第六十八話 Part I 月夜に浮かびし涙の花-おまけ
レンゲイ
「お、お待たせしましたぁーー」
男は両手に酒を持って
月明かりの綺麗な丘に登った。
レンゲイ
「すみません……桜雌鹿の
手入れで遅れました……」
「遅い……」
レンゲイ
「すみません……キスツスさん」
キスツス
「レン……いい加減
二人の時ぐらい
敬語は止めようよ」
レンゲイ
「いやぁ…まだ慣れなくて……」
キスツス
「フフッまぁ良いけど。ほら 座って。」
レンゲイ
「はい。」
キスツス
「レン……
この月を見る度に思い出すんだぁ。
父さんがお酒を飲む姿をね。」
レンゲイ
「そうですね。
よく笑う人でした。」
キスツス
「うん。素敵な人だったなぁ。
私たち二人をよく可愛がってくれたよね。」
レンゲイ
「そうですね。」
キスツス
「ねぇ、覚えてる?」
レンゲイ
「何をですか?」
キスツス
「私が月美夜女王を
授与されたあの日の夜
父さんがここに来て祝ってくれた。」
レンゲイ
「ハハッ あの日も
たいそう、酔っ払ってましたね。」
キスツス
「そうだね。
その時、父さんが言ったんだ。
お前が娘で私は幸せだ、ってね。」
レンゲイ
「...言ってましたね。」
キスツス
「そして、沢山の蓮の花を
夜の空に浮かべてくれた。
私..あの景色が美しくて大好きだった。」
レンゲイ
「知ってます。
銀狼の幻でたまに見てるのもね。」
キスツス
「フフッ気付いてたんだね。全く...君って人は。
でもね、レン。所詮は幻だよ。
儚い...幻。」
レンゲイ
「幻なんかじゃないですよ。」
レンゲイ
『輝夜•花蓮息吹ノ物語』
キスツス
「......ハァァ 」
レンゲイ
「…………また、来年も一緒に来よう。キスツス」
蓮の花が暖かい風に乗って無数に舞う
月明かりと涙に照らされて
美しく、ただ美しく
夜空へと消えていった。
いかがでしたでしょうか?
第一章から要所要所で活躍を見せていたレンゲイにようやくスポットが当たり、新しいキャラクターも増え、そんな中で鞘を巡るお話。今後どうなっていくのでしょうか?!
そしておまけでは、キスツスとの過去が紐解かれましたね。
ところで皆さま「キスツス」って噛まずに言えますか?
次回からどのように物語が進むのか、ご期待ください!
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