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第56話 魔王様、牧場へ行く


「なんだか急に、大掛かりな畑になってしまいましたね……」

「そうだなぁ……」


 ある日、俺はリディカ姫とプルア村の畑へと出ていた。


 当初の予定では、通常の野菜を育てる畑と薬草畑、そして魔法植物であるデビルヘッドの実験畑を作る予定……だったはずなのだが。



「畑の8割は豚饅頭に侵食されたな」

「ですね……」


 何が原因か、恐ろしい見た目のデビルヘッドは可愛らしい白豚饅頭へと突然変異した。しかも自律して勝手に増殖するという、恐ろしい能力まで付与されている。


 おかげで最初は10匹程度だった豚饅頭も、今じゃ桁が増えて100匹近くが我がプルア村の畑に自生(?)している。

 当然ながら最初の実験畑では狭くなったので、仕方なく他の畑を開放して豚饅頭の住処(すみか)にさせている。



「ぶひひっ」

「可愛いっちゃ可愛いんですけどね~」

「もはや畑じゃなくって、牧場って言われた方がしっくりくるよな」


 近寄ってきた豚饅頭を撫でながら、俺たちはそんな会話をしていた。

 まぁ村の畑に植えておけば勝手に増えるので、世話をしなくて済む分とても楽だと言えるだろう。



「ふふっ、それにこの子たちは美味しいですしね~」

「外の生地はモチモチ、中身は肉汁ジューシーだもんな。これだけで主食になるし、ありがたい存在だよ」

「フシちゃんたちも、毎食欠かさず食べていますもんね!」


 ぶっちゃけコイツらがいれば、食糧問題は解決してしまっている。


 あとは栄養的に野菜や森の果物があれば十分だ。今後村人が増えても、この豚饅頭がいればどうにか生活はできると思う。



 普及と宣伝を兼ねて、ティリングのサムアッさんのお店にも置いてもらっているんだが、向こうでも豚饅頭は大人気だそうだ。


 あまりに売れるので、彼女からはもっと量が欲しいとせっつかれている。

 サムアッさんが自分で食べる用に買っている分を減らせば、売る分の在庫は増えると思うのだが……それを言ったら肉食にドハマリ中の彼女に怒られそうなので黙っておく。



「こうなったら、思い切って畑をもっと広げてみるかぁ」

「では、またケルベロウシに開墾を手伝ってもらいましょうか」

「そうだな。じゃあクーのところへ頼みに行こう」


 二人で村の中を歩き、今度はケルベロウシの居る場所へ。こっちは木の柵で囲んだ“ちゃんとした方の”牧場エリアだ。


 土地は無駄に余っているので、村の外にまで柵を拡張して、かなり広めにしておいた。約30頭近いケルベロウシたちは、地面に生えた草をムシャムシャと()みながら、ここで悠々自適に過ごしている。


 えっと、クーは……あ、いたいた。

 彼女は俺が街で買ってきた麦わら帽子を被って、ケルベロウシのミルクを(しぼ)っているところだった。



「おーい、クー! 今ちょっと良いか~?」

「はーい!!」


 ピクッ、と反応した彼女がキョロキョロとあたりを見渡す。


 そして柵の向こうに居る俺たちの姿に気が付くと、尻尾をブンブンと振りながらこちらに走ってきた。



「お二人ともどうしたのです!? 散歩ですか!?」

「お疲れ様、クー。いや、実はな。ケルベロウシに今回も開墾を手伝ってもらいたくって」


 俺が声を掛けると、クーは納得したように「なるほど!」と手を打った。



「では早速、ケルベロウシの皆を呼んできますです! おーい、みんなー、出番ですよー!!」


 そう言って彼女は、ケルベロウシの集まっている方へと駆けだす。

 しばらくして戻ってきた彼女の後ろには、20頭近い大きな白黒ブチのケルベロウシたちが控えていた。






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