第一話 ルシファンブルク強襲編-1
この度は、当作品「千刃花〜帝国特務戦闘部隊〜」をお選びくださいまして、誠にありがとうございます。
こちらは、声劇台本として公開してました「千刃花〜帝国特務戦闘部隊〜」を、小説版として編集・再投稿したものとなっております。
とても熱い展開で織りなす、超絶厨二病バトルの世界を、是非ともご堪能いただけたらと思います。
※2021年8月13日追記
この度、小説版化にともない話数構成を変更しました。
台本版から細分化し、一話一話を短く、よりお手隙の時間で読みやすく変更いたしました。
REN'sProduction staff
作者 REN’sJackson
千刃花〜帝国特務戦闘部隊〜
ルシファンブルク強襲編
ここはナーベルク帝国
華々しい街並みと樹海の要塞に囲まれた
帝都"ルシファンブルク"
そこから少し離れた樹海で
何かから逃げる様に駆ける男が一人。
「はぁ ……はぁっ……はぁ うわああ!!
また、花がぁあ!」
月と星のみが照らす中、悲痛な叫びが響き渡る。
「あら? もう逃げるのはお終いかし……らっっ!」
「アァアッツ!」
見えない何かに体を押し潰される男は 息も絶え絶えに、キッと女を睨んだ。
『剋刃四十六・閻魔縄々』
「──これで貴方はもう逃げられない」
大地から漆黒の鎖が無数に召喚され 男に絡みつくと、
這いつくばる様に 大地に縛り付けられる。
「くそッ!! 離せ! 離せ!!」
「力を失った貴方に出来ることはもうないの。
せめてもの慈悲よ。潔く死になさい」
そう言うと、女は自分の胸に手を当て
静かに口上を唱えた。
周囲の空間が歪み、周りの木々は まるで鉄の塊が降ってきたように次々と押し潰されていく。
『『天輪・咆哮・鉄の錫杖
一手・二手と神の御手 強奪・脈拍 ・朽ちる御心
天地を仰ぎ 地に堕ち逆巻け!!!!』』
『『黒雨烈刃・黒雛』』
真黒な刀身が鈍く輝き 重々しい気を放つ。
「ハハッ……なんでだ……なんでなんだよ!! 友達だろ? 僕らは友達だったろう? 答えろ!! アナスタシア!!」
「今、自分で言ったじゃない」
「……何を」
「友達だった って」
「……地獄に堕ちやがれ」
「堕ちるのは貴方よ……ゲイジュ」
短く、しかし厳然とした決別の言葉と共に
アナスタシアは、不可視の重圧を帯びた刃を振り下ろす。
「──戻りなさい 黒雛」
ゲイジュがいたであろう場所には、地獄まで続いているかのような 底の見えない深い穴が出来ていた。アナスタシアは、しばらくその場所を見つめた後 寂しげに空を見上げて呟く。
「ホント……バカな子」