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復讐

「ロートリアが滅ぼされたって、どういうことだ!」


 意味が解らなかった。


 まさかクソババアども死にやがったのか!?

 俺が全員ブチノメすはずだったのに!


「はい……! つい先日の話なのですが、魔法軍事大国アレックスターに侵攻されまして……」


 リーダー格の兵士が言った。


 魔法軍事大国アレックスター。

 その名は俺もよく知っている。

 大陸に覇を唱える大国の一つで、いずれ戦争になるだろうとは思っていた。

 だが話がおかしい。

 ロートリアがそんな簡単に滅びるとは思えないのだ。


「ロートリアには、【剣聖】のユリウスや【聖女】のリアーナがいる。持ち前の軍隊だってかなり強力だ。仮にアレックスターが攻めてきたとしても、半年やそこら持ちこたえるはずなんだが」


 俺は兵士に尋ねた。

 すると兵士は申し訳なさそうに顔を伏せる。


「それが、アレックスターではつい最近新しい王に代わったみたいなんです。そいつがもうめっちゃくちゃに強くて……! 俺たち一生懸命戦ったんですが全く敵わなかったんです……! 逆らう奴らはみんな殺され、女王ベルダンディ様もユリウス様もリアーナ様も、みんな敵国に囚われてしまいました……!」 


 そうか。

 あいつらまだ生きてるんだな。

 それならよかった。

 ……ん?

 つうかそもそも俺が追放されてから1日しか経ってないはずなんだよな。

 どうも時間間隔がおかしい気がするが……。

 ああ、気を失ってた間に時間が過ぎてたって可能性はあるか。

 多分、何日かあの森で寝てたんだろう。

 まあいい。

 今はこいつの話を聞くか。


「国はもうめちゃくちゃです。若い男は過酷な労働や前線の兵士として送られ、若い女や子供は売られるか妾にされ、逆らう奴や老人や役立たずは片っ端から殺されています……!

 それで、俺らは命からがら逃げてきたんです……!

 でも金も食うものも無くって……!

 それでヤケになって、村を襲ったって始末なんです……!」

「ぬうう……! 人の命をなんとも思わない極悪非道な奴らめ……!」


 クーデリカが拳を硬く握りしめて言った。


 極悪非道ねえ。

 ロートリアの連中も大差ねえがな。

 俺をイジメてたってのも勿論そうだが、元々人身売買やら新しい軍事技術開発のための実験体とか色々やらかしてたんだ。主に障害者とか弱すぎるスキル持ってる奴とかがその対象にされててな。弱者にとことん厳しい国だった。

 あいつらみんなぶっ殺されたのか。

 ざまあねえわ。

 どうせなら俺が直接手を下したかったが。


「で、ロートリアの城は今そいつらが支配してるのか?」


 俺は尋ねた。


「は、はい……! 軍事大国から派遣された将軍が国を支配してるそうです」


 あ?

 ふざけんな。

 あの国のものは全部俺のだ。


「おい、アホどもから俺の城を取り戻すぞ」


 俺はクーデリカに言った。


「もちろんだ! バルク! 邪悪なる者どもからお前の祖国を開放し、正義ある秩序を取り戻そう!」


 クーデリカは、やる気に満ちた目で俺を見返し応える。


「俺の城……?」


 兵士がおぼろげな目で俺を見て言った。

 その目はやがてハッと見開かれる。


「それにバルクって……ひょっとしてあのバルク王子……!? う、ウソだろ……!? あの無能王子が生きて……!? ど、どうしてこんなに強いんだ……!?」

「無能で悪かったな?」


 俺がそう返事をしてギロリ、睨みつけると、


「ひいいいっ!?」


 兵士はたちまち震えあがった。

 その場に両手を突いて土下座しだす。


「もっ申し訳ございませんでしたああああ!! あの飛空艇から突き落としたのは、全部ユリウスさまの指示でしてえええ!!! どうかお許しおおおおおっ!!!!!」


 なんだこいつ、あの時あの場に居やがったのか。


「バルク。こいつがお前に何かしたのか?」


 クーデリカが俺に尋ねてきた。

 さっき俺がハメられた話をしたせいか、言葉の端に敵意が籠っている。


「ああ。俺がまだ弱い時に、こいつら散々俺の事を棒で打っ叩いたんだ。その後飛空艇から俺を突き落としやがった」

「なんだと?」


 ギロリ、クーデリカが兵士を睨んだ。


「やはり外道だったか。殺さねば」


 今度は白刃を兵士の首に突きつけて言った。

 兵士は途端にビクンとその身をのけぞらせ、


「ふっふぃいいい!? も……申し訳ございませぇんんんんん!!!」


 顔をフルフルさせながら俺を見て謝る。

【恐れ入りますが、下記をどうぞお願いいたします】



本作をお読みいただきありがとうございます。



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何卒よろしくお願いいたします!

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