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第53話 魔王様、顔が怖いです


「食堂……ってあの食堂かニャ?」


 俺の提案に、フシは金色の猫目をさらに真ん丸にさせる。


 まぁ、いきなりの話題に驚くのは仕方ないよな。

 でも俺はずっと考えていたんだ。どうすればフシが、この村でやりたいことを見出せるのかを――ってな。


 そして思い至ったのが、これだ。



「食堂ってなんなのです!?」

「なのですー?」


 そばで聞いていたクーやピィも、興味を示して集まってきた。


「二人は知らないか。人の多い街なんかにはあるんだが、人に食事や酒を提供するところだよ。この村にはそういうのが無いだろ?」

「たしかにお料理どころか、お店自体が何も無いのです!」

「たべものー?」

「美味しい食べ物がいっぱいあるぞ。だから、食堂をやってみないか? って提案だ」


 この村もいずれは人が行きかう、活気のある村にするつもりだ。


 辺境で魔物退治をしている間に出逢った人たちに、このプルア村の存在もアピールしている。まだまだ地道なことしかできていないが、何人かは興味を示してくれた人も居る。そのうち人も集まってくるはずだ。



「俺はこの村の特産品(豚饅頭)や温泉をネタに、人族と魔族が交流できる場所にしたい。そうすれば食事処の存在は必須だろ?」


 食堂なら村の人々も気軽に立ち寄れるだろうからな。


 それにいつまでも、森で採ってきた木の実や果物を食べるだけの生活を続けさせるわけにはいかないし。最近料理を覚え始めたリディカ姫を始め、獣人三姉妹にもちゃんと生活の基本を学んでほしい。



「もちろん、これは強制なんかじゃない。もしフシが他にやりたいことが思い付いたときは、遠慮なく言ってほしい」


 とにかく俺にできるのは、フシが家族の一員としてこの村で過ごせるようにサポートすることだけだ。村を盛り上げたいって気持ちもあるけれど、これはあくまでフシがやりたいかどうかの話だからな。


 俺は最後に、彼女の答えを待つことにした。



 ひと通りの話を聞いたフシたちは、互いに顔を見合わせると瞳を輝かせる。そして――、


「ニャるほど。フシにはご飯を食べるのも、誰かを満腹にさせるのも大好きニャ! わかった、やるのニャー!」


 元気よく答える妹に、俺はニヤリと笑みを浮かべて言う。



「あぁ、ただし条件がある」

「ニャッ!? やると言った途端にそんなことを言い出すなんて、ストラ兄も意地悪なのニャ! でも多少のことじゃ、フシの意志は揺るがないのニャ!」


 頬を膨らませながら抗議してくるが、大事なことだからあえて言わせてもらおう。俺はフシの頭にポンと手を置いた。


「食堂をやるなら、フシがちゃんと責任をもって経営しないとだろ?」

「うん。だから美味しい料理をたくさん作って、お客さんにいっぱい食べてもらうのニャ!」


 フシは尻尾をフリフリさせながら、やる気に満ち溢れていた。

 そして彼女は俺の手を握って、ブンブンと振りだす。まるで嬉しさを表現したいかのようにだ。


 でも、ちょっと痛いんだけど……まぁいいか。



「それにはまず、お前に最低限の勉強とお作法を教えてやらないとな」

「ニャニャーッ!? 勉強は苦手ニャー!!」


 ――俺は絶望の表情を浮かべる妹に、ニッコリと微笑んだ。


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