表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
98/104

第98話 魔王様、ドワーフの国へ


 洞窟の中を進んでいた俺たちは、ようやく出口らしき場所へと出た。そこで目に飛び込んできたのは灼熱の大地だった。



「うわぁ……見てっ、兄様!」

「あぁ……こりゃまた、壮観な光景だな」


 これまで細い洞窟だったのだが、今度は地下にポッカリとできた巨大な空間へと変わっている。


 見上げてみても天井はなく、ただ深い闇があるだけ。視線を下に向けてみると、辺り一面に真っ赤なマグマが広がっていて、思わず腕で顔を覆ってしまうほどの熱波に襲われた。


 こりゃあ魔法で周囲の温度を下げていないと、あっという間に干上がってミイラになりそうだ。



「すごいすごい! ねぇ兄様、あの赤い泥で遊んできてもいい!?」

「ぐぁ、ぐぐぁ~っ!!」

「やめろ二人とも。アレは海じゃないぞ」


 同行者の二人がキラキラした眼で俺を見てくるが、行ってこいなんて言えるわけがない。


 魔族最強の竜族シャルンとサラマンドラのサラちゃんなら、もしかしたら平気かもしれないけどさ。火傷じゃすみませんでしたー、で帰ってこなかったらさすがに嫌すぎる。



「それにしても、ドワーフは本当にこんな所で住んでいるのか?」


 どこを見渡してみても、住居などの人工物はないし、ましてや人の影どころか魔物の気配すらない。とてもじゃないが、ここに国があるとは思えなかった。


 うーんと首を傾げて悩んだ末、俺はシャルンたちに声を掛けた。



「ダメだ、分からん。ちょっとティターニアに聞いてくる。どうやってドワーフから救援要請を受け取ったのか、それが分かれば何か手掛かりが掴めるかもしれない」

「えぇーっ! アタシも行きたい!!」

「ぐぁー!」

「お前らなぁ……遊びじゃないんだぞ? すぐに帰ってくるから、ここで大人しく待っていてくれ」


 子供のように駄々をこねる二人を宥めつつ、俺はティターニアの居る精霊の国へと転移した。



 そして約2分後。


「ったく、何が伝え忘れただよ。ちゃんと合図の魔法があるんなら、あらかじめ伝えておいてくれないと――って、あれ? シャルン? サラちゃん?」


 意外とあっさり用件が終わった俺は、再びブードゥ火山へと戻ってきた。


 ブツクサと文句を呟きながら、ティターニアから教わったドワーフたちとコンタクトを取るための魔法をさっそく使用する……が、ここで待っているはずの二人の姿がどこにもない。


「トイレにでも行ったのか? いや、さっき昼飯を食った後に行ったばかりだしな。……ともすれば」


 いや~な予感が俺の脳裏をよぎる。



「あははは! たのしーい!」

「げぎゃっげぎゃっ!!」

「うわ、マジかよ……」


 声のした方を振り返ると、そこにはマグマの海で遊ぶ二人の姿があった。

 二人は水浴びするように、マグマに手を突っ込んでは互いに掛け合い、奇声を上げて喜んでいる。


「あんのバカどもは……っ!」


 俺はすぐに飛翔魔法でシャルンたちの居るマグマの海へと向かい、二人の首根っこを掴んで引っ張り上げた。


「兄様!? あっ、ちょっと! なにするの!?」

「ぎゃぅ!?」


 全身が灼熱の液体まみれになっているものの、二人とも火傷した様子はない。本当に火耐性が高いようだ。



「何するの、はお前たちの方だ! こんな所で遊んじゃダメだって説明しただろ?」

「だって別に危なくなんかないもん! それにサラちゃんだって楽しそうよ?」

「ぐぁー♪」


 そんな俺の怒りなど何処吹く風で、シャルンたちは興奮した声を上げる。マグマで遊ぶという貴重な体験ができて心から嬉しそうである。……まぁずっと魔王の仕事ばかりで、遊ぶ暇なんてなかったのかもしれないが。


「まったく、あんまり心配かけないでくれよ」

「むー……ごめんなさい、兄様」


 俺は怒るよりも呆れて大きなため息をこぼした。



「それよりも兄様、伯母様はなんて?」

「あぁ、聞いてくれよシャルン。それが俺も予想外なところにドワーフが隠れていたらしくって……」


 空中で浮かんだままそう言いかけた瞬間、それまで静かに(なぎ)いていたマグマの海が突然、大きくうねり始めた。


「えっえっ!? なに? なんなの!?」

「おっ、来たか。丁度いいタイミングだな」


 大きな泡がいくつも浮かび上がった。その泡もどんどん大きくなり、やがて巨大な黒い影がマグマの水面に映り始めた。


「に、兄様!?」

「大丈夫。俺が合図したからドワーフたちが応えてくれたんだ」

「えええっ!?」

「ドワーフたちはここに国を建てたんじゃない。彼らはこのマグマの中で生活していたんだ」


 ――ゴボッ、ゴボボボボッ!


 シャルンの驚く声をかき消すように、粘りのある大きな水音をさせ、ついに彼らの国が現れた。


「な、なにこれぇ……!」

「おぉ……魚?」


 ()()()は灼熱の海を泳ぐ、黄金色に輝く巨大なチョウチンアンコウだった。




もし気に入ってくださいましたらブックマークをお願いします!

感想、☆☆☆☆☆評価もお待ちしております(´;ω;`)


作者へのとても大きな励みになります。

よろしくお願いいたします(*´ω`*)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ