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爆弾拾いがついた嘘 【改稿版】  作者: 生津直
第1章 弟子入り
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子爆弾


 そうと決まれば、かち合わないうちにさっさとお風呂に入ってしまおう。一希は着替えを用意し、脱衣所には一応鍵をかけた。


 学校の寮とは違い、この家のお風呂は湯船にお湯を張って沸かさなくてもシャワーからお湯が出るタイプだ。温度調節にしばし苦戦したが、行水も慣れれば快適に違いない。


 師匠にいきなり寝間着姿をさらすのはどうかと思い、いつもの高校ジャージの上下を身に着けた。


 大机に戻って書類に目を通していると、新藤が大きなプラスチックの箱を(かか)えて出てきた。一希がお手伝いしましょうかと声をかける()もなく、大机に箱が下ろされる。


「あ、すみません、今ここ空けま……」


「空けろと言ったか?」


――あ、そっか……。


 空けろと言ったら空けろ。何も言われなければ、反対側は使っていてよいらしい。


「あ、先ほどお風呂お借りしました。ありがとうございました」


「共有財産だとさっき言ったよな」


「あ、そうでしたね。すみません」


 新藤は、玄関横の棚から仕切りの付いた(から)のケースを持ってきた。先ほどの箱から取り出したのは、解体済みの爆弾の部品。


「ストロッカですね」


「ああ」


 リレーのバトンを太くしたような子爆弾。オルダの中で最も典型的と言える。


「探査でこんなに出ることもあるんですね」


「さすがに一回分じゃないぞ。しかも、今回のはどれも俺が見つけたもんじゃない」


「あ、そうなんですか?」


「爆破か安全化かは基本的に見つけた処理士の判断だが、暗黙の了解ってやつがあってな。まとまった量が出たときは、自分で解体する気がなくても軍に報告を入れるもんなんだ。処理士にしてみれば電話一本で爆破と後始末の手間が省けるし、国は少しでも多く再利用に回して金にしたいわけだろ?」


「なるほど、利害が一致するんですね」


 爆破の場合は部品も粉々になるが、新藤の父、隆之介が解体を可能にしたことで、再利用への道が開かれた。


 大型のオルダなら子爆弾は数百を数え、仮に一割が不発弾として見つかった場合、有用な部品の数は数百に上る。しかも、特殊な金属加工が(ほどこ)された貴重なものばかり。


 極めつけは、スム族が開発した質の高い爆薬だ。少量で大爆発を起こせる上、有害物質を放出せず土に(かえ)るため環境にも優しい。これらを爆破せずに取り出せれば輸出への道も開け、戦後復興に一役買うという見通しは見事に的中した。


「いざ解体が決まったら、軍員が出向いて鎮静化して、その大半が俺んとこに運ばれてくる」


「全国から……」


「まあ、近場でやりたい奴が見つかることは少ないだろうからな」


「子爆弾の解体って、できる人どれぐらいいるんですか?」


「できるできないでいえば、みんなできてくれなきゃ困るな。鎮静化しちまえば、あとは他の安全化と大差ないわけだから。まあ、ちっこいからそれなりに気は(つか)うが」


 不発弾の中でもひときわ繊細(せんさい)なオルダ。隆之介が開発したのは、子爆弾に特殊な電磁波を照射して鎮静化する方法だ。これで少なくとも振動と静電気には耐え、持ち運びが可能となった。あとは衝撃や高温を避けながら特定の部品同士の接触に注意すれば、人の手で分解できる。




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