表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
76/104

第76話 魔王様、妖精女王と対談する


(……懐かしいな)


 そんな思いが込み上げてきた。


 俺は以前にも、この城に来たことがある。あのときは先代の魔王に連れられて、義妹のシャルンと一緒に遊びに来たんだっけ。妖精女王は、当時まだ幼い俺のことを実の息子のようにかわいがってくれた。


 その時の記憶がよみがえり、少しだけ胸が痛くなった。



「どうされました?」

「いや……ただちょっと昔を思い出して」


 不思議そうな表情をしている彼女に、俺は適当に誤魔化した。


 お城の中に入ると、透明な廊下が続く。天井は外と同じクリスタルで輝いており、廊下の左右にはいくつもの扉があった。ティターニアの案内で、とある扉の前にたどり着くと彼女は俺たちを振り返った。



「さぁ到着よ。どうぞお入りになって」


 妖精女王が門を開くと、そこには透明な景色から一変して、美しい緑の庭園が広がっていた。色とりどりの花が咲き誇り、噴水からは心地いい水の音が聞こえてくる。


(そうか……ここは何も変わってないんだな)


 俺は思わず頬を緩めてしまった。そんな俺を見て微笑むティターニアに促されるまま、俺たちは城内へと足を踏み入れた。



「勇者に魔族の幹部、そして人族の王女……ふふっ、そうそうたる顔ぶれね」


 導かれるままに案内されたのは、城内にある貴賓室だった。


 ここは普通の建物のように白い壁や家具があり、落ち着ける内装となっている。ただ窓からは先ほどの庭園が覗けるようになっていて、この部屋自体が一つの芸術品のようになっていた。


 俺たちはこの部屋のソファーに掛け、女王自ら淹れてくれた花茶を楽しんでいる。何の花を使っているのかは分からないが、甘酸っぱい爽やかな香りのするお茶だった。



「さて、どこから話しましょうかね……」


 ティターニアはお茶を一口飲むと、思案するように瞳を伏せた。一方で俺はまだるっこしい世間話をするつもりは無いので、すぐに本題を切り出した。


「妖精女王様、単刀直入にお聞きしたいのですが……鎖国を解除するおつもりはありませんか?」


 そう問いかけると、彼女は静かにうなずいた。


「えぇ、そうね。そろそろ引き篭もるのは終わりにしようと、私も思っていたわ」


 ティターニアがちらりとリディカやアクアを見る。

 いろんな目と耳を持っている彼女のことだ。この城に居たままで世界がどうなっているのかなんて、手に取るように知っているはず。人族と魔族の戦争に一旦の決着がついたことで、国交を断絶していた理由も消えた。



「でも……今すぐにというのは無理ね」

「やはり、ブゥード火山からやってくる魔物の影響ですか?」

「そう、その通りよ」


 ティターニアは真剣な表情でうなずいた。


「あの火山には、リザードマンの上位種であるサラマンドラが棲み着いているわ。その魔物を討伐しないうちは、国交を回復することはままならないでしょうね」

「……分かりました。ではまずはそのサラマンドラとやらを倒すことにしましょう」


 俺がそう言うと、妖精女王は静かに首を横に振った。


「貴方が行ってくれるの? でも、それはやめたほうがいいわね」

「えっ、それはどうしてですか?」

「隣で戦闘しているところを私も見たけれど、彼は魔王様を倒しただけあって、相当な実力者ですよ?」


 リディカとアクアが不安げに問いかけると、ティターニアは困ったように笑った。


「私も彼の実力は疑ってはいないわ。ただリザードマンが隠れ潜んでいる場所が、少し厄介なの」

「その、厄介な理由とは?」


 俺が聞き返すと、彼女はお茶のカップをテーブルに置いた。


「魔法宝石を採掘する坑道を、奴らに占拠されちゃったの」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ