。小さい子供の笑い声が、風に乗って耳に届く。今日も良い天気で、青空が澄み渡っていた。


「ニコラスは……彼女がいるだろ、あいつ」

「んっ? 確かにいましたけど、先週別れたそうですよ。原因は彼女の酒癖の悪さだそうで、」

「やけに詳しいな!?」

「あっ、はい。ああみえてお喋りなんですよね~。でも、真面目そうな外見によらず、口が軽くてペラペラと喋るタイプなので、ちょっと距離置こうかなと思ってます」

「でも、三人で飲みに行くんだろ?」

「はい。私の友達に紹介するのはやめておこうかなって感じです。あと誕生日パーティーと旅行と、」

「友達が多そうだなぁ、フィオナは」

「そうなんですよ~! 年に数回しか会わない友達も含めると、何人ぐらいいるんだろ? 久しぶりってメッセージがきたら、誰だっけ? あの人か! ってなる時もあります。先輩は? どのくらい友達いるんですか?」

「五、六人か? たまに会って喋る程度」

「へ~、なるほど」


 獣人の友達っているのかなぁ? でも、先輩と後輩の仲になってまだ日が浅いんだから、プライベートのことをあれこれ聞くのはやめておこう……。私がすんと鼻を鳴らして、我慢していれば、先輩の方から話しかけてきてくれた。


「付き合った人数は? どれくらいだ?」

「えっ? うーん、改めて数えたことないんですけど。六人くらい?」

「六人か。多いな。あっという間に破局してるんだろ?」

「そうなんですよね~!! 初めて付き合った時は中学生で~」

「青に変わった。しっかり掴まってろ」

「あっ、はい! ()()()()()掴まっておきます!!」

「……言うんじゃなかった、そう」

「へへへへ! 至福の一時なんですよ、これ~。そうだ、腹筋触ってもいいですか!?」

「まあ、ちょっとぐらいなら……。変態的な触り方をしないのなら、許してやる」

「ふふっ、ありがとうございます!」


 先輩はやっぱり優しい。でも、仕事終わりにカフェへ行って、勉強したんだけど、あまりにもスパルタで震えてしまった。この時の幸せな私は、まだそのことを知らない……。









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