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総合探偵社ラストピース  作者: 晴弥
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【捜索開始】


【捜索開始】




今回の調査は聴き込みによる人探しになることを想定しているが、見ず知らずの人間が探し回っていることが本人に知れたら恐怖を感じさせてしまう。


刑事ドラマなどで警察手帳を武器に、探している人の写真を見せて聴き込みを行っているのをよく観るが、探されている人の立場で考えてみて欲しい。


何の後ろめたさもない人ならともかく、見つかりたくない人だったら隠れるであろう。


聴き込みを始めるのは、調査に行き詰まった時に、確信部から離れた場所からである。




「さて、始めるか。」




今回のパートナーとなる調査員ヒロシに声を掛ける。


ヒロシは以前同じ探偵事務所で仕事をしていた仲間であるが、私が独立したタイミングと同じ時期に退職していた。


社員として雇用はしていないが、必要であれば協力してもらうことになっている強力な戦力だ。




調査初日となる今日は、恵が中学時代に住んでいた住所付近に行き現在の状況を確認するところから始める。


まだ同じところに家族だけでも住んでいれば良いのだが...。




情報の住所付近に到着し家を確認すると、昔ながらの建物だったのでまだ親が住んでいるのではないかと期待する。


通行人を装い家の前まで近づくと、その期待は簡単に裏切られた。




【斉藤】




玄関に立派な表札が掛けられている。


恵の現在の苗字はまだ判らないが当時は【海野】である。




情報の住所に間違いがある可能性もあるので、周辺の住居をヒロシと手分けして見て回る。




ヒロシ「表札なしの家もあるけど、確認できる範囲に海野はないすね...。」


ハルヤ「だね...。こっち任せても良い?」


ヒロシ「OKす。」





念のため斉藤宅の住人を確認するためヒロシを現地に残し、ひとり図書館へ向かう。


図書館にはその地域と周辺地域のゼンリン地図が揃っている。


ヤ●ー地図やグー●ル地図ではビル名や店舗名は記載されているが一般住宅の苗字は記載されていない。


それがゼンリン地図には番地と名前が記載されているので凄く重宝している。




地図で確認したが付近に海野という家はなく、情報の家は地図上でも斉藤であることが判った。


図書館を出るとちょうどヒロシからの電話が入る。





ヒロシ「今、斉藤邸に80歳くらいのお爺さんを確認できました。」


ハルヤ「了解。こっちは地図で確認したけどやっぱりその家は斉藤邸だった。近くにも海野邸はなかったよ。」


ヒロシ「了解す。どうしますか?」


ハルヤ「一旦、事務所に帰って考えよう。」





事務所に戻り作戦会議だ。


手掛かりは過去に海野邸だった家は斉藤邸に変わっていたが、幸いなことに近隣の住居も昔ながらの家だったこと。


最終的に聴き込みすれば、海野家の引越し先を知っている人がいるかもしれない。





ハルヤ「現地の状況もある程度把握できたし、今度はネット上に情報が落ちていないか検索してみよう。」


ヒロシ「了解す。んじゃ、イン●タとツ●ッターやります。」





ヒロシは以前の職場で2年ほど一緒に仕事していたのでコチラが望んでいることを直ぐに察知してくれるからありがたい。


ネット上に落ちている情報の検索とは...個人情報の取り扱いがやたらうるさくなったこのご時世にも関わらず、


SNSなどで自らがプライベートを曝け出している人が多いので、名前から探してみたり、同じ学校の同級生からの繋がりを


探ってみたりすることだ。


素行調査などでも、調査前に探ってみると、意外とおいしい情報がゲットできたりする。




2時間ほど経ち、お互いの成果を確認する。




ヒロシ「コッチは該当なし。繋がりも確認できないす。」


ハルヤ「フェイス●ックもアカウントなし。でも面白いところで繋がったよ。」


ヒロシ「え!?なんすか!?」


ハルヤ「恵に関しては何の情報も出てこなかったけど、恵の同級生に俺の知ってる人が2人いた。」


ヒロシ「マジすか?連絡取れるの?」


ハルヤ「1人の方は連絡つくと思うからココから攻めよう。」





人付き合いは面倒ではあるが、人脈というのは本当に財産だと思い日頃から幅広い交流をしている。


聴き込み調査にはリスクがあるが、信用できる知り合いにそれとなく聴くのは低リスクだ。




早速、連絡してみる。




「もしもし、酒井さん最近行ってますか?..................」




酒井は釣り仲間であり、定期的に一緒に行ったり情報交換したりしている人物であった。


関係ない釣りの話を5分程してから、それとなく本題に入る。





ハルヤ「あ、そういえば別件なんですが、酒井さんって●●中学ですよね?」


酒井 「そうだよ。」


ハルヤ「同級生に海野恵さんって人いませんでした??」


酒井 「ん?...いたよ。俺は親しくなかったけど。海野がどした?」


ハルヤ「実は知り合いが探してるんですよ。酒井さんの周りで連絡取れる人いないですかね~?」


酒井 「思い当たる奴何人かに聴いてみるよ。急ぎ?」


ハルヤ「助かります。急ぎといえば急ぎです。」


酒井 「OK。夜連絡するわ~。期待しないでね~。」





電話を切ると隣で話を聴いていたヒロシが目を丸くして言った。





ヒロシ「なんか、見つかりそうな感じすね?」


ハルヤ「有力な情報が入れば良いね。もし、手がかり無しなら後日近所に聴き込みしよう。」





酒井からの連絡待ちとなったため、一旦調査を終了する。






《本日の調査経過》


・情報にある恵の中学時代に住んでいた家は現在「斉藤邸」となり80歳くらいの男性が暮らしている。


・SNSなどに海野恵のアカウントはなし。ネット上では手がかり無し。


・同中学の同級生にハルヤの知り合いがいた。(現在、調査進行中。)


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